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第5章 告白
告白(3)
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「一つ聞いていい? どうしてわざわざ俺が愛良を好きってわかってから言ったの?」
俺はそう言われて言葉につまった。本当は自分でもわかってる。わざとだった。最初から成就する気なんてなかったから。だって、そんなことありえないだろ。
「万が一にも付き合うなんてありえないからだろ」
「何で?」
そんなこと聞き返さないでほしい。
「男同士だから?」
「他に何があるんだよ」
「そんなことで諦めきれる気持ちなの?」
と言われて固まる。こいつの言う通りだった。そんなんだったらこんなに悩まない。ずっと抱えて苦しんだりもしない。やめられるものならとっくにやめてる。やめられないから、こんな風に目の前にいるのに、届かない気になったりするんだ。どうしても、男とか女とかじゃなく、藤越透馬という人間が、どうしようもなく、愛おしい。それはもう俺が壊れてしまっているということだ。
「わかってる。ただ、言いたかっただけだよ。その先なんか元々考えてなかったんだ。言ったって何か変わるわけじゃないのに、どうしても伝えたかった。それしか考えられなかった」
「逆じゃない? 言って変わるのが怖かったんじゃないの?」
そんな風に何もかも見透かした風に言わないでほしい。
「そうだよ」
「じゃあ、見返りも何もを求めてないってことね」
「最初っからそう言ってんだろ」
「わかった」
何がわかったのかと思ったが、俺は他のことを口にしていた。
「想い続けるだけなら自由だろ」と。
そんなこと言うつもりなかったのに。俺はもう自分が何をするか何を口走るかわからなくなっている。
「高橋っちなんかキャラ変わってない?」
ほっとけと思った。
そしたら、急に藤越は一つだけしたいことをさせたあげると変なことを言いだした。純粋に俺の気持ちがうれしかったからと言うが、意味が分からない。
もしそれで無理矢理犯そうとしたらどうするんだと思う。俺がそんなことするわけないと思ってるのか。もちろんそんなことできやしないけど。
俺は仕方なく、「ちょっと目つぶって」と言うと、藤越は俺の言う通りにしてくれた。
俺は藤越をただそのまま抱きしめた。ぬくもりを感じたかった。自分の体に刻んでおきたかった。ただ俺が壊れているだけかもしれない。本当に小学生と言われても仕方ないかもしれない。
ただそれだけで良かったのだ。なんとなく泣きそうになってきた。
「高橋っち?」
藤越が呼ぶ声も聞こえていなかった。
「忠敏!」
もう一度名前を呼ばれてやっと気づいた。
「ごめん」
俺はぱっと手を離した。
「ちょっとぼーっとしてた」
「あのね」
「多分寝不足。なんか色々考えすぎて眠れなかったし」
藤越は「何それ」と言いながら笑った。
その日はそのままホテルに泊まって、朝帰りしたけど、俺はほとんど眠れなかった。藤越も同じのようだった。藤越はただ寝つきが悪いだけみたいだったが。
結局言って何が変わったのか。何も変わらなかった気もする。変わらなくて良かったのだ。
俺たちの関係を変えようとしたわけじゃない。あいつに自分のどうしようもない気持ちを受け止めてほしかった。本当に見返りも何もいらないとわかってほしかった。ただそれだけ。
俺はそう言われて言葉につまった。本当は自分でもわかってる。わざとだった。最初から成就する気なんてなかったから。だって、そんなことありえないだろ。
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「何で?」
そんなこと聞き返さないでほしい。
「男同士だから?」
「他に何があるんだよ」
「そんなことで諦めきれる気持ちなの?」
と言われて固まる。こいつの言う通りだった。そんなんだったらこんなに悩まない。ずっと抱えて苦しんだりもしない。やめられるものならとっくにやめてる。やめられないから、こんな風に目の前にいるのに、届かない気になったりするんだ。どうしても、男とか女とかじゃなく、藤越透馬という人間が、どうしようもなく、愛おしい。それはもう俺が壊れてしまっているということだ。
「わかってる。ただ、言いたかっただけだよ。その先なんか元々考えてなかったんだ。言ったって何か変わるわけじゃないのに、どうしても伝えたかった。それしか考えられなかった」
「逆じゃない? 言って変わるのが怖かったんじゃないの?」
そんな風に何もかも見透かした風に言わないでほしい。
「そうだよ」
「じゃあ、見返りも何もを求めてないってことね」
「最初っからそう言ってんだろ」
「わかった」
何がわかったのかと思ったが、俺は他のことを口にしていた。
「想い続けるだけなら自由だろ」と。
そんなこと言うつもりなかったのに。俺はもう自分が何をするか何を口走るかわからなくなっている。
「高橋っちなんかキャラ変わってない?」
ほっとけと思った。
そしたら、急に藤越は一つだけしたいことをさせたあげると変なことを言いだした。純粋に俺の気持ちがうれしかったからと言うが、意味が分からない。
もしそれで無理矢理犯そうとしたらどうするんだと思う。俺がそんなことするわけないと思ってるのか。もちろんそんなことできやしないけど。
俺は仕方なく、「ちょっと目つぶって」と言うと、藤越は俺の言う通りにしてくれた。
俺は藤越をただそのまま抱きしめた。ぬくもりを感じたかった。自分の体に刻んでおきたかった。ただ俺が壊れているだけかもしれない。本当に小学生と言われても仕方ないかもしれない。
ただそれだけで良かったのだ。なんとなく泣きそうになってきた。
「高橋っち?」
藤越が呼ぶ声も聞こえていなかった。
「忠敏!」
もう一度名前を呼ばれてやっと気づいた。
「ごめん」
俺はぱっと手を離した。
「ちょっとぼーっとしてた」
「あのね」
「多分寝不足。なんか色々考えすぎて眠れなかったし」
藤越は「何それ」と言いながら笑った。
その日はそのままホテルに泊まって、朝帰りしたけど、俺はほとんど眠れなかった。藤越も同じのようだった。藤越はただ寝つきが悪いだけみたいだったが。
結局言って何が変わったのか。何も変わらなかった気もする。変わらなくて良かったのだ。
俺たちの関係を変えようとしたわけじゃない。あいつに自分のどうしようもない気持ちを受け止めてほしかった。本当に見返りも何もいらないとわかってほしかった。ただそれだけ。
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