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第九部 双頭の蛇
53 浮野の戦い 前編
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駿河。
藤枝。
その屋敷に、尾張で津々木蔵人と呼ばれた者は来ていた。
屋敷には百舌鳥狩用の百舌鳥の鳥小屋があった。
蔵人はその簡素な屋敷に挨拶も告げずに入り、ずかずかと奥の間まで進んだ。
進んだ先に。
一人の男が、床に臥せっていた。
「父上」
父上と呼ばれた男は返事をしない。いや、返事ができないくらいに弱っていた。
舌打ちをする蔵人。
だがそれをとがめる者がいた。
「よしたがいい、蔵人。お父上の体に障るぞ」
「……これはご無礼を」
水の入った桶を持って、奥から出て来たのは今川義元だった。
蔵人は桶を受け取って、父親の額におかれた布を濡らし、しぼり、そしてまた額の上に置いた。
「……それで」
義元はそれだけ聞いた。
蔵人も心得たもので、淡々と織田信行の「末路」とその際の脱出を語った。
「……以上により、織田信長をある程度立ち往生させることはできましたが、それだけでござりまする、伯父上」
「そうか」
伯父と呼ばれた義元は、ふと、床に臥せる弟を――今川氏豊を見た。
今川氏豊。
かつて、尾張那古野城の城主にして、今川義元の弟である。
寺に入れられた義元とちがって、「生まれが良い」との理由で、那古野城の城主に据えられた。ただし、その後、織田信秀という英雄にその城を狙われ、盗られている。
信秀は氏豊を追放するにとどめた。氏豊は恥じたのか、駿河には戻らず、京へ上った。母の生まれである公家を頼ったのだ。
しかし当時の――戦国時代の公家の財力など、知れたものである。
氏豊は氏豊で、母の実家の厚意に甘んじることなく、幕府の役人や他の公家の知人に百舌鳥狩や連歌を教えるなどして、口に糊したが――それも限界を迎えた。
「――やむを得ん。駿河に帰ろう」
当時、氏豊の妻は身ごもっており、貧窮のままでは、母子ともに危ういと思ったのだ。
こうして、天文五年、氏豊は身重の妻を伴って、駿河への帰途についた。
ただし、当時の駿河は戦乱――花倉の乱という、今川家三男・今川良真と四男・今川義元の家督争いの真っ最中であった(長男と次男は死亡している。そのための家督争い)。
末弟の氏豊は何も考えずに、三男・良真の方を頼ってしまう。これは、良真の祖父である福島越前守(つまり良真から見て外戚)が遠江に勢力を張っていたことが大きい。
その時、良真は義元によって追い込まれており、末弟と名乗る氏豊の登場に、何かの策略かと疑い、迎え入れるふりをして、毒殺を試みた。
「氏豊? 氏豊!」
義元が良真の居城・花倉城を落とした時、昏倒した氏豊と、その横で泣きわめく氏豊の妻を発見した。
氏豊は口がきけない、動けない……そういう状態になっていた。
氏豊の妻は絶望し、蔵人を生んでそのまま死んでしまう。
「……その節は、伯父上に感謝しております」
「何の、兄として弟を助けられなかったは、予の不徳。礼には及ばぬ」
義元は氏豊を藤枝に移し、家僕等を置いて世話をさせた。
残された子である蔵人は、義元の師である太原雪斎に預け、「将来はその子の望むままに。なりたいものになるようにしてくれ」と頼んだ。
雪斎としては僧侶として育てようと思っていたが、ある日、蔵人の前に「亡霊」が現れた。
その「亡霊」の名は福島越前守といった。
実際には越前守は生きており、彼は「亡霊」を名乗って言葉巧みに蔵人を扇動した。
いわく、蔵人の父・氏豊は本来、尾張那古野城主である。
いわく、城を取り戻せば、今川家の一門衆へと舞い戻れる。
いわく、氏豊に毒を盛ったのは伯父の……。
「喝!」
雪斎が気づき、越前守は捕らえられたが、その呪詛は残った。蔵人の為人に。
