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初めての夜会

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 伯父さまのお家に着いてすぐにリアンさんを紹介した。すっごい残念そうな顔をしていて、あとでリアンさんと伯父さま達でお話をすることになったらしい。ママがパパにも行って貰うって言っていたから、きっとママの中ではどんな話か分かっているみたい。

 

「マリアがみんなに愛されていると言うことがよく分かった。きっと俺は悪者なんだろう。俺がマリアを嫁にもらうと他国へ出すことになるんだ」

 急に嫁なんて言われたら照れちゃうよね。リアンさんのお嫁さんかぁ。
 


「ねぇねぇ。もう手を繋いだり腕を組んだりしても良い?」

「程々になら良いんじゃないか?」


「抱き付いたりキスしたりしても良い?」

「バカか! 結婚する前に俺の命がなくなるぞ!」

「……我慢する。でもこれも誘惑作戦の一環だから!」

 言葉にしないとわかんないと思うんだよね。好きって言い続けていたら好きになってくれるかもしれないもん。


「十分惑わされているから安心しろ。マリアは何もしなくて魅力的だよ」

 ポンって頭に手を乗せられた。また子供扱いした! その手を取って私の頬に当てたらリアンさんの目は見開いた。

「どうせ手を当てるなら直接触れて欲しいかも……」

 背が高いリアンさんを見上げる形になる。こんなことを言ってちょっと恥ずかしいけれど好きな人だから良いよね?

「なんでだろうな。マリアがちゃんと一人の女性に見える。これは困ったな」

 こんなんで落ちちゃうの! 私は本気だけどリアンさん単純すぎない? 心配になってきたよ!

「国に帰っても、ちゃんとマリアのこと思い出してね! 浮気しないでね! 泣いちゃうからね!」
 
 首を傾げるリアンさん。


「それはないから安心しろ。俺はな……正直言って身分の高さから令嬢に囲まれる事が多々あって、権力争いにも巻き込まれて疲れていたんだよ。俺が結婚しなくても弟の子供に爵位を譲ろうとまで考えていたんだ。俺が結婚すると言うと両親や親族は喜ぶだろうな。既に諦めていただろうから。どうだ? こんな話を聞いても嫁に来るか?」


「それはね、マリアと結婚するために神様が今までリアンさんに相手を作らなかったんだよ! よかったね!」

 にんまりと笑うマリアベル。


「……ポジティブな考えだな。やっぱりおまえといると色々考えていることがバカらしくなる。すごいな。尊敬に値する」

 ギュッと腕を組んだ。程々になら良いみたいだし! ここで押し付けられる胸でもあれば良いけど、まだまだ成長していないのが現状。最近は乳製品をたくさん取っている。後2~3年でバストアップする予定だもの! リアンさんを驚かせてやるんだから!


 ******


「あら、可愛いわね」

 可愛いじゃダメなんだけど……みんなが可愛いって言ってくれるからいっか。

「早くママみたいにキレイになりたいよ」

「ママにもマリーのような時代があったのよ。でも今は今しかないんだから今を楽しまなきゃね。ほら卿をお待たせしているんじゃない? 行きなさいな」

 いつもは兄さまがエスコートしてくれるからこんなにドキドキしないけれどリアンさんのエスコートか……どきどきしてきた。

 扉の前に立って少しだけ扉を開けてひょこっと顔を出した。扉の前でリアンさんが待っていた!

「用意できたか?」

 きゃぁ! かっこいい! いつもと違う大人だね。

「うん。お待たせしました。

 カーテシーをして見せた。

「馬子にも衣装……なんてな。似合っているよ」

「え! それだけっ?」

「……とても可愛らしいですよ。レディマリアベル」

「来年は絶対キレイだって言わせて見せるからね!」


「期待しているよ」

 リアンさんは苦笑いするけれど来年はキレイと言われたい。


 初めての夜会も親戚の家だから緊張しなかったし、リアンさんに挨拶する貴族の人達にちゃーんと、婚約予定だってことは伝えておいた。終始腕を組んでいて仲良しアピールもした。

 ラング家の兄弟も来ていて紹介したら、二人とも微妙な顔をしながらも、最後はおめでとうって言ってくれた。

 ジェシーおばさんは『おめでとう。マリーちゃんにはうちの子のどっちでも良いから結婚してほしかったわ……二人とも腰抜けよね』ってリップサービスまで言ってくれた。


 それとピノ伯爵家のダニエル子息も伯爵と来ていたようだ。


「友達か?」

「う――ん。同級生だよ」

 目があった。そうだ!

「ごきげんようピノ伯爵子息」

「やぁ、そうか。ロマーニ侯爵夫人のお兄さんの家だったか……こちらの方は?」

「私の婚約者なの!」

「……婚約予定のフロリアン・フォン・オットーです」

「隣国の……ロマーニ侯爵令嬢の恩人と言われている方ですね」

 頭を下げ挨拶をするダニエル。


「うん。私一緒に住んでいた時はリアン様の身分とか全く知らなくて……もし知っていたらあんな噂もたたなかったかも知れないしピノ伯爵家もおとう様に、」

 言おうとしたら被せるように話された。
「いや、あの不正はいつかバレていた。それでも早い方が良かったからタイミング的には問題ない。それにあの時は私も子供だったからね。それよりご婚約おめでとうございます」

「ありがとう」

 って答えた。リアンも微笑んでいた。

 


「いつ婚約者になったんだ……?」

「婚約予定と婚約者って同じ意味だと思うんだよね!」

 次の長期休暇にはリアンさんのご両親が来てくれるって聞いてもう嬉しくてドッキドキ! 
 

 
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