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第四部 陰謀の嵐
23 調略とその顛末
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守山城。
城主であり、織田信長の叔父である織田信光は、その日、意外な人物の訪問を受けた。
その人物は、常ならぬ遜った態度を示し、信光が上座をと勧めても固辞し、結局対面するかたちで座って話すことになった。
「……それで」
信光は少し不機嫌そうに言った。
「ここまでして……拙者に何用でござる、坂井大膳どの」
坂井大膳は片手を上げて、まあまあと信光をなだめる。
「いやいや、他意はござらん、他意は」
そういう言い方をすると、かえって他意があるように聞こえると信光は思ったが、黙っていた。
下手に口出ししない方がいい。
わざわざ敵中であるこの守山城にまで来て、言いたい何かを洩らすまでは。
信光の第六感がそう告げていた。
大膳はそのような信光の心中を知ってか知らずか、それではと口を開いた。
「実は……敢えてかような訪いを申し上げたのは、他でもござらん」
大膳は座ったまま、ずいと前に出る。
「……わが主、守護代・織田信友公、こたび隠居すると決め申した」
「……さようでござるか」
何を今さら、と信光は内心舌打ちをした。
信長と信光、さらに信行にまで手を組まれて追い込まれて、織田大和守家つまり守護代家は今や、瀕死のあり様であった。
清州の城こそ保っているものの、上に戴く守護職・斯波家の斯波義銀は信長に押さえられ、先の安食の戦いで主だった将兵――河尻左馬丞、織田三位は討ち取られ、散々な状況である。
このままだと、放っておいても立ち枯れるのではと思われるほど、織田守護代家は追い詰められていた。
信長などは「出家でもすれば、許してやるつもりである」と信光にこの前洩らしていたほどである。
それが、隠居すると来た。
信光は推し量る。
つまり、信長に直接そういうことを言うのは外聞が悪い。それゆえ、敢えて信光にそれを告げ、「信長に負けたのではない」と言い張るつもりか。
「さにあらず、さにあらずじゃ、信光どの」
大膳は、隠居と言うたではないか、と信光にすり寄って来た。
気持ち悪い、と信光は素直に思った。
「そう邪険にしないで下され。悪い話ではござらぬ」
そう言われれば言われるほど悪い話と思ってしまうのが分からんのか、と信光は心の中で毒づいた。
だが大膳はそんな信光の内心にかまわずにすり寄りつづける。
「実はでござるな……わが主、信友さまが隠居するにあたり、貴殿を養子にしたいとおっしゃるのじゃよ、信光どの」
「……はあ?」
何を言い出すのかと思ったら、よりによって「養子」とは。
だが信光はそのやり口には感心した。
織田信長は織田弾正忠家の当主の座を保っている。
弟の信行はその当主の座を狙っている。
二人とも、弾正忠家こそが、尾張の「王」であることを知っているからだ。
一方で信光はというと、微妙な立場である。
織田信秀という不世出の傑物の弟であり、それゆえに弾正忠家を支える立場。
「いかがでござろう? いっそのこと、弾正忠家など飛び越えて、守護代の座に……」
奸悪な表情を浮かべる大膳。
地が出ている。
これは、大膳の知恵ではないな。
信光はそう感じた。
守護又代であるということを鼻にかけ、本来であれば弾正忠家の輩など、歯牙にもかけない。
そのような「位に対する意地」を持つ男が、知恵を拝借する相手……。
「まさか」
その呟きはごく小さいものであり、先ほどから信光を知勇兼備の武士と褒めそやしている大膳の耳には入らなかったらしい。
信光はある決心を固め、手を二度打った。
「お呼びですか」
家臣の六鹿椎左衛門が即座に場に現れた。
「これより、そこな客人と共に清州へ向かう」
「何と」
これは大膳の発言である。
だが同時に「かかった」という会心の笑みを一瞬閃かせていた。