ならば仕方あるまいと、雪斎は蔵人に謀略を教えた。義元もちょうど、尾張への大望を抱いていたため、蔵人につきあってもらうことにして、蔵人自身の「望むままに」、尾張へと潜入させた。
そして今に至る――
*
「わが父は不心得者にございます。城を奪われた時、京に上らずに、駿河に戻れば……花倉の乱で、あのような不覚を取らずに済んだものを……いえ、むしろ城を奪われたこと自体が……」
「もうよい」
その津々木蔵人の言葉は、実は今川義元にとっては「繰り言」である。
蔵人はことあるごとにそれを言いつのり、義元が駿府にて政なりいくさなりに務めるように言っても、「父の不心得を何とかしてから」と答えてくる。
義元としては息子の氏真の側にでも仕えるか、あるいは松平元康のように将として活躍して欲しいのだが、蔵人の本来の性質ゆえか、このような陰謀家めいた真似をしている。
だがそれももう終いかと思い、義元が駿府へ共に行くかというと、こう返してきた。
「まだです。まだでございます。以前に伯父上がおっしゃったように、織田の信長めは鉄砲が厄介。ゆえに、信長の鉄砲の師である、橋本一巴めをどうにかいたします」
そういえば、以前に村木砦の戦いがあった時に、信長の「三段撃ち」の策を知り、厄介だなと零したことがあった。
蔵人は律義にもそれを覚えていて、「対策」を打ったという。
「……しかれども蔵人よ」
「何でございましょう、伯父上」
「それについては、策を考えてある」
「さようでございますか?」
蔵人はまた、何かの陰謀を聞かせてもらえる、教えてもらえるといったような表情をしてきた。
これだ。
これだから、この男は将には向かん。
せめて、政に……。
そう思ったが、義元は首を振った。
そのどちらにも向かないと認めた氏真は、「なら向く方にお任せします」と答えた。
この男も、そういう発想を持たねば。
「……蔵人よ」
「はい」
「予の策を知りたいか」
「はい」
「……なら、その橋本一巴を斃す策とやら、己が立ち会ってみよ。そして帰って来た時に……教えてやろう」
「ありがたき幸せ」
蔵人は父・氏豊に一瞥をくれると、早々に旅立っていった。
あとに残された義元は、床に臥したままの弟に言った。
「せめて……いくさの場に身を置けば……多少は考えが変わるやもしれぬな……氏豊よ」
床の氏豊は相変わらず返事をしないが、わずかにうなずいたような気がした。
*
……織田信長は行軍している。
まだ、織田信行の「死」から、ほんのわずかな月日しか経っていない。
そういう状況下で、岩倉織田家・織田信賢と、織田弾正忠家・織田信長の決戦、「浮野の戦い」が始まる。
事実上の尾張統一戦であり、このいくさを制した者が、尾張の覇者と言えた。
そしてこれまで、どちらかというと防衛というか「受け身」であった信長の戦いに比して、今回の戦いは岩倉織田家の内紛に乗じるという、積極性があった。
「……攻めねばならん」
時を与えては、美濃の一色義龍が地固めを終えて、援軍を送ってくるかもしれない。
そしてまた、三河の混乱――三河忩劇を制した今川義元が、それこそ援軍ではなく自ら大軍を率いてやってくるかもしれない。
「せっかくの義父上の置き土産……これを活かすには、まずはこのいくさを制する」
その義父――斎藤道三の置き土産、すなわち国譲り状の真の意味に気づいた信長は、同じくそれを理解した帰蝶と木綿藤吉に、蜂須賀小六を加えて、それへの「対策」を考えさせていた。
そして自らは岩倉織田家を制さんと行軍している。
「だがまだ足りぬ。濃と藤吉、そして小六だけでは……」
「お? 織田の殿サンやないか?」
軽みのある関西弁。
飄々とした態度。
信長がふと目を上げると、少し離れたところで「おーい」と手を振る明智十兵衛の姿があった。
「じゅっ……十兵衛どの!」
「おわっ、何やその怪体な声。そないな大きい声出さんでも、聞こえるわい」
