輿乗(よじょう)の敵 ~ 新史 桶狭間 ~

四谷軒

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第十六部 決戦の地

87 嵐の中

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 吹きすさぶ嵐の中で。
 荒れ狂う「石水混じり」の雨の下で。
 森三左衛門可成もりさんざえもんよしなりが、自慢の十文字槍を振るう。

「がっ」

「ぐわっ」

 柵の残骸の前にいた今川の兵は、一瞬にしてその場に倒れ伏した。

「……つづけ!」

 可成が十文字槍の穂先を振って、残り血を落としながら、今川軍の様子を推し量り、今が突入の機なりと告げた。
 すると木々の茂みに隠れ潜んでいた織田軍の将兵が、わっと叫んで飛び出して来た。
 その先頭は。

「われこそは前田又左衛門利家まえだまたざえもんとしいえ! 二番槍を、つかまつるぅ!」

 利家が可成の隣にまで至り、そしてそのまま皆朱の槍を突き出した。
 その槍の穂先は、騒ぎを聞きつけて来た今川軍の将の胸を貫通する。

「お……ぐっ」

「……この陣の将と見たり。可成どの!」

「うむ!」

 可成は愛馬を躍らせて、逃げる今川兵を追い、先へと向かった。
 この桶狭間山の、上にいるはずの、輿乗よじょうの敵――今川義元へと向かって。



 津々木蔵人つづきくらんどは、薬草を摘みに来たところ、遠雷のようなとどろきを耳にした。
 聞くと、その「遠雷」のあとに、何か喚き声のようなものも聞こえる。

「いやそもそも――雷なのか?」
 
 蔵人は何やら胸騒ぎがして、薬草を入れたざるを置いた。
 そういえば、あのような轟音、どこかで聞いたような。
 蔵人の胸騒ぎは、現実性を帯びていく。

「いつ、どこで聞いた?」

 自問の答えはすぐに出た。
 それは、浮野の戦い。
 織田伊勢守家おだいせのかみけ織田信賢おだのぶかたと織田信長の戦い。
 そのにおいて。
 当時、蔵人にくみしていた林弥七郎が、弓による信長の暗殺を目論み、そこで、信長の方の鉄砲名人・橋本一巴によって阻まれた。
 その際、橋本一巴は驚異の弾丸を用いた。
 その弾丸を、ふただまといい、それは弥七郎の立っていた地面を抉り、爆散させた。弥七郎はそれにより態勢を崩され、暗殺続行を不可能にされた。

「あの時のふただま。もしや……!」

 焦燥する蔵人が駆けて行くと、ぶすぶすという、何かが燃えて、そして水がかかって起こる音が聞こえてくる。

「もしや、もしや」

 言うと現実になる。
 そういう、らちもないことを蔵人は考えた。
 今はまずい。
 今は、そういうことになるのは、まずい。
 今川義元の足は、相当以上に痛んでいる。
 本人が言うには、立ち合いはできる、とのことだが怪しいものだ。
 そんな状態の義元に、敵襲の報が入ったらどうするか。
 義元の性格上、まず陣頭に立とうするだろう。
 それはまずい。

「海路、熱田を制しつつあるというのに……あと少しなのに、万一のことがあっては」

 前方に、今川軍の重鎮・蒲原氏徳かんばらうじのりが怒鳴り散らす姿が見える。

「突然、由比ゆいの陣が

「突然?」

 蒲原氏徳はかつて、激戦たる安城合戦の大将を務めたほどの男である。その男が、あわてていた。
 そして由比とは、由比正信ゆいまさのぶであり、たしか桶狭間山中腹に陣していたはずだ。

「本陣の近くに……!」

「そうだ」

 氏徳は「ちょうどいい」と言って、早く蔵人に、本陣に戻って義元にこのことを告げろと怒鳴った。

は急を要する。連中、由比の陣の次は長谷川の陣、さらにその次は飯尾の陣と、打ち破っておる。今は久野くのうの陣へと襲いかかっておる」

 久野――久野氏忠くのううじただの陣は、由比の陣から、長谷川の陣、飯尾の陣と、直線状にまっすぐに、今川義元の本陣へと進む場合のの陣である。
 厭な予感がした。
 連中、つまり織田軍以外の何物でもないが、この風雨をいて、出来得る限り、義元の本陣へ接近し、そしてさすがに由比正信の陣はその横をすり抜ける「隙間すきま」が無く、そのために奇襲したのではないか。
 由比の陣は突然の出来事ゆえ、それによって潰れ、もはや存在が明らかになった織田軍は、目の前の長谷川の陣へと猛襲し、そして……。

