誰もいないのなら

海無鈴河

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2.偽物以上本物未満

11.笑い飛ばしてよ

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 3学期が始まってしばらくしてから、私の周りが騒がしくなった。

「視線を感じる」
「あー……やっぱり?」

 一緒にいる友人もそう思うらしく、きょろきょろとあたりを見回しながらそう言った。

「やっぱり、ってことは……心当たりがあるんだ?」
「まぁ、ね」

 教室の後ろのドアからじっと私たちを見ている目。

 話は数日前にさかのぼる。
 放課後、いつものように会議室で仕事していると突然勢いよくドアが開いた。

「どうもっ! 放送部です!」

 テンションの高い男子生徒が入ってくる。続いて、カメラを持った男子生徒も。

「えーと……突然なんですか?」

 フリーズしていた私に代わり、神戸くんが応対してくれる。

「いやぁ。実は、取材をさせていただきたくてですねぇ。あ、申し遅れました! 僕は放送部2年の河内と申します! こっちは1年の能登」
「どうも……」

 カメラの人の方はぼそっと喋り、頭を下げた。なんだか対照的な二人だなぁ。

「取材?」
「はい。今をときめくレジスタンスの美人リーダーをぜひ我が部で特集させていただきたく」

 名刺(よくできてる)を私に差し出しながら河内という人は言った。

「美人……誰が?」
「おい、大隅!」

 ……そして後ろでこそこそやってるけど私はスルーを決める。

「で、その特集って何するんですか」
「こちらをどうぞ」

 河内さんはすかさず「企画書」と書かれた冊子を渡してくる。
 ぺらりと一枚めくると、概要が載っている。何々……。

『密着! レジスタンスリーダーの一日』

 ……って。

「誰得?」

 私の一日に密着して何の得になるのだろうか……。

「分かってませんねぇ。大和さんは吉野生徒会長に並んで生徒からの支持が厚いんですよ。需要は充分です!」
「そうだったの!?」

 そんなことは知らなかった。そりゃ、レジスタンスを支持してくれる生徒は少なくは無いけれど。

「それじゃ生徒会の取材はしないの?」

 ふと疑問に思ったことを聞いてみると、河内さんははぁとため息をつく。

「それがですねぇ……我らが放送部は生徒会からあまり良く思われてないんですよ」

 へぇ……。

「ですが、我々はあくまでも中立を謳っています。真実を伝えるためには中立が一番!」

 要するに、この人たちは私達の敵でも味方でもなかった。
 さて、取材はどうしようか。
 正直、私に密着するよりもレジスタンスの活動を取り上げてほしい。……それに、あまり目立つのはなぁ。

「すみませんが、今回はお断りしま……むぐ」

 そう私が言おうとしたその瞬間。
 誰かの手が私の口をふさぐ。

「っちょ、何すんの!? 神戸くん!」
「リーダー、少しいいですか?」

 にこやかな顔のまま、私は彼に引きずられて会議室の隅に。

「いいですか。リーダー。彼らは中立といいました。ならば、俺達の方につく可能性があるってことですよ」
「うーん……まあ、そうだね」
「つまり、ここで恩を売っておけばいずれ……」

 顔が、顔が怖い。
 私は神戸くんの迫力に負けて、取材を受けることになってしまったのだった。

「ってわけでして」
「あんた……意外と押しに弱いよね」

 呆れたような友人の視線を受けながら、次の授業の準備をする。

「どのくらいかかるの? 取材」
「わかんない……」

 河内さんは「もうすぐいいアイディアが降ってくる!」って言ってけど……。
 またはぁっとため息をついて、私はふと思い出した。明日、水曜日じゃん。
 水曜日は蒼司と一緒にお弁当を食べる日になっている。でもこんな状態だと絶対に無理。
 しかも相手は放送部。関係がバレたらネタになるに決まってる!
 ……連絡しよう。私はさっそくLIMEを起動させ、メッセージを送った。

『明日のお昼、行けないと思う』

 数分後に返信。

『なにか予定が?』
『放送部の取材』

 それだけで蒼司には伝わったらしい。

『あぁ……放送部か。あそこはしつこいからな。俺のところにも来たことがある』

 なんだ。既に生徒会は取材したあとだったんだ。

『しばらく会わない方がいいだろうな』

 そして蒼司は、デートもお弁当も落ち着くまで無しということを言った。断るわけもなく、私は了承する。
 おばあさんのことは大丈夫だと言ってくれて心強い限り。珍しく(……というわけじゃないけど。本当に)私は蒼司に感謝した。


 密着取材なんてほんの2、3日あれば終わると思っていた。しかし、予想に反して放送部はなかなか離れてくれない。

「あの……いつまで取材するんですか?」

 しびれを切らした私は、ある休み時間そう尋ねた。

「そうですねぇ……もう少しでいいネタが降ってきそうなんですが」

 いいネタってなんだ。

「とはいえあまり長引かせても鮮度が落ちてしまいますからねぇ。……近いうちにインタビューをさせていただきます。それで最後。詳細はまた後日お送りしますよ」

 インタビューかぁ。面倒だな、って思うのとやっと解放されるという思いが混ざり合う。
 河内さんと能登さんはそのまま帰って行った。おぉ。久々に視線を感じない。すばらしい……。
 そうだ。蒼司にも伝えておこう。
 LIMEを起動し、蒼司へのメッセージを送る。最後の送信はもう一週間以上も前だ。そもそも、私たちは頻繁に連絡を取り合ってはいない。たいてい業務連絡。こういうときに限って、特に用事もなかった。
 興奮を抑えて、私はいつも通りにメッセージを作成。

『密着取材、とりあえず落ち着きそう』
『そうか。良かったな』
『明日、水曜日だけどお昼どうする』
『……いつも通りに』
『了解』

 お弁当を作るのも久しぶりだ。
 頭の中で何を入れようか、とシュミレーションする。蒼司の好きだって言ってた卵焼き、久しぶりに作ろうかな。
 廊下を歩きながらそんな風にぼんやりしていたからか、人にぶつかってしまった。

「わぁ! すみません!」

 慌てて飛びのき、謝るとそこには美作先生が。

「いつにも増してぼやっとしてんなぁ」
「私、いつもそんなにぼやっとしますか?」
「俺にはそう見える。なんつーか、色々抜けてる」
「……」

 悔しいが反論できない。

「あと弁当のこと考えるのはいいが、口に出すのはやめとけ。怪しいから」
「……聞こえてましたか?」
「ものすごく」

 うわぁ。やっちゃったー。
 考えてることが口から出てしまうのは私の悪い癖だ。

「にしても、弁当ひとつにそんなに真剣になって……男か」
「なっ!?」

 冗談なのか本気なのか分からない真顔でそう言われて、私は思わずむせた。

「ちが、違います!」
「おっさんの目はごまかせんぞー」
「自分でおっさんって言っちゃいますか……!」
「自覚はあるからな。で、真相は?」

 なぜこの教師、ノリノリなんだろう。困惑しつつ美作先生と会話を続けていると、急に視線を感じた。
 ……なんだろう。放送部はもういないはずなのに。
 ピリピリとした、突き刺さるような視線。気になって、思わずあたりを見回した。
 私は先生越しに、誰かがこちらを見ているのに気がついた。私の視線を追って、先生も振り返る。

「……吉野。何か用か?」

 蒼司……。
 少し離れたところに、書類を持った蒼司が立っていた。
 表情が……無い。それが怖い。
 まるで初めに戻ってしまったかのようで。
 怒ってるの? それとも呆れてるの? まったく分からない。
 なんだか悪いことを見つかったみたいな居心地の悪さを感じ、私は一歩後ずさる。なにも……やましいことなんてないのに。
 私が何も言えないでいると、美作先生が慌てたように言う。

「ちょっとこっち来ようなー、吉野」

 そして蒼司の背を押すとどこかへ行ってしまった。どうしたんだろう。いきなり。……急ぎの用事でもあったんだろうか。
 ぽつんと廊下に残された私は仕方がなく、そのまま帰路についた。なんともいえない気持ちを抱えたまま。




 蒼司は美作に連れられ、人気のない廊下に移動していた。

「先生、一体なんですか」

 ようやく足をとめた美作に、蒼司はたずねた。
 美作はうーんと唸り、頭をぽりぽりとかき、口を開いた。

「……顔が怖い」
「は」

 いきなりなんだ、この人は。
 ぽかんと口を開ける蒼司に、美作は言いづらそうに続ける。

「あー、なんだ。お前、人のこと刺しそうな目してたぞ」
「……そんなつもりはありませんが」
「自覚なしかよ。嫉妬するのはいいが、もう少し抑えんと。おびえてたぞ、大和が」

 たっぷり10秒、蒼司はかたまっていた。そして、ゆっくり口を開く。

「嫉妬? 誰が」
「お前が」
「……」

 信じられない。驚愕の表情を蒼司はうかべた。
 それを見た美作はますます苦笑いになる。

「俺と、大和が仲良さげに話してたのが気に食わんかったんだろ」
「……」

 蒼司は、はぁっとため息をつくと冷たい表情で言い放った。

「俺は先生が教師としてあるまじき発言をしているのを呆れてみてただけです」
「いつにもまして毒舌だな……ま、そういうことにしといてやるよ」

 美作は蒼司の手から書類を引きぬき、元来た道を戻って行った。残された蒼司は人がいないことを確認して、壁にもたれかかる。うつむいてそのまま息を吐き出す。

「……俺が、嫉妬? そんなはずがない」



 水曜日、私はお弁当の2つ入った鞄を持って階段をのぼる。
 久しぶりの蒼司とのお昼ご飯。少しくらい楽しい気分になったっておかしくないはずなのに……そうできない理由があった。

「お待たせ」

 いつものように踊り場の陰を見ると、すでに蒼司が来ていた。

「いや、大丈夫だ」

 お弁当を渡し、そろって箸を持つ。はじめは近況報告みたいな他愛のない会話をしていたけど、私はどこか上の空だった。
 ついつい返事もおろそかになってしまう。

「……何かあったのか?」

 そんな私の様子に気がついたのか、食べ終わったタイミングで蒼司がそう尋ねた。
 何かあったのか、と聞かれれば……あった。

「…………例の密着取材の件で」

 私はためいきをついて、鞄から企画書を取り出し、蒼司に渡した。受け取った彼は表紙のタイトルに目を通す。

「『今をときめく美人リーダーのプライベートに迫る!』」

 淡々と読み上げないで欲しい。そして私の顔をじっと見ないで。

「うん。色々言いたい気持ちはすごーく分かる」
「……まだ何も言っていない」

 反応見れば丸分かりなんですよ。
 蒼司は咳払いをひとつして、今度は企画書の中身を見た。

「……なんだこれは」
「そう。活動のことにはぜんぜん触れてくれなくて……プライベートって書いてあるからそうなんだろうけど」

 インタビュー自体はしょうがない、と諦めている。問題はその内容だった。

「やはり放送部は一度制裁を加えておくべきだったか」
「物騒。ただでさえ仲良くないのに……どうしてこんな、交友関係とか家のこととかばっかりなんだろう」

 ざっと書かれた質問項目は、まともな物が少ないくらい。レジスタンスのリーダーっていうより、大和朱莉へのインタビューって感じだ。

「別に断っても良かったんだろう」
「それはそうなんだけど……」

 神戸くんの言葉が頭の中にリフレインする。……さすがに生徒会長の前で、レジスタンスのアピールのためと言えるほど私は度胸が据わっていない。
 言葉を濁す私に、蒼司は何か言いたそうにしていたけど、結局口を閉じた。



「本日のゲストは、代議部――通称レジスタンスのリーダー、大和朱莉さんです。よろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いします」

 私は明らかに緊張していた。
 インタビューの本番。しかもお昼休みの生放送だ。相変わらず人前に慣れていない私には荷が重い。
 あぁ、こういうときは生徒会長様が羨ましい。

「いやぁ、大和さんといえば生徒会との活発な議論で生徒たちにも人気の高い注目人物! クラスでも人気者でしょう」
「あはは……そんなことは……」

 インタビュアーのよく分からないお世辞に苦笑いで返し、インタビューは進んでいく。
 話はいつの間にか私の交友関係についてに変わっていた。

「大和さんほどの方なら、男子にも人気があるのでは!?」
「そんなことないです……」
「もしかして……彼氏とか居ちゃったりします!?」
「いない、です……」

 嘘は言ってない。嘘は。あいつは彼氏のフリをしているだけ。
 なんだか嫌な流れだな……。そんな私の予感は的中することになる。

「では、中学の頃とかは?」

 あぁ。やっぱりそうくるんだ。

「誰かから告白されたりとか、あったんじゃないですか!?」

 告白……かぁ。
 ずきん。
 ずっと忘れていた、いや、忘れていたかった傷が開いた。苦い気持ちが広がっていく。インタビューもカメラも忘れて、その場を離れてしまいたかった。

「……そういうのは、全然。ほら、私、ガサツだし、短気だし」

 どうにかそれだけ答えると、幸か不幸か、インタビュアーはそれ以上その話題に触れてこなかった。
 ……。
 そのあとの質問には何を答えたのか、全然覚えていない。


 気がついたら、生放送は終わっていて、私はぼぉっとしたまま放送室から出た。昼休みの終わりも近い。廊下に出ている生徒はあまりいなかった。
 足を止め、窓の外をそっと見る。風が強いせいか、木の枝が大きく揺れていた。
 カツン、と背後で足音がした。

「……どうかしたのか」

 私は振り返らなかった。今は、顔を合わせられない。

「さっきのインタビュー、途中から様子がおかしかったな。昔の話になったあたりで」

 どうしてこんな時だけ鋭いの。

「何かあったのか? ……嫌なことでも聞かれたか」

 どうして放っておいてほしいときだけ……優しいんだろう。
 カツン。また一歩、近づく気配がした。
 苛立ったように、彼は言う。

「いい加減……こっちを見ろ!」

 肩を掴まれ、予想以上に強い力で体の向きを変えられる。私が彼の顔を見た瞬間、彼は戸惑ったような顔をした。
 視界がぼやけて、涙があふれる。

「インタビューが泣くほど嫌だったのか……?」

 困ったように彼が言った。

「違う……そうじゃなくて」

 チャイムが鳴った。もう、授業が始まる。

「……場所を変えよう」

 彼はそっと私の背を押した。


 いつもの踊り場で、蒼司は静かに私が落ち着くまで待ってくれた。

「……ごめん。授業サボらせちゃって。もう大丈夫」
「そうか」

 蒼司は少しだけほっとしたように息を吐いたあと、私に尋ねた。

「君の悩みは、俺には言えないことなのか?」

 ……気を使ってくれているんだろうか。
 突然泣いて、困らせてしまったし……彼になら話してもいい気がする。
 私は深呼吸をして、覚悟を決めた。自分の傷と向き合うのは、勇気がいる。

「話すよ。……私の、中学生の頃の話」

 私は「全部聞いたら笑い飛ばしてよ」と最後に付け加えて、話しはじめた。



 中学生のころの私は陸上部で、毎日部活ばっかりしていた。肌は日焼けで真っ黒。髪もベリーショートで、男の子みたいに見えるってよく言われた。
 中身もそう。今と変わらない短気で、思ってることがすぐに口に出て、ガサツ。どこにも女の子らしさなんてなかった。

 そんな私が、ある日人を好きになった。
 同じ陸上部の同級生。足が速くて、少し意地悪だけど優しかった。
 彼と私は同じ種目だったこともあって、いつも一緒に練習していた。どうして好きになったか、なんて覚えていないけどたぶん些細なことだったと思う。
 彼と一緒に過ごす時間が楽しかった。他の女の子よりも彼と仲の良い自信もあったし、実際にそうだった。
 彼とこれ以上の関係になりたい。私はそう思った。

 ある日の部活の後、二人きりになったときに告白した。
「好きだ」と伝えたときの彼の表情は、唖然という感じだった。
 しばらくそのまま固まっていた彼は、やがて口を開いた。

「ごめん……俺、お前のこと女として見れない。男友達みたいな感覚っていうか」

 そのあとどうやって家に帰ったのか覚えていない。
 人生初の告白で、ふられて。しかも理由が異性として見られていない。
 私は気まずい気持ちを抱えたまま、部活にうちこんだ。
 やがて、彼は一個上の先輩と付き合うことになる。肌は雪のように白くて、さらさらのロングヘア。優しくて、おしとやかな女性。……私と正反対。
 男の子はこういう人がいいんだ……。
 じゃあ、私はどうすればいいんだろう。性格を直せばいいの? 見た目を変えればいいの? 私が私じゃなくなればいいの?
 ……それは。……それは嫌だ。


「そう思ったときに気づいた。私は、自分を殺すことができない。だから恋なんて無理だって」

 一区切りついて、蒼司のほうを見ると彼はやけに神妙な顔をしていた。

「……昔のことだって。ほら、笑い飛ばしてよ」

 あははと笑いながら言ったつもりだったのに、私の発した声は予想以上に弱弱しかった。

「笑えないな」
「……そう?」

 蒼司は何かを言おうとしていた。迷うように瞳が揺れて、口を開こうとして閉じる。

「無理に慰めようとしなくても……」
「違う」

 私の言葉を途中でさえぎり、蒼司は覚悟を決めたかのように私をまっすぐに見つめた。

「怖いのか? ……人を好きになることが」
「……」

 怖い。
 口に出さなくても、蒼司には伝わったらしい。彼は決して目をそらさない。

「……そのままでいい。君を殺す必要はない」
「……だから、慰めなくていいってば」

 そっぽを向いてそう言えば、彼は少しムッとしたけど、目だけは逸らさない。きちんと、私の目を覗き込む。

「慰めではない」
「嘘だ」
「嘘でもない。俺は今の君がいい」

 それは本当の言葉なんだろうか。まっすぐな瞳の奥で彼は何を考えているんだろう。
 怖い。分からない。

「……嘘だ」

 うつむいてそう言ったら、彼ははぁとため息をついた。

「君は強情だな。……俺の言葉は信じられないか」
「……」

 答えられない。正直、私は蒼司の言葉を素直に信じられない。彼は優しいから、慰めてくれているだけなんだ。

 ふっと彼が立ち上がる気配がした。

「……これ以上は言っても無駄だな。俺はもう行く」

 足音が遠ざかっていく。私はひとりになった。
 蒼司の声が頭の中で繰り返される。
 怒ったような、寂しいような複雑な感情が交じり合った声。
 ……私、彼を傷つけてしまった?
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