俺の人生を捧ぐ人

序章

中学から高校まで

　中学になって井口と山本とは別の学校になったので俺はほっとしていた。これ以上馬鹿ないじめを繰り返さなくてすむ。
　藤越とは同じ学校だったが、クラスも違ったし、話す機会は全くなかった。
　小学校３、４年のことを謝りたかったけど、結局できずに終わる。

　卒業式に藤越は一人だけ出席していなかった。最後なのに病気でもしたのかと思ってそれきりだ。

　俺は高校受験をしたが、身の丈の合わない東京で１、２を争う男子校にまぐれで受かってしまった。
　クラスは成績順に分かれており、周りは俺よりもレベルが上だった。
　高校に入って勉強ばかりの毎日に嫌気がさし、遊んでばかりいたら最下位のクラスに一気に下がったのだ。
　期末試験の成績により転校もありえるということを担任に言われる。俺は正直その方が気が楽だと思っていたが、母親は高い学費を払っているからと、勉強しろの一点張りだ。
　そのことで何度も口論になった。
「あんな学校行きたくて入ったわけじゃない」
「あんたが挑戦してみるって受けたんだろ。高い学費払ったっていうのに」
「いつも母ちゃんはそればっかじゃないか。せっかく喜ばしたいと思って無理して受けたのに」
「何でもかんでも人のせいにするんじゃないよ」

　後から考えると実にくだらない喧嘩だったと思う。俺がもう少し大人だったら結果は違っていただろう。
　ついに母ちゃんは家庭教師をつけると言い出した。それが大学生のブスな女で、気が萎える。しばらくは我慢して勉強していたものの、だんだん気に入らなくなってスカートをめくったりしたら別の先生に変えられた。
　そいつがもっと最悪だった。熱血を気取っているような男。俺が家庭教師の時間にわざと家にいないようにすると、母ちゃんは激怒し、修復できないぐらいの喧嘩をして俺は家を出た。