「次から次へと今川の陣を食い破り、やがて……義元さまの本陣へと!」

「そうだ」

 氏徳は苦々しげに、それを首肯した。
 く行けと言い、そしてこうも言った。

「われら今川の臣、これより幾重もの壁となり、織田に立ちはだかる所存。それゆえ、義元どの出陣には及ばずとな!」

 織田家は今、窮鼠と化している。
 この一点、この一瞬に全てを賭けて挑んできている。
 その勢い、天魔の如し。
 それにより、今川軍には混乱を生じつつある。
 それも、大混乱を
 ここを攻めに出るは愚の骨頂であり、ゆえに今は敢えて守りに徹し、丸根にいる松平元康、そして鷲津にいる朝比奈泰朝の救援を待つ。
 さきほど蔵人自身が言及した熱田の海路よりのもある。
 ここは受け流し、、そしてやがて真綿で包むように織田を包んで揉み潰すのが得策。

「承知!」

 蔵人は走った。
 雨の中を。
 敵、織田家は雨の中を攻めてきたが、これからはこの雨が、今川家の味方だ。

「この雨の中……義元さまをあたう限り遠くへ。この際、時間を稼いだ方が勝ちだ。さすれば……今川の尾張入りは、完成するのだ」

 そのためにも、おそらく意地を張るであろう今川義元を口説き、あるいは強引に輿に乗せてしまわねば。
 豪雨と、今度は本物の雷もあり、蔵人は何度か立ち止まることを余儀なくされる。
 そういう時に周囲を見ると、誰もが混乱している。
 大兵力であるがゆえの、連携の煩雑さ。それが災いして、今や、今川軍は大混乱の渦中にあった。
 むろん、織田の手の者が紛れ込んで、あることないことを口走っているせいでもあるが。

「美濃の斎藤家の兵も来ているぞ」

「ばか。美濃は一色だろ」

「いやいや、さっき近江の六角を名乗る奴らが。美濃は六角と同盟しているだろ」

「何い!?」

 虚報だ。
 ことの正否を確かめることができない以上、せめて自陣を守るのに務めたらいいのに、それどころか陣を動かす、大高城に行くという者まで出始め、もう今川軍の迷走は止められない。

「くそっ、何ということだ。少し前、少し前まで、今川は優勢だった。いや、今だって落ち着けば、時が経てば優勢になる。戻る。それが何だ」

 流言飛語は、これあるを期して織田の謀臣・簗田政綱が埋伏していた間者たちによるものである。そして間者でない者も金銭かねを掴まされており、彼らは北といえば南、南といえば北と言い出す。

 ……そして、そういう今川軍の中をひたすらに、ひたぶるに攻め進む群れがあった。
 織田軍である。

「かかれ! かかれ! かかれ柴田、ここにあり! 今川は動揺しているぞ! は今よ!」

 柴田勝家が自ら槍を取って。突進する。

「つづけ! 柴田どのにつづけ!」

 河尻秀隆と林秀貞が、勝家の左右から飛び出してくる。彼らの部隊もまた、躍り出す。

「征け! かかれ! のちの世に……語り草となるはここぞ!」

 これは織田信長の声だ。
 信長もまた、自ら槍を取って、戦場を駆けめぐる。
 その隣には帰蝶が、緋色の甲冑をまとってこう叫んでいた。

「われこそは斎藤利治! 美濃・斎藤道三入道が一子! 斎藤家の家督を継ぐ者なり! わが父・道三の仇、今川義元はどこぞ!」

「せや! わいは斎藤家いちの武者、明智十兵衛や! こちらのおひいさまの言うとおりや! さっさとを出しい! 隠すと、にならんでえ!」

 火縄銃はしまったため、帰蝶にもらった薙刀を振るう十兵衛が吠える。
 こうして織田軍は全員一丸となって今川軍の陣を一枚、また一枚といく。
 そしてその織田軍のは、簗田政綱と木綿藤吉だ。

「そっちじゃない! こっちだ!」

「こっち、こっち!」

 政綱と木綿はに徹しているため、戦闘はしない。
 戦闘は飽くまで、この二人の周りにいる、毛利新介、毛利長秀、服部小平太の三人がおこなう。
 そういう配置である。

「…………」

 毛利新介は、いちいち自分が織田家いちの武者であることを誇示しない。むしろ隠す。
 での勝負を大事にしているためだ。
 その性格が幸いし、織田軍のである政綱と木綿は、織田軍の先頭集団であるにもかかわらず、あまり目立たず、かつ、襲われても即座に新介らに退けられ、であることに集中することができた。