わざとらしく渋面を作る十兵衛に、思わず信長は笑ってしまった。
藤枝。
その屋敷に、尾張で津々木蔵人と呼ばれた者は来ていた。
屋敷には百舌鳥狩用の百舌鳥の鳥小屋があった。
蔵人はその簡素な屋敷に挨拶も告げずに入り、ずかずかと奥の間まで進んだ。
進んだ先に。
一人の男が、床に臥せっていた。
「父上」
父上と呼ばれた男は返事をしない。いや、返事ができないくらいに弱っていた。
舌打ちをする蔵人。
だがそれをとがめる者がいた。
「よしたがいい、蔵人。お父上の体に障るぞ」
「……これはご無礼を」
水の入った桶を持って、奥から出て来たのは今川義元だった。
蔵人は桶を受け取って、父親の額におかれた布を濡らし、しぼり、そしてまた額の上に置いた。
「……それで」
義元はそれだけ聞いた。
蔵人も心得たもので、淡々と織田信行の「末路」とその際の脱出を語った。
「……以上により、織田信長をある程度立ち往生させることはできましたが、それだけでござりまする、伯父上」
「そうか」
伯父と呼ばれた義元は、ふと、床に臥せる弟を――今川氏豊を見た。
今川氏豊。
かつて、尾張那古野城の城主にして、今川義元の弟である。
寺に入れられた義元とちがって、「生まれが良い」との理由で、那古野城の城主に据えられた。ただし、その後、織田信秀という英雄にその城を狙われ、盗られている。
信秀は氏豊を追放するにとどめた。氏豊は恥じたのか、駿河には戻らず、京へ上った。母の生まれである公家を頼ったのだ。
しかし当時の――戦国時代の公家の財力など、知れたものである。
氏豊は氏豊で、母の実家の厚意に甘んじることなく、幕府の役人や他の公家の知人に百舌鳥狩や連歌を教えるなどして、口に糊したが――それも限界を迎えた。
「――やむを得ん。駿河に帰ろう」
当時、氏豊の妻は身ごもっており、貧窮のままでは、母子ともに危ういと思ったのだ。
こうして、天文五年、氏豊は身重の妻を伴って、駿河への帰途についた。
ただし、当時の駿河は戦乱――花倉の乱という、今川家三男・今川良真と四男・今川義元の家督争いの真っ最中であった(長男と次男は死亡している。そのための家督争い)。
末弟の氏豊は何も考えずに、三男・良真の方を頼ってしまう。これは、良真の祖父である福島越前守(つまり良真から見て外戚)が遠江に勢力を張っていたことが大きい。
その時、良真は義元によって追い込まれており、末弟と名乗る氏豊の登場に、何かの策略かと疑い、迎え入れるふりをして、毒殺を試みた。
「氏豊? 氏豊!」
義元が良真の居城・花倉城を落とした時、昏倒した氏豊と、その横で泣きわめく氏豊の妻を発見した。
氏豊は口がきけない、動けない……そういう状態になっていた。
氏豊の妻は絶望し、蔵人を生んでそのまま死んでしまう。
「……その節は、伯父上に感謝しております」
「何の、兄として弟を助けられなかったは、予の不徳。礼には及ばぬ」
義元は氏豊を藤枝に移し、家僕等を置いて世話をさせた。
残された子である蔵人は、義元の師である太原雪斎に預け、「将来はその子の望むままに。なりたいものになるようにしてくれ」と頼んだ。
雪斎としては僧侶として育てようと思っていたが、ある日、蔵人の前に「亡霊」が現れた。
その「亡霊」の名は福島越前守といった。
実際には越前守は生きており、彼は「亡霊」を名乗って言葉巧みに蔵人を扇動した。
いわく、蔵人の父・氏豊は本来、尾張那古野城主である。
いわく、城を取り戻せば、今川家の一門衆へと舞い戻れる。
いわく、氏豊に毒を盛ったのは伯父の……。
「喝!」
雪斎が気づき、越前守は捕らえられたが、その呪詛は残った。蔵人の為人に。
ならば仕方あるまいと、雪斎は蔵人に謀略を教えた。義元もちょうど、尾張への大望を抱いていたため、蔵人につきあってもらうことにして、蔵人自身の「望むままに」、尾張へと潜入させた。
