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小学校編
結婚六カ年計画 23-2
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2017年8月15日 火曜日。16時。
お米を台所に降ろしてから左右さんの手を引いてリビングに入る。
飾り付けは簡素だけど、いつもとは少し雰囲気が違う様にろうそくを灯りとして使っていた。
ちゃんとカーテンも閉めている。
「え、えぇ……本当に僕の為にここまで準備をしてくれたの?」
「はいっ。いつもお世話になっているため感謝をお伝えしたくて、慎ましくもパパをお祝いする環境を準備しました」
「全然慎ましくないよ! わぁ、僕が出かけてから梨杏ちゃんが? 凄い、嬉しいなぁ」
喜び、と言うより感動してくれている様な反応だ。時間ギリギリまで懸命に準備をした甲斐がある。
私は左右さんにソファへ座って頂き、尋ねる。
「ケーキはもう出来上がっていますが早速お食べになられますか?」
「うんっ、すごく楽しみにしてたんだ」
「ふふっ、承知しました」
好きな人から期待されるコトは嬉しい。
私は冷蔵庫で冷やしていたショートケーキを取り出し、テーブルの上に置いた。
甘いもの好きの左右さんの目が輝く。
「わぁ、お店で売ってるケーキみたいだ」
「孤児院で院長先生と作ったりしていたので味は大丈夫だと思います。
蝋燭、ケーキに刺しますね」
「火は僕が点けるよ。梨杏ちゃんが火傷したら大変だ」
普段から料理をしているので大丈夫だと思いながらも左右さんが気遣ってくれるのが嬉しく、やや太めの蝋燭をケーキの中央に刺した後、チャッカマンで火を点けて貰う。
リモコンで室内を消灯する。私は歌い始めた。
「ハッピバースデーパーパー、ハッピパースデーパーパー。
ハッピバースデーディアパーパー……。
ハッピバースデーパーパー」
左右さんが蝋燭の火を吹き消す。
ライトを点灯させ、私は拍手した。
左右さんがとても照れている。
「お誕生日おめでとうございます、パパ。リアンからプレゼントです。
メッセージは恥ずかしいので後から読んで頂きたいのです」
メッセージカードとプレゼントを左右さんへ手渡す。
左右さんが終始ずっと笑顔でいてくれてとても嬉しい。
「梨杏ちゃん、プレゼントを開けてもいい?」
もちろんです、と私は左右さんに伝えるとラッピングを解いて丁寧に箱を取り出し中を開けた。
「これは……」
銀色のカフスボタンとネクタイピンである。
仕事中も身に着けられる様にシンプルなものにして、いつも一緒に居ますと言う意味合いもある。
カフスボタンは左右さんが持っていないので、会社で身に着けていると「恋人に貰って付けている」と思われ、女除けにもなると思い選んだ。
でも、左右さんが固まっているので正直貰って嬉しいのか不安である。
「……お気に召しませんでした?」
思わず私は聞いてしまう。
「まさか、凄く嬉しいよ。梨杏ちゃんから折角貰ったプレゼントだし、明日から毎日仕事に着けていくね」
とても嬉しくなり、顔が崩れてしまう。
ただ喜んでくれるだけでいい。好きな人が。
おばあちゃんが教えてくれたこの感情が愛であり、それは一方通行でも成立する。
そして恋は、相思を成立させたい欲求があり、その先には結婚と言う形があると教わっている。
おばあちゃん。私が恋した相手は、やはりとても素敵な人でした。
「梨杏ちゃんが誕生日のクリスマス、期待していてね」
「はいっ、楽しみにしています」
恋を成立させるにはまだ幼い私。
でも、あと5年半後に結婚するため少しずつ私は歩くのだ。
☆新規計画達成項目
・2017年8月15日 はじめての左右さんの誕生日を祝った。
お米を台所に降ろしてから左右さんの手を引いてリビングに入る。
飾り付けは簡素だけど、いつもとは少し雰囲気が違う様にろうそくを灯りとして使っていた。
ちゃんとカーテンも閉めている。
「え、えぇ……本当に僕の為にここまで準備をしてくれたの?」
「はいっ。いつもお世話になっているため感謝をお伝えしたくて、慎ましくもパパをお祝いする環境を準備しました」
「全然慎ましくないよ! わぁ、僕が出かけてから梨杏ちゃんが? 凄い、嬉しいなぁ」
喜び、と言うより感動してくれている様な反応だ。時間ギリギリまで懸命に準備をした甲斐がある。
私は左右さんにソファへ座って頂き、尋ねる。
「ケーキはもう出来上がっていますが早速お食べになられますか?」
「うんっ、すごく楽しみにしてたんだ」
「ふふっ、承知しました」
好きな人から期待されるコトは嬉しい。
私は冷蔵庫で冷やしていたショートケーキを取り出し、テーブルの上に置いた。
甘いもの好きの左右さんの目が輝く。
「わぁ、お店で売ってるケーキみたいだ」
「孤児院で院長先生と作ったりしていたので味は大丈夫だと思います。
蝋燭、ケーキに刺しますね」
「火は僕が点けるよ。梨杏ちゃんが火傷したら大変だ」
普段から料理をしているので大丈夫だと思いながらも左右さんが気遣ってくれるのが嬉しく、やや太めの蝋燭をケーキの中央に刺した後、チャッカマンで火を点けて貰う。
リモコンで室内を消灯する。私は歌い始めた。
「ハッピバースデーパーパー、ハッピパースデーパーパー。
ハッピバースデーディアパーパー……。
ハッピバースデーパーパー」
左右さんが蝋燭の火を吹き消す。
ライトを点灯させ、私は拍手した。
左右さんがとても照れている。
「お誕生日おめでとうございます、パパ。リアンからプレゼントです。
メッセージは恥ずかしいので後から読んで頂きたいのです」
メッセージカードとプレゼントを左右さんへ手渡す。
左右さんが終始ずっと笑顔でいてくれてとても嬉しい。
「梨杏ちゃん、プレゼントを開けてもいい?」
もちろんです、と私は左右さんに伝えるとラッピングを解いて丁寧に箱を取り出し中を開けた。
「これは……」
銀色のカフスボタンとネクタイピンである。
仕事中も身に着けられる様にシンプルなものにして、いつも一緒に居ますと言う意味合いもある。
カフスボタンは左右さんが持っていないので、会社で身に着けていると「恋人に貰って付けている」と思われ、女除けにもなると思い選んだ。
でも、左右さんが固まっているので正直貰って嬉しいのか不安である。
「……お気に召しませんでした?」
思わず私は聞いてしまう。
「まさか、凄く嬉しいよ。梨杏ちゃんから折角貰ったプレゼントだし、明日から毎日仕事に着けていくね」
とても嬉しくなり、顔が崩れてしまう。
ただ喜んでくれるだけでいい。好きな人が。
おばあちゃんが教えてくれたこの感情が愛であり、それは一方通行でも成立する。
そして恋は、相思を成立させたい欲求があり、その先には結婚と言う形があると教わっている。
おばあちゃん。私が恋した相手は、やはりとても素敵な人でした。
「梨杏ちゃんが誕生日のクリスマス、期待していてね」
「はいっ、楽しみにしています」
恋を成立させるにはまだ幼い私。
でも、あと5年半後に結婚するため少しずつ私は歩くのだ。
☆新規計画達成項目
・2017年8月15日 はじめての左右さんの誕生日を祝った。
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