「もうちょっと高いところにいるはず!」

「あっ、前から敵兵! 左です、左の方から!」

 左の方から――一宮宗是いちのみやむねこれ率いる軍が、相次ぐ混乱にしびれを切らしたのか、自ら動いて近づいて来ていた。
 織田軍はその一宮の軍に合ってしまう。

「おう、あれぞ織田木瓜おだもっこうの紋。織田家の軍ぞ」

 一宮宗是はかつて、武田信玄が信濃侵掠の際に、今川義元から援兵として派されたことのある猛将であり、織田軍としては、初めて歯ごたえのある敵に会敵したといえる。

「小癪なる織田めが! 義元さまの覇道をさえぎるなど、笑止千万!」

 宗是が凄む間にも、新介は無言で小平太と目で会話する。
 合わせろ。
 わかった。

「どれ! いざ尋常に勝負! この一宮宗是が直々に……うっ、うぬぅううう!」

 宗是の左右に新介と小平太が飛び、その両側から槍で串刺しにする。

「……奇襲だ。尋常に勝負など、できるか」

 新介はその捨て台詞と共に、「ふん」と力を込めて、槍を抜く。
 小平太も同じく槍を抜き、そしてまた政綱と木綿に張り付いて、を守らんと周囲を警戒するのだ。



 津々木蔵人からの「織田、奇襲」の一報を聞き、今川義元は即座に行動に出ようとした。

「あいや、しばらく」

 蔵人が無礼を承知で立ち上がって、義元の前に立ちふさがった。

「……何の真似だ」

「……いずこへ?」

 何だか、と義元は気色ばんだ顔の緊張を解いた。

「案ずるでない……さすがにオレとて、ここで退くことが得策であることぐらい、わかる」

「……さようですか」

 やはり今川義元は、最適の選択をする。
 よかった。
 これなら、いける。
 そう思った蔵人は、早速に義元を輿に乗せ、輿舁こしかきらを急がせた。

今川こちらの方が数が多いが、油断はできん。念のため、退くだけじゃ」

 義元は、こんな時にも輿舁きら周囲への気遣いを忘れない。
 持ち上がった輿の上で、義元は痛む足をさすりつつ退き陣を命じ、同時に松井宗信を呼んだ。
 丸根と鷲津への救援の使いを飛ばすためだ。

「この、持ちこたえれば勝てる。逃げ切れば勝てる。そのためには、元康と泰朝の兵が必要だ。わかるな」

 使いを出すことを命じられた松井宗信は、それを首肯しながらも、義元にひとつ願いがあることを申し出た。

「何だ」

「義元さまの御乗馬の白馬を賜りたい」

「……それは」

 義元は輿に乗り換えたものの、乗馬である白馬を置いていくことはなく、今この場にも連れて来ていた。
 その白馬を賜りたいということは。
 宗信が義元の影武者として務めたい、と言うに等しい。
 松井宗信は、三河田原城攻めにて義元から「粉骨無比類」と称えられた勇将である。その宗信がそこまでの発言をすることにより、事態の深刻さが知れた。

「この宗信、手勢二百を率いて、敵の様子を見て参ったが……尋常ならず。すでに、由比、久野らを破り、そして次から次へと……今また一瞬にして一宮を打ち破った……生半可なことをしていたのでは」

 そこで宗信は言葉を切った。
 負ける、とは言いたくなかった。
 だが、今の織田は危ない。
 それはまるで手負いの獣のような。
 そんな危険な勢いを感じる。

「美濃といい、海路と言い、追い詰めてしまったか……窮鼠を」

 義元はそんなひとりごとめいたつぶやきを洩らした。
 そういえば、あの河越夜戦の時も、窮鼠となった北条家が虎とって、河越を囲んでいた扇谷上杉朝定おうぎがやつうえすぎともさだ山内上杉憲政やまのうちうえすぎのりまさの「両上杉」を「食った」ことを思い出した。

オレとしたことが……失念しておったわ」

 だが悪くない。
 義元は笑った。
 それは、己は「両上杉」とはちがうという思いと、こうまでなってもまだ最後には勝てるという自負からかもしれない。

「許す。よかろう。ただし勝て。勝ってあの白馬を、見事松井宗信の乗馬とせよ。これは褒美の前渡しぞ」

「ありがたき幸せ!」

 宗信は勇躍して白馬に乗り、そのまま手勢の二百を引き連れて、織田軍のいる方へと駆け去って行った。
 あとに残された義元はしばし瞑目して、宗信のために祈っていたが、やがて眼を開けて「出せ」と命じた。

 今川義元、逃走。
 その従う兵は、護衛役の四宮左近しのみやさこん以下、三百名。
 逃げ切れば勝てるがゆえの逃走であり、またそれを知る松井宗信の覚悟を無駄にしないための逃走でもあった。
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