「……しかし、信長さまにはどう言いなさるおつもりで」
椎左衛門はどこまでも無表情のまま、聞いてきた。
「知るか。そんなことより、あとを頼むぞ」
信光は立ち上がり、大膳もまた立ち上がり、共に城門へと向かった。
あとに残された椎左衛門は、何も言わなかったが、やがてのそりと立ち上がると、いずこかへと向かった。
*
信光が守山城を出ようとすると、北の方(信光の妻)が「お話が」と言ってきたが、「後にせい」と捨て置いて、信光は城を出た。
大膳は、実は信光が城を出るのをためらうのではないかと気を揉んだが、信光の決然たる態度を見て、あからさまにほっとした。
そして道案内をと信光の前へ馬を進め、ついこう洩らした。
「……やれやれ、これで今川さまの言うとおりになりそうだわい」
大膳は思わず口をふさぎ、うしろを見た。
「…………」
信光は黙然と馬を闊歩させている。
どうやら気づいていないようだ。
「……何か?」
「ああいやいや! 急ぎましょうぞ!」
「……そうだな」
実は、信光は今川さま――つまり今川義元の策を読んでいた。
このまま、この信光を清州の城にて殺すつもりか。
殺すつもりだからこそ、養子という餌を惜しげもなく出すということか。
だが、好機だ。
今川義元かあるいは謀臣の太原雪斎の策だかは分からぬが、肝心の坂井大膳がこんな態度では、罠であると教えているようなもの。
駆け出した大膳に追いつくべく、信光は手綱を振るう。
「だが……椎左衛門が、動く」
おそらく大膳の配下の者たちが、守山城から兵が出ないかどうか見張っているだろう。
しかし、六鹿椎左衛門が信光の合図(手を二度打つ)から察し、すでに信長に密使を送っているはずだ。
その合図をした場合は、信光の話すことなど単なる誤魔化しであり、合図を優先するように命じてある。
「あとは……うまくやれよ、信長!」
*
……それからあとは、実に無残なものであった。
清州の城に着いた信光は、織田信友から下にも置かぬ歓待を受け、信友自ら城主の間へと案内された。
その案内された先で。
「ばかめが。死にさらせ、織田信光!」
信友の家来たちが抜刀して襲いかかって来た。
信光はすぐさま目の前にいた信友の首根っこをつかんで、その首筋に脇差を当てた。
「……殺したいのなら、もう少しうまくやったらどうだ。大膳も含めてな」
当の大膳はあわあわとしており、「待て待て」と言ったり、「いや斬れ」と言ったり、落ち着かなかった。
これでは、信友の家来たちもどうすればよいのか判然としない。
そうこうするうちに、城門の方から喚き声が聞こえた。
「われこそは、織田信長が家臣、森三左衛門可成!」
可成は城門を強引に破って突入し、得意の十文字槍を振るって、あっという間に城主の間にまで到達した。
「おう、三左か。あいかわらずの攻めだな」
「お褒めいただき、光栄の極み」
堂に入った一礼をした可成は、信光から信友の身柄を受け取った。
「さて、守護代どの」
勇将として知られる可成に、片手で持ち上げられた信光は目を白黒させた。
「ま……待て待て、待ってくれ。予はそこな信光、信光どのに家督を……」
「さようなことは問題ではない!」
可成の大喝に、信友は肝を潰した。
「わが主、信長さまはこう言われた。織田信友、主たる斯波義統さまに逆らったこと、許しがたし、とのこと」
「そ、それは」
「ゆえに……義統さまと同じ最期をたどっていただく、と」
「お、同じとな」
そこで信友はぼとんと床に落とされた。
この頃になると、可成の兵が清州城の制圧を完了しており、それはこの城主の間も例外ではない。
「切腹せよ、ということだ。織田信友どの」
「せっ……ぷくゥ?」
あたかも異国の言葉でもあるかのように、信友は目を剥いて復唱した。
その手に、可成は脇差を抜いて握らせた。
「そうだ、腹を召せとのおおせ。不肖、この森三左衛門可成、介錯を務めさせていただく」
「なっ……なっ……そんな、せめて追放に」
自分は守護代だぞと言い出す信友だったが、可成の次の一言で黙りこくった。
