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第三章 魔法は必須科目です!
この世界についての認識
しおりを挟む「ソフィアちゃん、貴女は前世の記憶がありますか?そしてこの世界についてどこまで知っていますか?」
その真剣な瞳に私は動けなかった。
すると、アシュリーさんはため息をつき言葉を続ける。
「やっぱり、貴女には前世の記憶がありますね。私は瀬戸口 のの。元日本人です」
いつもより雰囲気が、口調が、声の高さが違った。
「貴女はあの従者をみて反応していた。貴女はこの世界が[最愛]の世界であると知っていると判断しました。ですが貴女はその反応をみるに全てを知らないようですね。今からお話し致します」
そこからアシュリーさんのながい話が始まった。
「おそらく貴女が亡くなってから[最初の出会いは最悪だった裏]が出たのよ。裏では過去の話がたくさんでてきたの。例えばあの従者の話とか」
従者という言葉に耳を傾ける。
「あの従者は妹を人質にとられていたの。王子と仲良くなっていた従者に近寄ったの。だから彼と仲良くなったのは言われたからじゃなかったの。そして彼は脱獄した後妹を逃して自殺したわ。自分は許されない罪を犯したからって」
ひどい。そんなの彼がかわいそうだ。彼に取り入ろうとして近寄ったのではなく自分の意思で近寄ったのだ。そしてそんな彼を利用した他国は許されない。悪いのは彼じゃない。
「そしてシナリオは狂った。もうすでに事態は動き出した。どうなるかわからない。現実だもの。もう時間はほぼ残されていない」
『シナリオは変えられる』なんて、なんて皮肉なんだ。
ここは現実だから。私がいるから、シナリオが狂った。早まった。七歳の誕生日なんて待ってくれない。それが現実なんだ。ここはゲームじゃない。
誰も幸せになれないバットエンドなんて絶対にさせない。
誰もが幸せになれるハッピーエンドをめざしてやる。
アシュリーさんに教えてもらえて助かった。この世界にうまれて五年、やっと現実に向き合えた気がする。
不思議と口角が上がり肩が震える。
武者震いかな?
「いつ来るか私にもわかりません。ですが備えをしておきましょう。一刻も早く魔法を覚え救ってください。私は教会と王宮しか自由に動けない。どうかよろしくお願いしますね」
ニッコリと笑い私に話しかけてくる姿はまるで本物の聖女様のよう。
「私は闇深いキャラが結構好きなんですよ」
オタクのような理由を残しこの白い空間で魔法訓練を始める。
一刻も早く覚える。
助けるんだ、パルマもアルも全員。
この白い空間で私たちは動き始めた。
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