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第三章 魔法は必須科目です!
シナリオ通りに進まない!
しおりを挟む夜の町を駆けているソフィアは魔法でアルの様子を確認していた。
「よかった…」
ポツリと呟いて幸せを噛み締める。パルマを救えた、アルを救えた。未来は変えられた。そして同時に気を引き締めた。
(せっかくアルが頑張ったんだ、失敗は許されない)
さらに足に力を入れ、またもやスピードを上げた。
(見つけた!)
時間がたちようやく見つけた物置に一人の女の子がいた。青色の目と髪で顔立ちは似てる。パルマの妹だとすぐにわかった。痩せ細っていて、ろくに食事を出されていなかったとわかる。手首についてる縄と足についてる枷を魔法でとる。
「もう大丈夫だよ、私が貴女を助けにきたからね」
私の言葉に安心したように息をはくと、その顔はまた恐怖に染まった。
「ッ!だ、め!だめなの」
突如、上からパイプが落ちてくる。いや、パイプで攻撃される…というほうが正しいか。防御魔法で当然守ると相手は驚いたようにした。
「あ?なんだてめえ」
「後ろにいることは気づいてたけれど、かよわい女の子に攻撃するなんてひどいなー」
おちゃらけた態度をとると相手はむかついたようにまた私に向かってくる。当然防御したけれど相手は諦めずパイプを振り続ける。
勝負は一瞬だった…というよりまずまず勝負にならなかった。
貴族と平民ではそれほど違うのだ。
全部の賊を眠らせて縄で縛ると隠れさせていたサキが出てくる。
「お姉ちゃん大丈夫?」
「うん、何にもケガしてないよ」
「お姉ちゃんはお兄ちゃんとおんなじだね!お兄ちゃんも魔法?が使えるらしいよ!」
衝撃の事実!パルマさんって魔力持ちなのっ!?あ、普通に考えたら魔力持ってない平民が王子の従者って無理だわ。
なんでわからなかったんだろ。
「お姉ちゃんって何者なの?
なんで私を助けてくれたの?」
「お姉ちゃんはねー」
んーなんだろ?
「お兄ちゃんに頼まれたから来ただけだよ。お兄ちゃんにお礼をいってね!」
その言葉を最後にここを去る準備を始める。もう日が明けちゃうからね。
(転移 アルの部屋へ)
また、ピカッて光って目を閉じる。目を開けたら見慣れたアルの部屋。
アルの部屋はキレイなまま保たれていてさすがとしか言いようがない。防音魔法をかけた後が少しあるからパルマさんは疑われない。
ちゃんと計算されていた。
パルマさんは魔力の使いすぎか、すやすやと眠っていた。疲れはてて、いつの間にか寝たサキちゃんをパルマさんの元へもってって一緒に寝かせる。
無意識にサキちゃんを抱き寄せて逃がさないようにしたパルマさんをみてほっこりした。
私も今日はいっぱい動いたからか、安心したからか、心のもやがとれたからか眠気が襲ってくる。
「寝てていいよ」
アルの柔らかく甘い声に甘えてしまう
(アル、変えられたよ。パルマさんもサキちゃんもアルの心も救えた。これからもずっと……)
私は意識を失った。
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