「それならば、こちらにいる信光どのをどうするおつもりでしたか、お聞かせ願おう」
場合によっては、腹を切らずとも首を討つと言う可成の前に、信友はついに屈服した。
城主であり、織田信長の叔父である織田信光は、その日、意外な人物の訪問を受けた。
その人物は、常ならぬ遜った態度を示し、信光が上座をと勧めても固辞し、結局対面するかたちで座って話すことになった。
「……それで」
信光は少し不機嫌そうに言った。
「ここまでして……拙者に何用でござる、坂井大膳どの」
坂井大膳は片手を上げて、まあまあと信光をなだめる。
「いやいや、他意はござらん、他意は」
そういう言い方をすると、かえって他意があるように聞こえると信光は思ったが、黙っていた。
下手に口出ししない方がいい。
わざわざ敵中であるこの守山城にまで来て、言いたい何かを洩らすまでは。
信光の第六感がそう告げていた。
大膳はそのような信光の心中を知ってか知らずか、それではと口を開いた。
「実は……敢えてかような訪いを申し上げたのは、他でもござらん」
大膳は座ったまま、ずいと前に出る。
「……わが主、守護代・織田信友公、こたび隠居すると決め申した」
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何を今さら、と信光は内心舌打ちをした。
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信長などは「出家でもすれば、許してやるつもりである」と信光にこの前洩らしていたほどである。
それが、隠居すると来た。
信光は推し量る。
つまり、信長に直接そういうことを言うのは外聞が悪い。それゆえ、敢えて信光にそれを告げ、「信長に負けたのではない」と言い張るつもりか。
「さにあらず、さにあらずじゃ、信光どの」
大膳は、隠居と言うたではないか、と信光にすり寄って来た。
気持ち悪い、と信光は素直に思った。
「そう邪険にしないで下され。悪い話ではござらぬ」
そう言われれば言われるほど悪い話と思ってしまうのが分からんのか、と信光は心の中で毒づいた。
だが大膳はそんな信光の内心にかまわずにすり寄りつづける。
「実はでござるな……わが主、信友さまが隠居するにあたり、貴殿を養子にしたいとおっしゃるのじゃよ、信光どの」
「……はあ?」
何を言い出すのかと思ったら、よりによって「養子」とは。
だが信光はそのやり口には感心した。
織田信長は織田弾正忠家の当主の座を保っている。
弟の信行はその当主の座を狙っている。
二人とも、弾正忠家こそが、尾張の「王」であることを知っているからだ。
一方で信光はというと、微妙な立場である。
織田信秀という不世出の傑物の弟であり、それゆえに弾正忠家を支える立場。
「いかがでござろう? いっそのこと、弾正忠家など飛び越えて、守護代の座に……」
奸悪な表情を浮かべる大膳。
地が出ている。
これは、大膳の知恵ではないな。
信光はそう感じた。
守護又代であるということを鼻にかけ、本来であれば弾正忠家の輩など、歯牙にもかけない。
そのような「位に対する意地」を持つ男が、知恵を拝借する相手……。
「まさか」
その呟きはごく小さいものであり、先ほどから信光を知勇兼備の武士と褒めそやしている大膳の耳には入らなかったらしい。
信光はある決心を固め、手を二度打った。
「お呼びですか」
家臣の六鹿椎左衛門が即座に場に現れた。
「これより、そこな客人と共に清州へ向かう」
「何と」
これは大膳の発言である。
だが同時に「かかった」という会心の笑みを一瞬閃かせていた。
「……しかし、信長さまにはどう言いなさるおつもりで」
椎左衛門はどこまでも無表情のまま、聞いてきた。
「知るか。そんなことより、あとを頼むぞ」
信光は立ち上がり、大膳もまた立ち上がり、共に城門へと向かった。
あとに残された椎左衛門は、何も言わなかったが、やがてのそりと立ち上がると、いずこかへと向かった。
