片道切符の異世界転移

ベートーベン、ピアノソナタ第十四番【月光】

レクイエムというジャンルを演奏するということは特別な意味がある。

　あたしにとってはピアノを教えてくれた水野先生という存在への感謝と追悼の念。
　
　一番は亡くなってしまった水野先生にレクイエムを捧げたいと思ったんたけど、水野先生が好んで弾いていたベートーベン～【月光ソナタ】

　特に難易度の高い第三楽章。
　初めてこの第三楽章を聴いた時には真っ暗な夜空に明るく輝く大きなお月さまの瞬きが脳裏にありありと浮かんだのが印象的だった。


　第一楽章は単調なリズムでゆっくりとしたリズム。

　でも脳裏には真っ暗な寂しい夜空が浮かび、なんだか悲しいようなそんなイメージの曲。

　第二楽章になると第一楽章の真っ暗だっと夜空のイメージと違い、明るい月明かりの下で若い男女が華麗な踊っているような明るいイメージ。


　水野先生の教え方が凄く上手だったこともあり、楽譜の読み方や指の動かし方を覚えるのは早かったと思う。

　もちろん、音を聴き分けるための耳も同時に鍛えられた。

　そして第三楽章が弾けるようになった頃には楽譜を見れば、どの曲目もその通りに弾けるようになっていた。