私は幼い頃に死んだと思われていた侯爵令嬢でした

さこの

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身体能力の高さ

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「リザー!」

 次の日マリアベルは新品の乗馬服に身を包み現れた。厩務員がリザを連れてきた。

 マリアベルはリザを撫でていてリザも満更ではないようだった。

「お嬢様はもうリザと仲良くなったようですね」

「そう思う?」

 嬉しそうに答えるマリアベルを見て厩務員達は微笑ましい表情をしていた。


 そして、厩務員がリザに乗る時の注意点を説明していてマリアベルは一生懸命話を聞いていた。大きな声を上げてはいけない。後ろに立ってはいけない。など。


「それでは一度乗ってみましょうか? 私は隣で支えていますね」

 厩務員二人がリザの左右に立ち、マリアベルを持ち上げリザの背中に乗せた。

「わぁ、高いわ」

 ポニーは馬に比べて小さいのだがマリアベルにしてみたら視線はもちろん高くなる。

「お嬢様、体感がいいようですね。その姿勢のまま少し歩いてみましょう。さぁ、リザ行こうか」

 そう言って厩務員が左右に立ったままリザは歩き出した。

「怖くはないですか?」

 厩務員が心配そうにマリアベルに声を掛ける。

「うん、楽しい。早く一人で乗れるようになりたい」

 のんびりリザと散歩と言った感じで乗馬場を一周したマリアベル。

 お互いのために(マリアベルとリザ)今日は無理をせずここまでと言われ、リザから降ろされたマリアベル。私は自分の白馬に跨り少し走らせて戻ってきた。父に言われたように、リザの毛並みを整えたり食事を与えていた。

 
 厩務員に、身体能力が高いと誉められていてこの調子ならすぐに慣れそうだ。とまで言われていた。

 やはりマリアベルはお転婆のようだ。


「兄さまのお馬さんとっても綺麗」

 戻ってきた私にマリアベルはそう言って笑っていた。厩務員も愛らしいマリアベルにメロメロのようでみんな笑顔で接していた。


「マキシと言うんだよ。マキシは少し気難しい、」

「マキシー、兄さまと仲良しなの? 良かったね」

 そう言ってマキシを撫でていた。マキシは気難しいタイプで厩務員でも限られたものにしか世話をさせないのだが……喜んでいるようにも見えた。

「一緒に乗ってみるか?」

「いいの?」

 マリアベルのキラキラした目に弱い……

「マキシ、良いか?」

 マキシに向かって言うと目を瞑りふいっと頭を背中に向けた。さすが賢いな。


「マキシが良いと言ったよ。僕が先に乗るからその後においで」

 ひょいっとマキシの背中に跨る。厩務員と僕の手を借りてマリーが僕の前に座った。

「歩こうか」

 マキシに合図をするとのんびりと動き出した。

「気持ちいいね、兄さま」

「そうだね。ちょうど心地よい風が吹いてきた」

 のんびりと歩くマキシ。
「おい、お前は気難しいんじゃなかったのか……」

 そう言うとさも普段通りです。とでも言わんばかりのすました顔をしていた。


「兄さまとマキシは仲良しだね」

「そうだね。マキシは僕の相棒だよ」

 そう言ってマキシを撫でた。


 一周してマリアベルを降ろし、僕もマキシにブラッシングをした。僕も父との約束でマキシの世話をしている。そこから信頼が生まれるのだそうだ。その通りだと思う。


 その後は屋敷に戻り着替えを済ませて、母とお茶をする予定だ。

「マリーは馬に乗ったことがあるの?」

 とても初めてとは思えなかった。普通は高さに怯えたり、不安定で怖がるものだと思う。だから聞いた。


「うん。おかあさ、リアンさんに乗せてもらって移動してたの」

 マリアベルは保護してくれていた『お母さん』と呼んでいた人の事をリアンさんと呼ぶことにしたようだ。マリアベルは今まで彼の名前を知らなかったみたいだ。

 それにしてもリアンと言う男は他にマリアベルに何を教えていたのか……聞けば聞くほど謎な人だと思った。




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