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第4話
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「へえ」
突き放した言い方になったが、万が一にも可能性がないと思うとどうでもよくなる。
「で、誰なんだ?」
投げやりで聞くと、晃誠は顔を歪めた。
「だから違うって言ってるだろ」
声を荒げて言う晃誠は、既に余裕がなさそうだった。
「ふーん」
「ごめん。やな言い方した」
すぐに冷静になり、改める所は晃誠の良いところだが、今の俺にとっては全くもって気に入らない。
「まあ別に誰でもいいけど」
晃誠の方を睨んで言った。
「空?」
自分で名前を呼ばせたくせに、今ここで呼ばれたくなかった。
「どうせ俺じゃないんだし」
言うことがなかった言葉を口にし、あろうことか俺はかっとなってしまった。
すなわち、気付いたら晃誠の唇に無理矢理唇を押し付けていた。ほんの数秒、息が止まるような感覚がした。
舌先を唇から出したところで晃誠に引き剥がされる。
「だ、やめろって」
唇を拭う仕草をした晃誠を見て、俺は体中の熱が冷えていくのを感じた。
「ごめっ。つうかもう帰れ」
泣きそうだった。
無理矢理玄関に押しやって、ドアを開ける。
何か言いたそうな晃誠を追い出して、靴を投げ捨て鍵をかけた。
呼び鈴を何度か押されたが、無視して出なかった。しばらくしたら諦めたようで、音も聞こえなくなった。
自分の部屋のベッドにうずくまり、自己嫌悪に陥った。
そんなことするつもりなかったのに。俺、何やってんだ?
家に呼んだりしたら、制御できなくなるなんてわかっていたはずなのに。
言ってることとやってることがかみ合わない自分に呆れる。
明日からどんな顔をして晃誠に会えばいいのかわからない。
トイレに行こうと1階に降りたら、やばいことに晃誠が鞄を忘れて帰ったことに気付いた。
届けないとと思い、スマホを確認したが、晃誠からの連絡はなかった。
今はどうしても会いたくない。
すぐに明日でいいかと無理矢理頭から振り払った。
親の帰りは遅かったが、顔を合わせたくなくてずっと部屋にこもっていた。
風呂にも入らず、眠ろうと思っても頭が冴え渡り眠れない。
しでかしたことと、明日からの学校の憂鬱さに吐き気がしてたまらない。
休んだら休んだで親に勘ぐられるし、鞄も返せなくなる。八方ふさがりの中、ぐるぐると後ろ向きな考えが浮かんでは消えた。
途中うとうとしたが、ほとんど眠れず、朝鏡で見たら目には隈ができ、醜い顔の自分が映っていた。
突き放した言い方になったが、万が一にも可能性がないと思うとどうでもよくなる。
「で、誰なんだ?」
投げやりで聞くと、晃誠は顔を歪めた。
「だから違うって言ってるだろ」
声を荒げて言う晃誠は、既に余裕がなさそうだった。
「ふーん」
「ごめん。やな言い方した」
すぐに冷静になり、改める所は晃誠の良いところだが、今の俺にとっては全くもって気に入らない。
「まあ別に誰でもいいけど」
晃誠の方を睨んで言った。
「空?」
自分で名前を呼ばせたくせに、今ここで呼ばれたくなかった。
「どうせ俺じゃないんだし」
言うことがなかった言葉を口にし、あろうことか俺はかっとなってしまった。
すなわち、気付いたら晃誠の唇に無理矢理唇を押し付けていた。ほんの数秒、息が止まるような感覚がした。
舌先を唇から出したところで晃誠に引き剥がされる。
「だ、やめろって」
唇を拭う仕草をした晃誠を見て、俺は体中の熱が冷えていくのを感じた。
「ごめっ。つうかもう帰れ」
泣きそうだった。
無理矢理玄関に押しやって、ドアを開ける。
何か言いたそうな晃誠を追い出して、靴を投げ捨て鍵をかけた。
呼び鈴を何度か押されたが、無視して出なかった。しばらくしたら諦めたようで、音も聞こえなくなった。
自分の部屋のベッドにうずくまり、自己嫌悪に陥った。
そんなことするつもりなかったのに。俺、何やってんだ?
家に呼んだりしたら、制御できなくなるなんてわかっていたはずなのに。
言ってることとやってることがかみ合わない自分に呆れる。
明日からどんな顔をして晃誠に会えばいいのかわからない。
トイレに行こうと1階に降りたら、やばいことに晃誠が鞄を忘れて帰ったことに気付いた。
届けないとと思い、スマホを確認したが、晃誠からの連絡はなかった。
今はどうしても会いたくない。
すぐに明日でいいかと無理矢理頭から振り払った。
親の帰りは遅かったが、顔を合わせたくなくてずっと部屋にこもっていた。
風呂にも入らず、眠ろうと思っても頭が冴え渡り眠れない。
しでかしたことと、明日からの学校の憂鬱さに吐き気がしてたまらない。
休んだら休んだで親に勘ぐられるし、鞄も返せなくなる。八方ふさがりの中、ぐるぐると後ろ向きな考えが浮かんでは消えた。
途中うとうとしたが、ほとんど眠れず、朝鏡で見たら目には隈ができ、醜い顔の自分が映っていた。
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