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第8章 子育てと寄り道
子育てと退職
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その年の十二月に二人目の子供志郎君が産まれた。また男の子だったが、生れつき知恵遅れの傾向があった。二人の血の結果かもしれない。それでも二人は長男と同じように愛情を持って育てた。むしろ次男の方が過保護になりがちだった。
秀範君が志郎君ばかり構われて寂しそうにしていたので、俺がなるべく構ってあげたら、懐かれてしまった。
そして愛良ちゃんが途中でやりたい仕事ができたと言った。それは三人目の女の子愛美ちゃんがが産まれてちょうど一年後だった。俺は会社をやめることにした。藤越のお母さんとの約束だけじゃなく、在宅でもできる仕事を見つけたからだった。金はあって困ることはないし、子育ての息抜き程度にやるつもりだった。愛良ちゃんは俺に子育ての全てを任せるのに遠慮がちだったが、俺だって家族の一員だと強引に話をまとめた。藤越は「忠敏はたまにそういうとこあるよね」と笑っていた。
愛美ちゃんは小さい時からとても頭が良かった。幼稚園でも他の園児と比べて大人びていた。俺が送り迎えをすると、先生から誉められることも多くて自分の子のように鼻が高かった。
ある時愛美ちゃんが言った。
「私は先生たちからよく誉められるけど、志郎兄さんの知能を奪って産まれてきたんじゃないかと思うと悲しいの」
幼稚園児でこんなことを考えるんだから俺は反応に困ってしまう。
「愛美ちゃんは愛美ちゃん。志郎君は志郎君だろ。それぞれそんな風に生まれた意味がきっとあるはずだから、そんな風に悲観することじゃないよ」
「忠敏さんは前向きなのね。私も見習わなくっちゃね」
そんなことを言われると一層言葉に気をつけなきゃいけないような気がする。大人顔負けだと思った。
秀範君が志郎君ばかり構われて寂しそうにしていたので、俺がなるべく構ってあげたら、懐かれてしまった。
そして愛良ちゃんが途中でやりたい仕事ができたと言った。それは三人目の女の子愛美ちゃんがが産まれてちょうど一年後だった。俺は会社をやめることにした。藤越のお母さんとの約束だけじゃなく、在宅でもできる仕事を見つけたからだった。金はあって困ることはないし、子育ての息抜き程度にやるつもりだった。愛良ちゃんは俺に子育ての全てを任せるのに遠慮がちだったが、俺だって家族の一員だと強引に話をまとめた。藤越は「忠敏はたまにそういうとこあるよね」と笑っていた。
愛美ちゃんは小さい時からとても頭が良かった。幼稚園でも他の園児と比べて大人びていた。俺が送り迎えをすると、先生から誉められることも多くて自分の子のように鼻が高かった。
ある時愛美ちゃんが言った。
「私は先生たちからよく誉められるけど、志郎兄さんの知能を奪って産まれてきたんじゃないかと思うと悲しいの」
幼稚園児でこんなことを考えるんだから俺は反応に困ってしまう。
「愛美ちゃんは愛美ちゃん。志郎君は志郎君だろ。それぞれそんな風に生まれた意味がきっとあるはずだから、そんな風に悲観することじゃないよ」
「忠敏さんは前向きなのね。私も見習わなくっちゃね」
そんなことを言われると一層言葉に気をつけなきゃいけないような気がする。大人顔負けだと思った。
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