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第2話
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夏休み前の期末試験を終えた頃、晃誠は人知れずため息をつくことが多くなった。
時折何か悩んでいるように苦しげな顔をする晃誠が気になって、我慢ならなかった。まさか晃誠にも好きな人がいるのではないかと、邪推すらしてしまう。
放課後。いつものように一緒に帰りながら軽く誘う。
「カメさんバーガー寄ってこうよ」
2人でファーストフードに行き、さりげなく話を聞き出そうとした。
他愛ない会話をしていても、晃誠はふと寂しげに笑ったりする。やっぱり何か悩んでいるようで、ほっとけない。
いつ話を切り出そうかとじっと晃誠の方を見ていると、
「俺の顔になんかついてる?」
と聞かれて戸惑った。
「別に」
目線を下の方にずらして、目の前の飲み物を全て飲み干した。
「ゲホッ。ゲホッ」
一気に飲んだせいでむせてしまい、恥ずかしい。
「何やってんだ?」
呆れたように言う晃誠に違和感を感じた。今までだったら、「馬鹿、何やってんだよ」とふざけて笑うのに。
「その言い方ってどうなの?」
「え?」
「いつもみたいに笑って流せばいいのに」
晃誠ははっと気付いた顔をし、謝った。
「ごめん」
俺は畳みかけるように聞いた。
「なんか悩んでんじゃないの?」
「そんなことないけど」
「嘘だ」
強く言ってしまい、しまったと思った時は遅かった。
「何、それで誘ったのかよ」
晃誠は立ち上がって舌打ちする。怒ったみたいだ。
「待てよ」
俺は慌てて晃誠の腕を掴んだ。
「放せって」
「外じゃ話せないことなら、家で聞くよ。両親とも夜まで帰ってこないし」
そんな風に言っても、晃誠は何もないと否定するばかりで埒があかない。
2カ月ほどでだいぶ仲良くなったと思っていたのは、自分だけだったのかもしれない。
俺はため息をついた。
「じゃあそろそろ帰ろうか」
仕方なく手を放し、2人で黙々と片付け、店の外に出た。
気まずい空気のまま電車に乗り込む。
お互いため息ばかりで言葉が出てこなかった。
時折何か悩んでいるように苦しげな顔をする晃誠が気になって、我慢ならなかった。まさか晃誠にも好きな人がいるのではないかと、邪推すらしてしまう。
放課後。いつものように一緒に帰りながら軽く誘う。
「カメさんバーガー寄ってこうよ」
2人でファーストフードに行き、さりげなく話を聞き出そうとした。
他愛ない会話をしていても、晃誠はふと寂しげに笑ったりする。やっぱり何か悩んでいるようで、ほっとけない。
いつ話を切り出そうかとじっと晃誠の方を見ていると、
「俺の顔になんかついてる?」
と聞かれて戸惑った。
「別に」
目線を下の方にずらして、目の前の飲み物を全て飲み干した。
「ゲホッ。ゲホッ」
一気に飲んだせいでむせてしまい、恥ずかしい。
「何やってんだ?」
呆れたように言う晃誠に違和感を感じた。今までだったら、「馬鹿、何やってんだよ」とふざけて笑うのに。
「その言い方ってどうなの?」
「え?」
「いつもみたいに笑って流せばいいのに」
晃誠ははっと気付いた顔をし、謝った。
「ごめん」
俺は畳みかけるように聞いた。
「なんか悩んでんじゃないの?」
「そんなことないけど」
「嘘だ」
強く言ってしまい、しまったと思った時は遅かった。
「何、それで誘ったのかよ」
晃誠は立ち上がって舌打ちする。怒ったみたいだ。
「待てよ」
俺は慌てて晃誠の腕を掴んだ。
「放せって」
「外じゃ話せないことなら、家で聞くよ。両親とも夜まで帰ってこないし」
そんな風に言っても、晃誠は何もないと否定するばかりで埒があかない。
2カ月ほどでだいぶ仲良くなったと思っていたのは、自分だけだったのかもしれない。
俺はため息をついた。
「じゃあそろそろ帰ろうか」
仕方なく手を放し、2人で黙々と片付け、店の外に出た。
気まずい空気のまま電車に乗り込む。
お互いため息ばかりで言葉が出てこなかった。
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