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第一章

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 発端は中学の時のいじめだ。

 小学校の時はただ普通に友達だった。なのにどうして託にあんなことをしてしまったのだろう。

 小学校5年生のクラス替えで託と初めて同じクラスになった。
 託はまだ僕より身長が低く幼い顔をしていた。
 明るく人懐っこい性格だったのもあって、近くの席で同じ班になってから、僕によく話しかけてくれた。仲良くなるのに時間はかからなかった。
 当時から頭が良くて、僕の知らないことも色々教えてくれる託と一緒にいるのが楽しくて、放課後や休みの日によく遊んだ。 

 ある日学校の鑑賞会で漫才を見た時のことだ。男2人の掛け合いが面白くてみんな笑っていた。僕も同じ用に笑っていたけど、途中1人がとちって、もう1人が鋭い視線で相方を見たのに気付いた。
 すぐにその場をおさめて笑いに変わったけど、僕だけは笑えなかった。

 男の視線に射すくめられたのだ。誰も僕のように戦いている奴はいなかったし、気のせいだと思うことにした。
 だけど、続けて同じようなことを体験し、無視できなくなった。両親とショッピングモールで買い物をしていた時だ。僕は両親と離れておもちゃ売場を見ていた。
 その時、横の通路で言い合いをしている男女が目に止まった。すると突然男性が女性に鋭い視線を送ったのだ。僕はまただと思った。
 この前と違って近くにいたので、もろに視線を浴びてしまった。
 僕は目眩がし、その場を動けなくなった。
 両親が来て僕の具合が悪いのに気付き、すぐ家に帰った。両親は風邪だと思ったようだけど、あの視線のせいだと僕は確信していた。
 すぐに具合は良くなったし、大事にはいたらなかった。

 2度も浴びたあの視線は何なのかが気になり、インターネットで調べたら、Domが放つグレアだとわかった。
 Subがグレアを浴びると萎縮してしまう。目眩や動悸がすることもあると書いてあった。
 衝撃な事実だった。

 世界で20%程度しかいない第2性ダイナミクスを自分が持っているなんてにわかに信じ難い。支配する側であるDomと支配される側のSubが存在するのはちらっと聞いたことがあったが、夢物語だと思っていたのに。
 しかも自分がよりによってDomに支配され命令されることが快感で被虐欲が高いSubだなんて。支配されたいなんて思ったことはない。何かの間違いじゃないかと思った。
 誰だって自分が支配される側の人間だなんて知りたくないと思う。

 僕は誰にも言わなかったし、まだどこかで疑っていた。それが決定的になったのは中学の時だ。
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