*
信光が守山城を出ようとすると、北の方(信光の妻)が「お話が」と言ってきたが、「後にせい」と捨て置いて、信光は城を出た。
大膳は、実は信光が城を出るのをためらうのではないかと気を揉んだが、信光の決然たる態度を見て、あからさまにほっとした。
そして道案内をと信光の前へ馬を進め、ついこう洩らした。
「……やれやれ、これで今川さまの言うとおりになりそうだわい」
大膳は思わず口をふさぎ、うしろを見た。
「…………」
信光は黙然と馬を闊歩させている。
どうやら気づいていないようだ。
「……何か?」
「ああいやいや! 急ぎましょうぞ!」
「……そうだな」
実は、信光は今川さま――つまり今川義元の策を読んでいた。
このまま、この信光を清州の城にて殺すつもりか。
殺すつもりだからこそ、養子という餌を惜しげもなく出すということか。
だが、好機だ。
今川義元かあるいは謀臣の太原雪斎の策だかは分からぬが、肝心の坂井大膳がこんな態度では、罠であると教えているようなもの。
駆け出した大膳に追いつくべく、信光は手綱を振るう。
「だが……椎左衛門が、動く」
おそらく大膳の配下の者たちが、守山城から兵が出ないかどうか見張っているだろう。
しかし、六鹿椎左衛門が信光の合図(手を二度打つ)から察し、すでに信長に密使を送っているはずだ。
その合図をした場合は、信光の話すことなど単なる誤魔化しであり、合図を優先するように命じてある。
「あとは……うまくやれよ、信長!」
*
……それからあとは、実に無残なものであった。
清州の城に着いた信光は、織田信友から下にも置かぬ歓待を受け、信友自ら城主の間へと案内された。
その案内された先で。
「ばかめが。死にさらせ、織田信光!」
信友の家来たちが抜刀して襲いかかって来た。
信光はすぐさま目の前にいた信友の首根っこをつかんで、その首筋に脇差を当てた。
「……殺したいのなら、もう少しうまくやったらどうだ。大膳も含めてな」
当の大膳はあわあわとしており、「待て待て」と言ったり、「いや斬れ」と言ったり、落ち着かなかった。
これでは、信友の家来たちもどうすればよいのか判然としない。
そうこうするうちに、城門の方から喚き声が聞こえた。
「われこそは、織田信長が家臣、森三左衛門可成!」
可成は城門を強引に破って突入し、得意の十文字槍を振るって、あっという間に城主の間にまで到達した。
「おう、三左か。あいかわらずの攻めだな」
「お褒めいただき、光栄の極み」
堂に入った一礼をした可成は、信光から信友の身柄を受け取った。
「さて、守護代どの」
勇将として知られる可成に、片手で持ち上げられた信光は目を白黒させた。
「ま……待て待て、待ってくれ。予はそこな信光、信光どのに家督を……」
「さようなことは問題ではない!」
可成の大喝に、信友は肝を潰した。
「わが主、信長さまはこう言われた。織田信友、主たる斯波義統さまに逆らったこと、許しがたし、とのこと」
「そ、それは」
「ゆえに……義統さまと同じ最期をたどっていただく、と」
「お、同じとな」
そこで信友はぼとんと床に落とされた。
この頃になると、可成の兵が清州城の制圧を完了しており、それはこの城主の間も例外ではない。
「切腹せよ、ということだ。織田信友どの」
「せっ……ぷくゥ?」
あたかも異国の言葉でもあるかのように、信友は目を剥いて復唱した。
その手に、可成は脇差を抜いて握らせた。
「そうだ、腹を召せとのおおせ。不肖、この森三左衛門可成、介錯を務めさせていただく」
「なっ……なっ……そんな、せめて追放に」
自分は守護代だぞと言い出す信友だったが、可成の次の一言で黙りこくった。
「それならば、こちらにいる信光どのをどうするおつもりでしたか、お聞かせ願おう」
場合によっては、腹を切らずとも首を討つと言う可成の前に、信友はついに屈服した。
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