上 下
32 / 46
第十一章

11-1

しおりを挟む
 託の家に入ったら託に怖い顔をされた。
「仕事やめるってどういうこと?」
「え?」
「言ってたでしょ」
 聞かれていたのかと思った。
「それは、その……」
 託に言ったらやばいと思ったのに。
「あいつが、自分に従わないと上司に言ってやめさせるって」
「はあ?」
「託」
 もっと怒った顔をした託に困った。
「何で鈴也がやめる必要があるの? おかしいのは向こうじゃん」
 もちろんそれは僕も思ってた。でも仕方ないんだ。
「Subだから、仕方ないんだ。どうせ逆らえないから」
「そういうの犯罪だって知ってた?」
「え?」
「無理矢理コマンドを使うのはレイプと同じ犯罪だよ。あまり知られてないけど」
「そうなの?」
 そんなの知らなかった。
 託はため息をついた。
「でも、ノーマルの人がそんな事実知らないことが多いから、ほとんどは泣き寝入りだけど」
 託はDomとSubの動向にも詳しいみたいだった。

「ちょっとできがいいだけで調子に乗って嫌な奴」
「あの、託?」
 託の目が怖くて、恐る恐る話しかけた。
「今日はどうする? 月曜だから、やめとく? でも、明日仕事休んだ方がいいんじゃない?」
「うん。プレイしてくれるの?」
「何で? したくないの?」
「だって僕」
 パートナーにして欲しいと迫った手前、普通にプレイしていいのかわからなかった。

「パートナー契約する?」
「え?」
「仮でいいなら」
「仮?」
「東京都の条例で届け出ることできるようになったんだよ。だから首輪カラーも買って」

「だって契約クライムには」
「だから仮。別に拘束力があるわけじゃない。いつでも解除できる。ただ、他のドムの牽制にはなるから」
 託が言ってくれたことは素直にうれしかった。でも、本当にそれでいいのかと迷った。
「もうちょっと考えていい?」
「別にいいけど」

 普通に軽くプレイをした。足を舐めるだけの簡単なプレイ。しかし、鮫島の足をスリッパごと舐めさせられたのを思い出して途中で気持ち悪くなった。
「鈴也、大丈夫? 顔真っ青。やめよう」
「やだ。やめたくない」
「鈴也!」
「あんなの忘れたい。託に上書きしてほしい」
 託は「よしよし」と言って頭を撫でてくれた。
「じゃあもうちょっと続けようか」
 託の手が僕の口の中に入ってくる。自分の舌や喉奥を撫でられているような感じがして気持ち良かった。
 口に入ってるから声が変になるけど、反応してしまった。
「鈴也口の中でも感じてる」
 そんなこと言われて恥ずかしくなった。
「顔真っ赤」
「託!」
「青くなったり赤くなったり忙しいね」

 僕は託の方を向けなかった。
 プレイが終わってもしばらく顔が火照ってた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

待てって言われたから…

ふみ
BL
Dom/Subユニバースの設定をお借りしてます。 //今日は久しぶりに津川とprayする日だ。久しぶりのcomandに気持ち良くなっていたのに。急に電話がかかってきた。終わるまでstayしててと言われて、30分ほど待っている間に雪人はトイレに行きたくなっていた。行かせてと言おうと思ったのだが、会社に戻るからそれまでstayと言われて… がっつり小スカです。 投稿不定期です🙇表紙は自筆です。 華奢な上司(sub)×がっしりめな後輩(dom)

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

双葉病院小児病棟

moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。 病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。 この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。 すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。 メンタル面のケアも大事になってくる。 当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。 親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。 【集中して治療をして早く治す】 それがこの病院のモットーです。 ※この物語はフィクションです。 実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。

処理中です...