50 / 81
マリアベルの恋?
しおりを挟む「マリー、結婚前のレディが男性にべたべたとするものではありませんよ!」
べたべたじゃないもん。スキンシップ? って言うんでしょ!
「してないもん」
「はぁっ。側から見ているとべたべたしている様にしか見えないのよ。卿は優しいから断れないだけで本当は困っていらっしゃると思うわよ?」
「むぅ。だって……せっかく会えたんだもん。リアンさん結婚してないし婚約者もいないって言ってたし、困る人もいないもん」
それに私と結婚してくれればいいもん。
「そのリアンさんという呼び方もおやめなさい。大公家の方に対して失礼です」
「じゃあ、なんて呼べば良いの? パパはリアンさんって言っていたもん。お母さんって呼んじゃダメでしょ?」
リアンさんって名前だって聞いたし。ダメって言われてないし……
「名前でお呼びしても良いか許可を得てからになさい。それにフロリアン様という正式なお名前があるでしょう? 愛称で呼ぶと誤解を招くの」
もうリアンさんで慣れちゃったのに……許可……そっか。名前で呼ぶのは許しを得てからなんだよね。
「……分かった」
「適度な距離感を持ってオットー卿と接してね」
「それは寂しいよ。せっかく会えたのに……パパにもママにも会わせてくれてありがとうって言ってなかった。伯父さんにもお礼を言わなきゃ……ありがとうママ。大好き」
ママの首に抱きついた。パパとママも複雑だったんだろうけど会わせてくれたんだよね……
「マリーが嬉しいのは見ていて分かるのよ。そんな姿を見ていたらママも嬉しくなるもの」
ぽんぽんと背中を撫でられた。
「でもね、お互いもう大人なのだから……マリーはあの時の幼い子供じゃないのよ。これからマリーに好きな人が出来て、」
「リアンさんが好きなの。ずっとずっと……でもパパもママも兄様も大好きなの。何不自由なく生活できるのはパパとママのおかげだって分かっているけど、心にポッカリ穴が空いてて、リアンさんと会えて埋まったの。でも怖いよ……また離れるのが」
ぐすっと鼻を啜る音が聞こえた。
「マリーの気持ちは家族として好きという事? 一人の男性として好きっていう事? どっち?」
マリアベルの背中を撫でて落ち着かせようとしていた。
「どっちも……リアンさんと一緒にいたいの。結婚したい、ダメ?」
「……あら……困ったわ。でも自分の気持ちを押し付けるのはママ違うと思うのよ。マリーが本当に卿の事が好きなら少しは抑えることも覚えなきゃね? 分かる?」
押し付ける……そっか。嫌われたくない。
「多分、分かったと思う。押し付けない」
「あら……良い子ね。卿の気持ちも考えるのよ。マリーこんなことは言いたくないのだけど、マリーは十六歳で卿は二十八歳よ? 歳が離れているのよ。パパやママの方が卿と歳が近いくらい離れているの」
? ママは何を言ってるんだろう? 意味わかんない。
「リアンさんはリアンさんだから年齢は関係ないよ。だって生きている限り年の差は埋まらないもん。早く大人になりたくても時間は平等だって先生が言っていたよ! 私がリアンさんの歳を超えることはないもん。そんな時は……悲しい事があった時だもん」
パパの両親はまだパパが若い時に事故で亡くなった。その歳をパパは超えたんだって言ってたもん。寂しそうな顔をしていた事を思い出した。
「あら。ママが思っているよりちゃんと考えていたのね……マリーの成長を目の当たりにしたわ……本気で卿のことを思っているのなら、頑張ってみたら? でも過度なスキンシップは自分の価値を下げることになるからやめなさい」
「ママ応援してくれるの?」
「……そうね。恋の相談はママにして頂戴ね。パパに相談したら倒れちゃうかもしれないわ……」
パパは応援してくれないのかな……? 好きな人と結婚するんだよって言ってたよ。ママの言う通りにしよ。
「分かった。パパに内緒にしておいてね」
******
困ったわ! 怒るつもりだったのに怒れなくなっちゃったわ! だってマリーったらちゃんと恋している乙女のような顔をしているんだもの!
私が夫を想っていた時を思い出してしまったわ!
卿はどう反応するのかしら……年齢差は気にしていそうよね。マリーと接する時はとても優しい顔をしていて……抱きつかれて困っているのは照れ隠し? 本当に困っている風ではなく、理性がそうさせているとか?
でも隣国にお嫁に出すのは寂しいわよねぇ。でもマリーが幸せになれるのなら反対出来ないわ……
卿は良い方だし卿もマリーのことを想ってくれるなら……そんな気にさせた。
夫やヴェルナーになんて説明すれば良いのよぉ……
96
お気に入りに追加
4,284
あなたにおすすめの小説

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。

不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。

「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?
いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、
たまたま付き人と、
「婚約者のことが好きなわけじゃないー
王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」
と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。
私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、
「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」
なんで執着するんてすか??
策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー
基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。

身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる