異世界転生したかと思いきや終末世界転生だった件

003

3分ほど走り続け、なんとか逃げ切れたようだ。

「あ、あの～」
ずっと全力で走り続けたので呼吸が荒くなっている。
身体能力が上がっているとはいえ、さすがにキツいな。

「お、おーい」
消え入りそうな声がした。
下を向くと、顔を真っ赤にしたエリスがお姫様抱っこされている……
「うわっ！す、すいません！」
逃げることだけを考えていたので、自分が何をしているのか把握できてなかった。

エリスは風で乱れた服を整えると言った。
「私はあまり男性とはあまり関わった事がないからこういう事には慣れていないの、今後は気をつけるように！」
はぁ……やっぱり非常時とはいえ、女性の体に触ったのはまずかったか……
「注意します……」
そう返すと、彼女は「でも」と言いながらこっちを向いた。

「ヒロトの必死に女の子を守ろうとする姿勢には感動しました。」
ありがとうございました、と頬を紅く染めながら言った。

薄々気づいていたけど、エリスは軽いツンデレ属性があるのかもしれない。



「ところでエリス、こちらの世界について詳しく教えてくれないか？さすがに情報量が少なすぎる」
「それが……私もほとんど知らないのよ」

え……？

「俺を転生させる前に転生先のリストを見てたじゃん！」

「この世界は深い事情があって冥界からの観測が出来なかったのよ。」

エリスは短くため息をついた。

｢だから『過酷な世界』なのです。」




………………………よ、よく分からん。