そして今に至る――
*
「わが父は不心得者にございます。城を奪われた時、京に上らずに、駿河に戻れば……花倉の乱で、あのような不覚を取らずに済んだものを……いえ、むしろ城を奪われたこと自体が……」
「もうよい」
その津々木蔵人の言葉は、実は今川義元にとっては「繰り言」である。
蔵人はことあるごとにそれを言いつのり、義元が駿府にて政なりいくさなりに務めるように言っても、「父の不心得を何とかしてから」と答えてくる。
義元としては息子の氏真の側にでも仕えるか、あるいは松平元康のように将として活躍して欲しいのだが、蔵人の本来の性質ゆえか、このような陰謀家めいた真似をしている。
だがそれももう終いかと思い、義元が駿府へ共に行くかというと、こう返してきた。
「まだです。まだでございます。以前に伯父上がおっしゃったように、織田の信長めは鉄砲が厄介。ゆえに、信長の鉄砲の師である、橋本一巴めをどうにかいたします」
そういえば、以前に村木砦の戦いがあった時に、信長の「三段撃ち」の策を知り、厄介だなと零したことがあった。
蔵人は律義にもそれを覚えていて、「対策」を打ったという。
「……しかれども蔵人よ」
「何でございましょう、伯父上」
「それについては、策を考えてある」
「さようでございますか?」
蔵人はまた、何かの陰謀を聞かせてもらえる、教えてもらえるといったような表情をしてきた。
これだ。
これだから、この男は将には向かん。
せめて、政に……。
そう思ったが、義元は首を振った。
そのどちらにも向かないと認めた氏真は、「なら向く方にお任せします」と答えた。
この男も、そういう発想を持たねば。
「……蔵人よ」
「はい」
「予の策を知りたいか」
「はい」
「……なら、その橋本一巴を斃す策とやら、己が立ち会ってみよ。そして帰って来た時に……教えてやろう」
「ありがたき幸せ」
蔵人は父・氏豊に一瞥をくれると、早々に旅立っていった。
あとに残された義元は、床に臥したままの弟に言った。
「せめて……いくさの場に身を置けば……多少は考えが変わるやもしれぬな……氏豊よ」
床の氏豊は相変わらず返事をしないが、わずかにうなずいたような気がした。
*
……織田信長は行軍している。
まだ、織田信行の「死」から、ほんのわずかな月日しか経っていない。
そういう状況下で、岩倉織田家・織田信賢と、織田弾正忠家・織田信長の決戦、「浮野の戦い」が始まる。
事実上の尾張統一戦であり、このいくさを制した者が、尾張の覇者と言えた。
そしてこれまで、どちらかというと防衛というか「受け身」であった信長の戦いに比して、今回の戦いは岩倉織田家の内紛に乗じるという、積極性があった。
「……攻めねばならん」
時を与えては、美濃の一色義龍が地固めを終えて、援軍を送ってくるかもしれない。
そしてまた、三河の混乱――三河忩劇を制した今川義元が、それこそ援軍ではなく自ら大軍を率いてやってくるかもしれない。
「せっかくの義父上の置き土産……これを活かすには、まずはこのいくさを制する」
その義父――斎藤道三の置き土産、すなわち国譲り状の真の意味に気づいた信長は、同じくそれを理解した帰蝶と木綿藤吉に、蜂須賀小六を加えて、それへの「対策」を考えさせていた。
そして自らは岩倉織田家を制さんと行軍している。
「だがまだ足りぬ。濃と藤吉、そして小六だけでは……」
「お? 織田の殿サンやないか?」
軽みのある関西弁。
飄々とした態度。
信長がふと目を上げると、少し離れたところで「おーい」と手を振る明智十兵衛の姿があった。
「じゅっ……十兵衛どの!」
「おわっ、何やその怪体な声。そないな大きい声出さんでも、聞こえるわい」
わざとらしく渋面を作る十兵衛に、思わず信長は笑ってしまった。
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