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第16話
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「その話やめましょう」
「へ?」
「結局相良先輩を褒めてるだけでしょ」
「お前荘助の話すると機嫌悪くなるな」
なんてニヤニヤとした顔で言われたので、またむかついた。
「そういう話するなら、俺帰ります」
立ち上がったら、肩をポンと叩かれながら
「ごめん。悪ノリし過ぎた」
と言われた。椅子を引かれて座るように促されたので、しぶしぶ座った。
「ほらもっと食えよ。奢るから」
食べれば機嫌良くなると思ってるのか。まだ足りなかったので仕方なくハンバーガーをお願いした。
「先輩は何か食べないんですか?」
さっきから飲み物だけしか飲んでない。
「俺は見てるだけで満足」
「は?」
「いや、さっき学食食ったし」
そんなの食べてる暇あったっけ? まあ原田先輩は俺より食べるの速いからさっと食べたのかな。
土産物コーナーで見てたら原田先輩がまた何か奢ろうとしてきた。
「だからいいですって。そこまで欲しいわけじゃないし」
「お前もホント頑固だな」
お姉さんの言うとおりとか余計な一言も言われた。姉貴の話はしないでほしい。
先輩はタツノオトシゴのストラップを2つ買い、「記念に」と言って俺に渡してきた。おそろいとか、今どきカップルでもしないと思うけど。俺は渋々受け取った。
「鞄に付けたりとかしませんからね」
「あはは。別にいいよ」
「さて、この後どうする?」
「かえ」
と言おうとしたら、口を塞がれた。
「もうちょっと付き合えよ」
カエルのことかもしれないじゃん。
「夕飯は寿司食いに行くとして、まだ早いからどっか行こうか?」
夕飯食べるのもう決定事項なの?
「どこでもいいです」
「なんか行きたいとこないのかよ。普段何してるんだ?」
「家で本読んだり、漫画読んだり」
「それさあ」
先輩が呆れたようにため息をついた。人の休日の過ごし方にケチ付けないでほしい。
「じゃあ本屋でも行く?」
「いえ」
最近姉貴にBL本を薦められて仕方なく読んでたんだけど、こんなことあるわけないじゃんって笑いながらなかばギャグ漫画だと思って読んでたらハマっちゃったなんて死んでも言いたくない。後はマニアックなミステリーを読んだり、ペンシルパズル本を解いたりしてるけど、それも先輩にわざわざ見せるようなもんじゃないし、興味ない人が見てもつまらないだろうから。
「ノリ悪いな」
ノリとかじゃなくて、オープンにできる趣味じゃないんだってば。原田先輩みたいにテニスやったりとか、行動的な人とは違うんだ。
「先輩こそ、俺みたいなインドア派より、趣味が合う人と出かけた方が楽しいんじゃないですか?」
俺といたって何も面白くないだろうし。
「俺が一緒にいたくて誘ってるのにその言い方はさ」
先輩はさっきよりも大きいため息をついた。
「だって」
未だに俺のどこがいいのかちっとも理解できない。
「そのままでいいって言ってんだろ」
俺の考えを読んだみたいに言われた。
「くだらないこと言い合ってるだけでも十分楽しいんだけどな。瞬太は楽しくない?」
聞かれても困る。
「つまんなくはないです」
「その態度、いい加減どうにかなんないのかね」
ほっとけと思う。
「じゃあ、ゲーセンは?」
「騒がしいとこ苦手です」
「カラオケとか絶対行きたくなさそうだしなあ」
良くわかってるじゃん。
先輩は悩んでる。別にわざわざ俺が行きたいとこに合わせなくていいのに。
「そもそも俺は家でごろごろしてる方が好きなので、先輩が好きなとこ行ってください」
「じゃあ俺のうちでも来る? なんてな」
「別にいいですけど」
先輩が何故か固まった。
「どうかしたんですか?」
「お前もうちょっと警戒した方がいいぞ」
え?
「普通、好きって言ってる奴の家行くってことは、何されても仕方ないってことだからな」
えーと、それってつまり。
「俺に手出すってことですか?」
先輩は呆れて言った。
「真顔で聞き返すことじゃないから」
先輩は咳払いをした。
「へ?」
「結局相良先輩を褒めてるだけでしょ」
「お前荘助の話すると機嫌悪くなるな」
なんてニヤニヤとした顔で言われたので、またむかついた。
「そういう話するなら、俺帰ります」
立ち上がったら、肩をポンと叩かれながら
「ごめん。悪ノリし過ぎた」
と言われた。椅子を引かれて座るように促されたので、しぶしぶ座った。
「ほらもっと食えよ。奢るから」
食べれば機嫌良くなると思ってるのか。まだ足りなかったので仕方なくハンバーガーをお願いした。
「先輩は何か食べないんですか?」
さっきから飲み物だけしか飲んでない。
「俺は見てるだけで満足」
「は?」
「いや、さっき学食食ったし」
そんなの食べてる暇あったっけ? まあ原田先輩は俺より食べるの速いからさっと食べたのかな。
土産物コーナーで見てたら原田先輩がまた何か奢ろうとしてきた。
「だからいいですって。そこまで欲しいわけじゃないし」
「お前もホント頑固だな」
お姉さんの言うとおりとか余計な一言も言われた。姉貴の話はしないでほしい。
先輩はタツノオトシゴのストラップを2つ買い、「記念に」と言って俺に渡してきた。おそろいとか、今どきカップルでもしないと思うけど。俺は渋々受け取った。
「鞄に付けたりとかしませんからね」
「あはは。別にいいよ」
「さて、この後どうする?」
「かえ」
と言おうとしたら、口を塞がれた。
「もうちょっと付き合えよ」
カエルのことかもしれないじゃん。
「夕飯は寿司食いに行くとして、まだ早いからどっか行こうか?」
夕飯食べるのもう決定事項なの?
「どこでもいいです」
「なんか行きたいとこないのかよ。普段何してるんだ?」
「家で本読んだり、漫画読んだり」
「それさあ」
先輩が呆れたようにため息をついた。人の休日の過ごし方にケチ付けないでほしい。
「じゃあ本屋でも行く?」
「いえ」
最近姉貴にBL本を薦められて仕方なく読んでたんだけど、こんなことあるわけないじゃんって笑いながらなかばギャグ漫画だと思って読んでたらハマっちゃったなんて死んでも言いたくない。後はマニアックなミステリーを読んだり、ペンシルパズル本を解いたりしてるけど、それも先輩にわざわざ見せるようなもんじゃないし、興味ない人が見てもつまらないだろうから。
「ノリ悪いな」
ノリとかじゃなくて、オープンにできる趣味じゃないんだってば。原田先輩みたいにテニスやったりとか、行動的な人とは違うんだ。
「先輩こそ、俺みたいなインドア派より、趣味が合う人と出かけた方が楽しいんじゃないですか?」
俺といたって何も面白くないだろうし。
「俺が一緒にいたくて誘ってるのにその言い方はさ」
先輩はさっきよりも大きいため息をついた。
「だって」
未だに俺のどこがいいのかちっとも理解できない。
「そのままでいいって言ってんだろ」
俺の考えを読んだみたいに言われた。
「くだらないこと言い合ってるだけでも十分楽しいんだけどな。瞬太は楽しくない?」
聞かれても困る。
「つまんなくはないです」
「その態度、いい加減どうにかなんないのかね」
ほっとけと思う。
「じゃあ、ゲーセンは?」
「騒がしいとこ苦手です」
「カラオケとか絶対行きたくなさそうだしなあ」
良くわかってるじゃん。
先輩は悩んでる。別にわざわざ俺が行きたいとこに合わせなくていいのに。
「そもそも俺は家でごろごろしてる方が好きなので、先輩が好きなとこ行ってください」
「じゃあ俺のうちでも来る? なんてな」
「別にいいですけど」
先輩が何故か固まった。
「どうかしたんですか?」
「お前もうちょっと警戒した方がいいぞ」
え?
「普通、好きって言ってる奴の家行くってことは、何されても仕方ないってことだからな」
えーと、それってつまり。
「俺に手出すってことですか?」
先輩は呆れて言った。
「真顔で聞き返すことじゃないから」
先輩は咳払いをした。
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