上 下
3 / 20

アイリーンの心中

しおりを挟む
はぁっ…セドリックお兄様がパートナーを務めてくださるのは嬉しいのだけれど、私じゃ釣り合わないわ…こんな眼鏡を掛けている無粋な女なんて…

それにしてもフランクはどうしたのかしら…自分の邸のパーティーだから忙しくて迎えに来れないとか?
親の勧めとは言え婚約者を蔑ろにするような事はないだろうと…と思っていたアイリーン


翌日パーティーの準備をすべく、侍女たちにドレスアップされるが
「アイリーン様、なんでまたこんな地味なお色を…似合いません!」
「アイリーン様、せめてメガネは外さないと…美しい瞳が隠れてしまいます!」
「「はぁっ」」
ッと溜息を吐く侍女

「良いのよ、お姉様じゃあるまいしパステルカラーなんて似合わないもの…」
ツンとすますアイリーン

侍女達は、あっ!出たツンだ!
顔をピンクに染めるアイリーンが可愛くてしょうがないのだ…
勿論アイリーンは知らない

「紺色のドレスだって大人っぽいでしょ?私のお化けのような白い肌とシルバーの髪の毛じゃパステルなんて…笑われちゃう、お姉さまもお兄様も素晴らしい金色の髪の毛をおもちなのに…お父様譲りのこの髪色…」

母オルガは美しい金色の髪の毛を持つ、昔は国の至宝とも呼ばれた美貌の持ち主だ
父はダンディな艶のあるシルバーの髪の毛を持つ、母とは幼馴染だったらしく父が七歳、母が五歳で婚約をしたそうだ

「伯爵様譲りの素敵なシルバーです!自信を持って!」
メガネを取ろうとする侍女と死守するアイリーンの攻防戦、いつもの事だ…

「セドリック様がお迎えに来られました」
侍女に告げられエントランスへと向かう

「やぁ、今日も可愛いね、アイリーン」
手を取り軽い挨拶のキスをするセドリック
「お兄様ったら冗談ばかり…私みたいなものが、」
「おっと、それ以上は言わない事、ぼくのパートナーだからね」
黒い仕立ての良いタキシードを着込み見惚れるような美しさのセドリック

「セドリック、今日は頼むわね」
母オルガが声を掛けてくる。
「えぇ、お任せください!」
セドリックが返事をする
「私達も一緒に行くわ!」
姉のシュゼットと婚約者のパトリックだ

…えぇ…姉と一緒に…また比べられると思って落ち込むアイリーン

「だめか?アイリーン?」
パトリックに言われ
「いいえ、ご一緒します」
と言うのが精一杯だった

馬車に乗り込みシュゼットが
「お父様とお母様は、お父様が変えられ次第くるそうよ、お兄様はララ様を迎えに行ってるから、現地で会いましょうね」
美しく笑うシュゼット
「…うん」

会場に着くとパーティーに呼ばれている貴族達がわいわいと談笑をしている

「アダムス伯爵だわ、ご挨拶に伺いましょう」
シュゼット先導の元、フランクの両親であるアダムス伯爵夫妻に挨拶に行く
「あら?アイリーン、ドレスはどうしたの?」

フランクの母であるオレリアに言われなんのことだかわからぬアイリーン
「何のことでしょうか?」
はて?とクビを傾げる
「えっ?フランクが、貴方のためにピンクのドレスを用意したでしょう?気に入らなかったの?」

驚くアイリーンだが、シュゼットは何かを感じた…怒りを抑える為に婚約者のパトリックの手をギュッとつなぐ…

「痛い、痛いってば…爪を立てないで
シュゼットに耳打ちをするパトリック
…許せん、フランクとぶつぶつと文句を垂れている、美女の怒り顔は殊更恐ろしい

「アイリーン、ご挨拶は済んだね、あちらへ行こう、僕は喉が乾いたよ」
セドリックがアイリーンをエスコートしようとすると

「フランクはどこへ行ったの?何故エスコートしてないの?」
フランクの母オレリアに言われるも、口を塞ぐアイリーンだった


その後兄ラウルと婚約者ララ、父マクシミシアンと母オルガが到着し合流した


パーティーが始まりフランクがエイプリルを伴い登場した…
バシュレ家の一同は恐ろしい笑みを浮かべ、アダムス家を見る

アダムス伯爵夫妻はひどく焦り、息子の元へと駆けつける事になった

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

【完結】不誠実な旦那様、目が覚めたのでさよならです。

完菜
恋愛
 王都の端にある森の中に、ひっそりと誰かから隠れるようにしてログハウスが建っていた。 そこには素朴な雰囲気を持つ女性リリーと、金髪で天使のように愛らしい子供、そして中年の女性の三人が暮らしている。この三人どうやら訳ありだ。  ある日リリーは、ケガをした男性を森で見つける。本当は困るのだが、見捨てることもできずに手当をするために自分の家に連れて行くことに……。  その日を境に、何も変わらない日常に少しの変化が生まれる。その森で暮らしていたリリーには、大好きな人から言われる「愛している」という言葉が全てだった。  しかし、あることがきっかけで一瞬にしてその言葉が恐ろしいものに変わってしまう。人を愛するって何なのか? 愛されるって何なのか? リリーが紆余曲折を経て辿り着く愛の形。(全50話)

たった一度の浮気ぐらいでガタガタ騒ぐな、と婚約破棄されそうな私は、馬オタクな隣国第二王子の溺愛対象らしいです。

弓はあと
恋愛
「たった一度の浮気ぐらいでガタガタ騒ぐな」婚約者から投げられた言葉。 浮気を許す事ができない心の狭い私とは婚約破棄だという。 婚約破棄を受け入れたいけれど、それを親に伝えたらきっと「この役立たず」と罵られ家を追い出されてしまう。 そんな私に手を差し伸べてくれたのは、皆から馬オタクで残念な美丈夫と噂されている隣国の第二王子だった―― ※物語の後半は視点変更が多いです。 ※浮気の表現があるので、念のためR15にしています。詳細な描写はありません。 ※短めのお話です。 ※感想欄はネタバレ配慮しておりません、ご注意ください。 ※設定ゆるめ、ご都合主義です。鉄道やオタクの歴史等は現実と異なっています。

婚約破棄されたのは私ではなく……実は、あなたなのです。

当麻月菜
恋愛
アネッサ=モータリアはこの度、婚約者であるライオット=シネヴァから一方的に婚約を破棄されてしまった。 しかもその理由は、アネッサの大親友に心変わりをしてしまったというあり得ない理由で………。 婚約破棄をされたアネッサは、失意のどん底に突き落とされたまま、大親友の元へと向かう。 向かう理由は、『この泥棒猫』と罵るためか、『お願いだから身を引いて』と懇願する為なのか。 でも真相は、そのどれでもなく……ちょいとした理由がありました。 ※別タイトル(ほぼ同じ内容)で、他のサイトに重複投稿させていただいております。

完結 喪失の花嫁 見知らぬ家族に囲まれて

音爽(ネソウ)
恋愛
ある日、目を覚ますと見知らぬ部屋にいて見覚えがない家族がいた。彼らは「貴女は記憶を失った」と言う。 しかし、本人はしっかり己の事を把握していたし本当の家族のことも覚えていた。 一体どういうことかと彼女は震える……

【完結】結婚式当日に婚約破棄されましたが、何か?

かのん
恋愛
 結婚式当日。純白のドレスを身に纏ったスカーレットに届けられたのは婚約破棄の手紙。  どうするスカーレット。  これは婚約破棄されたスカーレットの物語。  ざまぁありません。ざまぁ希望の方は読まない方がいいと思います。  7話完結。毎日更新していきます。ゆるーく読んで下さい。

私の婚約者が浮気をする理由

風見ゆうみ
恋愛
ララベル・キーギス公爵令嬢はキーギス家の長女で、次期女公爵になる事が決まっていた。 ララベルは、幼い頃から、ミーデンバーグ公爵家の後継ぎとして決まっているフィアンに思いを寄せていたが、キーギス家を継ぐつもりのララベルにとって、叶わぬ恋の相手の為、彼を諦めようと努力していた。 そうしている内に、彼女には辺境伯の次男である、ニール・メフェナムという婚約者ができた。 ある日、彼が他の女性とカフェで談笑しているところを見たララベルは、その場で彼に問いただしたが「浮気は男の本能なんだ。心は君の元にある」と言われてしまう。 彼との婚約は王命であり、婚約を解消をするには相手の承諾がいるが、ニールは婚約解消を受け入れない。 日が経つにつれ、ニールの浮気は度を越していき…。 ※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。 ※中世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物、その他諸々現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観です。 ※話が合わない場合はとじていただきますよう、お願い致します。

選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ

暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】 5歳の時、母が亡くなった。 原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。 そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。 これからは姉と呼ぶようにと言われた。 そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。 母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。 私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。 たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。 でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。 でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ…… 今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。 でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。 私は耐えられなかった。 もうすべてに……… 病が治る見込みだってないのに。 なんて滑稽なのだろう。 もういや…… 誰からも愛されないのも 誰からも必要とされないのも 治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。 気付けば私は家の外に出ていた。 元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。 特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。 私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。 これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。 --------------------------------------------- ※架空のお話です。 ※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。 ※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

処理中です...