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第1章 再会と言う名の奇跡
再会
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ほんの偶然というのは奇跡に他ならない。
その時、本当にたまたま会ったのだ。あいつに。藤越、藤越透馬に。
俺が声をかけようか迷っていると、藤越は俺に気付かず素通りした。たまたま気付かなかったのか、俺のことを覚えていないのかはわからない。
このままだと見失う。そう思って慌てて追いかけるも、やはり藤越は振り向きもしない。 俺は仕方なく声をかける。
「おい」
「え?」
藤越は周りを見渡し、俺と目が合っても、誰から声をかけられたかもわかっていないようだった。
「藤越だよな」
わかっていながら聞くと、「あんた誰?」と聞き返される。
やっぱり覚えていなかったのかと思い落胆する。だけど、小学校のことを思い出されても困るのだった。
「中学一緒だった高橋だよ。今何やってんだ?」
小学校と言わなかったのは、当時のことが後ろめたかったからだ。
「よくわかんないけど、そんなことあんたに関係ある?」
覚えられていないことよりも、その言葉に俺は憤りを感じた。小学校の時とまるっきり同じ言葉だったから。
「ふざけんな。他に言うことないのかよ」
と、腕を引っ張った瞬間、何が起こったかわからなかった。
自分が吹っ飛ばされて、いつの間にか地面に倒れていた。痛いの痛くないのって、実際は痛いんだけど、それよりもその後に見た光景の異常さに俺の脳は支配される。
突然藤越より1.5倍くらいでかい女が現れ、藤越と痴話喧嘩をし出したのだ。実際はそこまででかいわけじゃないが、藤越の身長が標準より低いからそう見えるのかもしれない。
いや、多分これは女じゃなくおかまだろうと推測する。しゃべり方もなんとなくおかまくさいが、藤越の「透馬ちゃん」という呼ばれ方でそう思った。
しかも途中から抱き合い出したりして、正直見ていられない。のろけなら他でやってろと思う。
途中でおかまは去っていった。一体何だったんだろう。
俺はどう反応していいかわからず、しばらく放心していた。
その時、本当にたまたま会ったのだ。あいつに。藤越、藤越透馬に。
俺が声をかけようか迷っていると、藤越は俺に気付かず素通りした。たまたま気付かなかったのか、俺のことを覚えていないのかはわからない。
このままだと見失う。そう思って慌てて追いかけるも、やはり藤越は振り向きもしない。 俺は仕方なく声をかける。
「おい」
「え?」
藤越は周りを見渡し、俺と目が合っても、誰から声をかけられたかもわかっていないようだった。
「藤越だよな」
わかっていながら聞くと、「あんた誰?」と聞き返される。
やっぱり覚えていなかったのかと思い落胆する。だけど、小学校のことを思い出されても困るのだった。
「中学一緒だった高橋だよ。今何やってんだ?」
小学校と言わなかったのは、当時のことが後ろめたかったからだ。
「よくわかんないけど、そんなことあんたに関係ある?」
覚えられていないことよりも、その言葉に俺は憤りを感じた。小学校の時とまるっきり同じ言葉だったから。
「ふざけんな。他に言うことないのかよ」
と、腕を引っ張った瞬間、何が起こったかわからなかった。
自分が吹っ飛ばされて、いつの間にか地面に倒れていた。痛いの痛くないのって、実際は痛いんだけど、それよりもその後に見た光景の異常さに俺の脳は支配される。
突然藤越より1.5倍くらいでかい女が現れ、藤越と痴話喧嘩をし出したのだ。実際はそこまででかいわけじゃないが、藤越の身長が標準より低いからそう見えるのかもしれない。
いや、多分これは女じゃなくおかまだろうと推測する。しゃべり方もなんとなくおかまくさいが、藤越の「透馬ちゃん」という呼ばれ方でそう思った。
しかも途中から抱き合い出したりして、正直見ていられない。のろけなら他でやってろと思う。
途中でおかまは去っていった。一体何だったんだろう。
俺はどう反応していいかわからず、しばらく放心していた。
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