上 下
4 / 46
第二章

2-1

しおりを挟む
 そんな託と再会したのは、社会人になってからだった。
 当時僕は自分のサブ性を持て余していた。定期的にプレイをしていないと体に不調をきたしてしまうのがわかっていたから、行きづりの人とプレイをするために知人から教えてもらったプレイ場に通っていた。
 その日も一度限りの相手とプレイをしていた。性的なものは苦手だったので、基本プレイはムチなど痛みを伴うものにしていた。
 プレイを終えた後、同じタイミングで隣のプレイルームから出てきたDomが知っている顔のような気がした。

 目が合った瞬間にやばいと思った。
 グレアを放たれる前に目をそらし、逃げるように踵を返した。
 そこで腕を掴まれた。
内田うちだ君じゃん」
沓間くつま、くん」
 かろうじて君をつけた。元々は呼び捨てだったけど。
「奇遇だね。こんなとこで何やってんの?」
 そらした目を無理矢理向けさせられた。ゾクッとしたものが体を駆け巡った。まだグレアを注がれてもいないのに。
「あ」
 答えられない。よもや目をそらすこともできなかった。
「もしかして、内田君Subだったの?」
 知られたらやばかったのに。僕はうつむいた。
「へえ」
 託は僕を全身なめ回すように見てきた。
「昔散々なめたまねしてくれたよね」
 その目が怖くて立っていられなかった。
「おすわり」
 と突然コマンドを放たれた。プレイ場の中じゃないのにこんなこと。誰かに見られるかもしれないのに。
 僕はもちろん逆らうことなどできなかった。
 その場で膝をつきおすわりの態勢になった。
 託はおすわりの態勢の僕の顎を持ち、グレアを注いだ。
「俺の犬になってもらうから。異論なんかないよね?」
 強烈なグレアにあてられて、僕は何も考えられなくなった。

 それから少なくとも週に1回気まぐれに呼ばれ、プレイをさせられた。
 途中から呼び方は「内田君」から「鈴也りんや」になったけど、変わったのはそれだけだった。
 託は名字で呼ばれたくないみたいで、プレイの時は託様と言えと言われる。
 特に予定は決まってなくて、突然メールで呼ばれるのだ。毎日だったり、一日おきだったり、1週間後だったり。もちろん準備もできない。シャワーなど浴びさせてはもらえないので、いつ呼ばれてもいいように仕事から帰ってすぐシャワーをあびるのが日課になった。
 夕食を食べている暇がないときもある。

 基本的には日付が変わる前に終わるので、それから電車で帰り、家に着いたらもうくたくただ。シャワーを浴びずに寝てしまいたくなるところを無理して浴びる。
 プレイによっては精液でどろどろになっていたりするので、そのまま寝るのは気持ち悪い。
 休みの前日だと比較的ゆっくりできるのだが、週5の仕事で休む暇もない日がほとんどだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

双葉病院小児病棟

moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。 病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。 この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。 すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。 メンタル面のケアも大事になってくる。 当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。 親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。 【集中して治療をして早く治す】 それがこの病院のモットーです。 ※この物語はフィクションです。 実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

処理中です...