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第十章
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会社に行く足取りが重かった。慣れた満員電車もきつく感じる。
吐き気がするのを捨て置いて、体を引きずるように会社に行った。
会社に入ってすぐ上司に呼び出された。
「鮫島君が君の下につきたくないと言ってきたんだが、何か心当たりはあるかね」
僕は答えに窮した。託にいいようにされたから、僕に八つ当たりしているのかもしれない。
「わかりません」
そう言うしかなかった。
「そんなことじゃ困るんだよね」
どうしようと思った。
「君のせいで鮫島君がやめたら責任を取ってもらうよ」
僕は何もしていないのに、何故こんな目にあわなきゃいけないのだろう。Subだからだろうか。
鮫島に会いたくなかった。
一度も接触してこなかったのにほっとしたのもつかの間、昼休憩の時に資料室に引っ張られた。
「あんた邪魔なんだよ」
強い目で睨まれた。
「あんたみたいな大した学歴もないSubなんかより、高学歴で仕事もできる俺の方が使える。やめるのはあんたの方」
何も言い返せない。グレアを当てられたわけでもないのに。
「でも、あんたさえ良けりゃ選ばせてあげますよ」
鮫島は口調を変えても少しも笑っていなかった。
「あの男をやめて俺に従えば、上司に取り繕ってあげてもいい」
何を言ってるのかわからなかった。
「パートナーでもない奴のために人生棒に振るのか考えてみてくださいね」
鮫島は嫌な笑いをして去っていった。
託と会うのをやめて鮫島に従えと言ってるのか。
そんなのあり得ない。たとえ託がもうプレイしてくれなくても、鮫島とプレイなんか2度としたくなかった。
でも、そうしないと首になってしまう。上司にも釘を刺された。
家賃も払えなくて路頭に迷うだろう。
やっぱりそんなのできるわけない。明日から職探しかと思ってため息をついた。
昼休憩が終わる前にスマホが鳴った。託からの電話だ。
心配してかけてくれたようで、戸惑った。うれしいけど、今の状況を話したら、託が会社に乗り込みかねない。託を巻き込むわけにはいかなかった。
電話には出ずに、『大丈夫』とひとことメールで返すにとどめた。
吐き気がするのを捨て置いて、体を引きずるように会社に行った。
会社に入ってすぐ上司に呼び出された。
「鮫島君が君の下につきたくないと言ってきたんだが、何か心当たりはあるかね」
僕は答えに窮した。託にいいようにされたから、僕に八つ当たりしているのかもしれない。
「わかりません」
そう言うしかなかった。
「そんなことじゃ困るんだよね」
どうしようと思った。
「君のせいで鮫島君がやめたら責任を取ってもらうよ」
僕は何もしていないのに、何故こんな目にあわなきゃいけないのだろう。Subだからだろうか。
鮫島に会いたくなかった。
一度も接触してこなかったのにほっとしたのもつかの間、昼休憩の時に資料室に引っ張られた。
「あんた邪魔なんだよ」
強い目で睨まれた。
「あんたみたいな大した学歴もないSubなんかより、高学歴で仕事もできる俺の方が使える。やめるのはあんたの方」
何も言い返せない。グレアを当てられたわけでもないのに。
「でも、あんたさえ良けりゃ選ばせてあげますよ」
鮫島は口調を変えても少しも笑っていなかった。
「あの男をやめて俺に従えば、上司に取り繕ってあげてもいい」
何を言ってるのかわからなかった。
「パートナーでもない奴のために人生棒に振るのか考えてみてくださいね」
鮫島は嫌な笑いをして去っていった。
託と会うのをやめて鮫島に従えと言ってるのか。
そんなのあり得ない。たとえ託がもうプレイしてくれなくても、鮫島とプレイなんか2度としたくなかった。
でも、そうしないと首になってしまう。上司にも釘を刺された。
家賃も払えなくて路頭に迷うだろう。
やっぱりそんなのできるわけない。明日から職探しかと思ってため息をついた。
昼休憩が終わる前にスマホが鳴った。託からの電話だ。
心配してかけてくれたようで、戸惑った。うれしいけど、今の状況を話したら、託が会社に乗り込みかねない。託を巻き込むわけにはいかなかった。
電話には出ずに、『大丈夫』とひとことメールで返すにとどめた。
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