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小学校編
結婚六カ年計画 30-9 from 2016.07
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2016年7月11日 月曜日。 15時00分。
私は院長先生と美田園市立病院へ向かった。
申し訳ない気持ちがある一方でまた左右さんに会えるコトがとても嬉しい。
受付で確認し、七階の個室へ移動する。
華燭と室名札に書かれているので先生がノックをした。
「はい」
「華燭さん、パドス孤児院のリースです。梨杏と一緒にお見舞いに来ました」
「えっ? しょ、少々お待ちを――」
慌てている左右さんだが院長先生は何かピンと来たのか、構わず扉を開けた。
するとパジャマ姿の左右さんが懸命にテーブルの上に散らばっている本を片付けようとしている。
「あっ!」
「おはようございます、華燭さん」
「お、おはようございます……リースさん、梨杏ちゃん」
左右さんの表情が青ざめている。まさかまだ調子が悪いのか。
思わず心配になり私はベッドに駆け寄った。
「左右さん、大丈夫ですか? 具合が悪いのですか?」
「け、怪我は大丈夫だよ梨杏ちゃん。君が元気そうで何よりだ」
ほっと胸を撫でおろす。
その横で院長先生は何故か赤面していた。
「左右さんもとてもお元気そうで……『読書中』でしたのね」
「あ、こ、これは……違うんです! 梨杏ちゃん、見ちゃダメ!」
不思議に思いテーブルの上で散らばっている雑誌を見る。
すると水着や際どい服装の綺麗な人がたくさん……ああ、成程。
そして皆胸が大きい。
そうか、左右さんは院長先生みたいに胸が大きい人が好きなのか。
頑張らないと。
「華燭さんも仰ってくれればいいのに。この本の子達より私の方が大きいですし、おばさんで良ければいつだって揉ませてあげますのよ?」
「ええっ?! い、いやこ、この本は部下達が悪ふざけで持ってきたんです! 誤解なんです!」
「でも絶対、華燭さんっておっぱいが大きい人の方が好きですよね?」
院長先生がこれ見よがしに腕を組み、自分の胸を持ち上げる。
凄いなぁと思いながら左右さんの目線が釘付けになっているのでクロ確定。
「……僕も男なので否定は、しません」
私の前ではずっと格好良い左右さんだったが、初めて可愛い一面を拝むコトが出来た。
巨乳好き……ほかにどんな女の人が好きなのだろう?
「左右さんは、外見がタイプの芸能人って最近いらっしゃいますか?」
分からないコトはストレートに聞く。おばあちゃんの教えのひとつである。
「え、えっと……僕、そういうの疎いけど最近だと嬉々環(ききたまき)ちゃんがテレビで出ると綺麗な子だなぁって思ったよ。ほら、1000年に一人の逸材とか言う……。
って、おっさんが何言ってるんだろうね」
嬉々環、通称キーちゃん。ツインテールで整った顔立ちのモデル出のタレントである。
まだ高校生だし年下もOKってコトだ。髪型も分かった。モデル……なるほど。
「ありがとうございます、参考にしますっ!」
今はおさげなので明日から私もツインテールにしよう。
一方で年下がタイプなのだと感じた先生が、半目でじっとりと左右さんを視ている。
「ええと……ど、どういたしまして。
それよりリースさん。納品……僕が怪我したせいで遅れてしまい大変申し訳ございません」
「いいえ、ゆっくり体を癒し終えてから来て下さい。お待ちしてますよ」
孤児院へ搬入する机等の事務用品。
何処に何を置くか等のプラン図はあるみたいだけど左右さんが納品日に来て業者へ直接指示する予定である。
納品が遅れると拙いので代わりの社員を送ると左右さんは話していたらしいけど、私に気を使って院長先生が彼に「退院してからで大丈夫ですよ」と伝えていた。
左右さんはスマホを開き、壁のカレンダーを眺める。
「17日に退院出来る様なので18日……来週の月曜日に納品しても大丈夫ですか?」
「大丈夫です。お待ちしていますし、その際に退院祝いも良いですね」
院長先生がそう言うと左右さんが慌てる。いい案だと思い私も先生の話に乗った。
「嬉しいです。その日、お忙しくなければ孤児院にお泊りになりませんか?」
「えっ、ええっ?」
私の提案に左右さんは更に驚いた。
迷惑をかけてしまいそうなのはわかっているけど、できればその時に伝えたいコトがある。
「ちょ、ちょっと上司にRineで相談してみます」
左右さんはスマホで誰かにメッセージを送ると、またまた驚いた表情を浮かべる。
ゆっくりとスマホを閉じて頭を掻きながら彼は話した。
「……来週の火曜日、有給たまってるから休みにしておくって。
月曜日も帰ってこなくて良い、と」
「話が分かる、良い上司の方ですね」
苦笑する左右さんとは裏腹に、院長先生は羨ましくなる程綺麗な笑顔を浮かべ私もにっこりとほほ笑んだ。
私は院長先生と美田園市立病院へ向かった。
申し訳ない気持ちがある一方でまた左右さんに会えるコトがとても嬉しい。
受付で確認し、七階の個室へ移動する。
華燭と室名札に書かれているので先生がノックをした。
「はい」
「華燭さん、パドス孤児院のリースです。梨杏と一緒にお見舞いに来ました」
「えっ? しょ、少々お待ちを――」
慌てている左右さんだが院長先生は何かピンと来たのか、構わず扉を開けた。
するとパジャマ姿の左右さんが懸命にテーブルの上に散らばっている本を片付けようとしている。
「あっ!」
「おはようございます、華燭さん」
「お、おはようございます……リースさん、梨杏ちゃん」
左右さんの表情が青ざめている。まさかまだ調子が悪いのか。
思わず心配になり私はベッドに駆け寄った。
「左右さん、大丈夫ですか? 具合が悪いのですか?」
「け、怪我は大丈夫だよ梨杏ちゃん。君が元気そうで何よりだ」
ほっと胸を撫でおろす。
その横で院長先生は何故か赤面していた。
「左右さんもとてもお元気そうで……『読書中』でしたのね」
「あ、こ、これは……違うんです! 梨杏ちゃん、見ちゃダメ!」
不思議に思いテーブルの上で散らばっている雑誌を見る。
すると水着や際どい服装の綺麗な人がたくさん……ああ、成程。
そして皆胸が大きい。
そうか、左右さんは院長先生みたいに胸が大きい人が好きなのか。
頑張らないと。
「華燭さんも仰ってくれればいいのに。この本の子達より私の方が大きいですし、おばさんで良ければいつだって揉ませてあげますのよ?」
「ええっ?! い、いやこ、この本は部下達が悪ふざけで持ってきたんです! 誤解なんです!」
「でも絶対、華燭さんっておっぱいが大きい人の方が好きですよね?」
院長先生がこれ見よがしに腕を組み、自分の胸を持ち上げる。
凄いなぁと思いながら左右さんの目線が釘付けになっているのでクロ確定。
「……僕も男なので否定は、しません」
私の前ではずっと格好良い左右さんだったが、初めて可愛い一面を拝むコトが出来た。
巨乳好き……ほかにどんな女の人が好きなのだろう?
「左右さんは、外見がタイプの芸能人って最近いらっしゃいますか?」
分からないコトはストレートに聞く。おばあちゃんの教えのひとつである。
「え、えっと……僕、そういうの疎いけど最近だと嬉々環(ききたまき)ちゃんがテレビで出ると綺麗な子だなぁって思ったよ。ほら、1000年に一人の逸材とか言う……。
って、おっさんが何言ってるんだろうね」
嬉々環、通称キーちゃん。ツインテールで整った顔立ちのモデル出のタレントである。
まだ高校生だし年下もOKってコトだ。髪型も分かった。モデル……なるほど。
「ありがとうございます、参考にしますっ!」
今はおさげなので明日から私もツインテールにしよう。
一方で年下がタイプなのだと感じた先生が、半目でじっとりと左右さんを視ている。
「ええと……ど、どういたしまして。
それよりリースさん。納品……僕が怪我したせいで遅れてしまい大変申し訳ございません」
「いいえ、ゆっくり体を癒し終えてから来て下さい。お待ちしてますよ」
孤児院へ搬入する机等の事務用品。
何処に何を置くか等のプラン図はあるみたいだけど左右さんが納品日に来て業者へ直接指示する予定である。
納品が遅れると拙いので代わりの社員を送ると左右さんは話していたらしいけど、私に気を使って院長先生が彼に「退院してからで大丈夫ですよ」と伝えていた。
左右さんはスマホを開き、壁のカレンダーを眺める。
「17日に退院出来る様なので18日……来週の月曜日に納品しても大丈夫ですか?」
「大丈夫です。お待ちしていますし、その際に退院祝いも良いですね」
院長先生がそう言うと左右さんが慌てる。いい案だと思い私も先生の話に乗った。
「嬉しいです。その日、お忙しくなければ孤児院にお泊りになりませんか?」
「えっ、ええっ?」
私の提案に左右さんは更に驚いた。
迷惑をかけてしまいそうなのはわかっているけど、できればその時に伝えたいコトがある。
「ちょ、ちょっと上司にRineで相談してみます」
左右さんはスマホで誰かにメッセージを送ると、またまた驚いた表情を浮かべる。
ゆっくりとスマホを閉じて頭を掻きながら彼は話した。
「……来週の火曜日、有給たまってるから休みにしておくって。
月曜日も帰ってこなくて良い、と」
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苦笑する左右さんとは裏腹に、院長先生は羨ましくなる程綺麗な笑顔を浮かべ私もにっこりとほほ笑んだ。
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