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年老いても反応してしまう男のサガ
しおりを挟むもしかしたら、このまま風呂桶を棺桶にするのでは? と村内では当然のごとく笑い話の種だったりする。
だけど最近は物忘れが激しく、記憶が曖昧になっている感じだ。
いくら若返りの効果を謳っていたり、延命効果があり、さらに不老長寿とまで言われているこの銭湯も、蓋を開ければこんなもの。
おんとし九十歳になるゲンさんもついに認知症がはじまっている。
ちなみに言うと、この銭湯は村内、正確には集落内の人しか使わない為、男風呂と女風呂の別れていない混浴だ。
武田信玄が口外禁止にしたとか、延命効果とか若返りとかは正直言ってどうでもいい。
だけどいい湯だというのは否定できない。
村の外までいかなければ病院はないけど、ここの銭湯は身体を洗ったり暖まったりするだけではなく、なにかあればすぐ籠目湯といわれちょっとした身体の痛みや体調が悪いときに入れば一発なのは間違いない。
あたしにとっては体調が悪い時か、どこか身体を痛めた時にしか使わなかったけど、、高校受験の時は毎日ではないけど、かなりの頻度で使っていたのを思いだす。
そんな籠目湯の常連でもないあたしがこうしてゆっくりお風呂に浸かるのはホントに久し振りだ。
湯船を降りないゲン爺さんと、ゆっくり話していた時だった……。
「失礼します」
広い浴室内にふんわり広がる鈴の音を思わせる美しい声。
村内でも集落内でも見かけたことがないスタイル抜群の美形の女性が湯船の縁におしりを着けて片足ずつゆっくりと湯船に入る。
無色透明なお湯だからわかってしまうゲン爺さんの下半身がなにやら反応している?
悲しいかな、男性という種族はいくつになっても元気になるときは元気になってしまう。
「ゲンさんお久しぶりです」
美形の女性はゲンさんの存在を知っているようで、声をかけながら入浴。
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