4 / 58
序章
家出
しおりを挟む
行くところなんてなかったが、家にいたくない。
中学の時につるんでいた宮田の家に行くと、嫌な顔をされた。
「学校外で会わないって取り決めだっただろ」
それは、中学の途中で遊びに誘いに行った時にも言われた言葉だが、俺は構ってられない。
「数日でいいから、泊めてくれないか?」
「は?」
「母ちゃんと喧嘩してさ。行くとこないんだよ」
「知るかよ」
「マジでお願い」
宮田は困った顔をする。
「つうか他に友達いねえのかよ」
「いない」
井口や山本は小学校卒業以来会ってもいないし、会いたくもない。自分の交友関係が乏しいのにちょっとむなしくなる。
「うちだって親いるんだよ」
そこをなんとかと頼み込んだ。
しょうがないなという顔をして、宮田は泊めてくれた。親には内緒でこっそりということだった。
おやつや夕飯とかの残りをこっそり部屋に入れてくれた。
しかし、それが一週間と続くと、
「いい加減家に帰れよ」
と言われてしまう。さすがにこれ以上迷惑はかけられないと思い、俺は宮田の家を出ることにした。
「迷惑掛けて悪かった」
そう言うと、宮田は急に
「お前の母親から連絡きたぜ」
と言い出す。
「なんて言ったんだよ」
「さあな」
「おい。ふざけるな」
「だからいい加減帰ってやれって」
いちいち人の家庭のことに口を出すなと言いたかった。でも俺は何も言わずに手を振る。
「どこ行く気だよ」
「知らねえよ」
同級に説教などされたくない。多分自分は意地になっていただけだと思う。
俺は宮田が余計なことを言ったせいでいらいらしていた。こんな状態で家に帰ったらそれこそ母親と修復できないほどの喧嘩をしてしまうのは容易に想像できる。
だからというわけではないが、俺は仕方なく渋谷をぶらぶらしていた。このむしゃくしゃした気を抑えるのはどうしたらいいのかと思いながら。
中学の時につるんでいた宮田の家に行くと、嫌な顔をされた。
「学校外で会わないって取り決めだっただろ」
それは、中学の途中で遊びに誘いに行った時にも言われた言葉だが、俺は構ってられない。
「数日でいいから、泊めてくれないか?」
「は?」
「母ちゃんと喧嘩してさ。行くとこないんだよ」
「知るかよ」
「マジでお願い」
宮田は困った顔をする。
「つうか他に友達いねえのかよ」
「いない」
井口や山本は小学校卒業以来会ってもいないし、会いたくもない。自分の交友関係が乏しいのにちょっとむなしくなる。
「うちだって親いるんだよ」
そこをなんとかと頼み込んだ。
しょうがないなという顔をして、宮田は泊めてくれた。親には内緒でこっそりということだった。
おやつや夕飯とかの残りをこっそり部屋に入れてくれた。
しかし、それが一週間と続くと、
「いい加減家に帰れよ」
と言われてしまう。さすがにこれ以上迷惑はかけられないと思い、俺は宮田の家を出ることにした。
「迷惑掛けて悪かった」
そう言うと、宮田は急に
「お前の母親から連絡きたぜ」
と言い出す。
「なんて言ったんだよ」
「さあな」
「おい。ふざけるな」
「だからいい加減帰ってやれって」
いちいち人の家庭のことに口を出すなと言いたかった。でも俺は何も言わずに手を振る。
「どこ行く気だよ」
「知らねえよ」
同級に説教などされたくない。多分自分は意地になっていただけだと思う。
俺は宮田が余計なことを言ったせいでいらいらしていた。こんな状態で家に帰ったらそれこそ母親と修復できないほどの喧嘩をしてしまうのは容易に想像できる。
だからというわけではないが、俺は仕方なく渋谷をぶらぶらしていた。このむしゃくしゃした気を抑えるのはどうしたらいいのかと思いながら。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。

代わりでいいから
氷魚彰人
BL
親に裏切られ、一人で生きていこうと決めた青年『護』の隣に引っ越してきたのは強面のおっさん『岩間』だった。
不定期に岩間に晩御飯を誘われるようになり、何時からかそれが護の楽しみとなっていくが……。
ハピエンですがちょっと暗い内容ですので、苦手な方、コメディ系の明るいお話しをお求めの方はお気を付け下さいませ。
他サイトに投稿した「隣のお節介」をタイトルを変え、手直ししたものになります。

その日君は笑った
mahiro
BL
大学で知り合った友人たちが恋人のことで泣く姿を嫌でも見ていた。
それを見ながらそんな風に感情を露に出来る程人を好きなるなんて良いなと思っていたが、まさか平凡な俺が彼らと同じようになるなんて。
最初に書いた作品「泣くなといい聞かせて」の登場人物が出てきます。
※完結いたしました。
閲覧、ブックマークを本当にありがとうございました。
拙い文章でもお付き合いいただけたこと、誠に感謝申し上げます。
今後ともよろしくお願い致します。

フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
胸キュンシチュの相手はおれじゃないだろ?
一ノ瀬麻紀
BL
今まで好きな人どころか、女の子にも興味をしめさなかった幼馴染の東雲律 (しののめりつ)から、恋愛相談を受けた月島湊 (つきしま みなと)と弟の月島湧 (つきしまゆう)
湊が提案したのは「少女漫画みたいな胸キュンシチュで、あの子のハートをGETしちゃおう作戦!」
なのに、なぜか律は湊の前にばかり現れる。
そして湊のまわりに起こるのは、湊の提案した「胸キュンシチュエーション」
え?ちょっとまって?実践する相手、間違ってないか?
戸惑う湊に打ち明けられた真実とは……。
DKの青春BL✨️
2万弱の短編です。よろしくお願いします。
ノベマさん、エブリスタさんにも投稿しています。

前世が俺の友人で、いまだに俺のことが好きだって本当ですか
Bee
BL
半年前に別れた元恋人だった男の結婚式で、ユウジはそこではじめて二股をかけられていたことを知る。8年も一緒にいた相手に裏切られていたことを知り、ショックを受けたユウジは式場を飛び出してしまう。
無我夢中で車を走らせて、気がつくとユウジは見知らぬ場所にいることに気がつく。そこはまるで天国のようで、そばには7年前に死んだ友人の黒木が。黒木はユウジのことが好きだったと言い出して――
最初は主人公が別れた男の結婚式に参加しているところから始まります。
死んだ友人との再会と、その友人の生まれ変わりと思われる青年との出会いへと話が続きます。
生まれ変わり(?)21歳大学生×きれいめな48歳おっさんの話です。
※軽い性的表現あり
短編から長編に変更しています
僕たち、結婚することになりました
リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった!
後輩はモテモテな25歳。
俺は37歳。
笑えるBL。ラブコメディ💛
fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる