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小学校編
結婚六カ年計画 21
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2017年8月6日 日曜日。11時00分。
七夕祭り初日。
天気は曇りだが何とか持ち、最終日までは傘を持たずに済みそうである。
左右さんとアーケードを歩いているが、上部に供えられている大きな竹にはくす玉の着いた吹き流しの七夕飾りが連なりぶら下がっている。
様々な協賛企業が準備して飾っているが実に絢爛である。地元大企業のわたぬき商事も当然の様に七夕飾りを会社の入口に飾っていた。
一説によると七夕祭りの歴史は、江戸時代初期に当時の藩主である独眼のお殿様が始めたとされており形を少しずつ変えながら現在まで至ると言う。
国内どころか国外でも模倣して七夕祭りを行う地域があり、ブラジルのサンパウロやフランスのパリなんかでも行われている。
尚、七夕飾りは和紙で出来ており、場所によっては潜る様に吹き流しの下を通る必要があり、顔に触れるとざらざらした感触がする。
因みに、浴衣はゆうべでお役御免、今日は普段着。
マネージャーの前田さんやRuiちゃんからのアドバイスで目隠し帽を被っている。
アーケードを人で覆う程歩行者が多いので今日も左右さんの手を繋いでいる。はぐれないようにするためと言うコトにして。
「七夕飾りが綺麗ですね。初めて触りました」
「そうだね。昨日うちの会社の前に飾ってた七夕飾りも綺麗だったよね。毎年業者に依頼して作って貰ってるんだ」
七夕飾りは7種類あり、それぞれ勉強や商売繁盛等意味が込められている。残念ながら恋愛成就の飾りは無い。
そこで、一般的な七夕の様に短冊に願い事を書いて縛り付ける竹もあったので私も書くコトにした。
「どんな願い事を書いたのかな……って、聞いちゃダメだったね」
「ふふっ、内緒です」
貴方と結婚するコトです。
短冊には「大好きな人と結婚したい」とやや擬装気味に書いてきたが紛れもなく私の願いである。
左右さんが偶然コレを見つけて、私の文字だと気付かなければ良いけどそんなコトが起きる確率は低いだろう。
私は左右さんの手を再び握り、祭りの散策を再開した。
「あれっ? 梨杏ちゃん。あれ、先生じゃないかな?」
「本当ですね」
目の前から浴衣を来た相田先生が一人で歩いてくる。
左右さんとデート中に正直会いたくなかったかなと思っていたら此方に気付いた様で、笑顔を浮かべ手を振ってきた。
とても綺麗なので左右さんに見て欲しくないのが本音だ。
「左右さん、梨杏ちゃん、こんにちはー。七夕祭りに来ていたのね」
下駄で小走りに近寄る先生。浴衣の上なのに分かる豊満な胸部が跳ねており、あざとく思いながらもつい見てしまった。
「相田先生こんにちはー。初めての七夕祭りをパパと一緒に散策してました」
「先生、こんにちは。浴衣がとてもお似合いです」
「まぁ、有難う御座いますっ」
先生は頬に手を当てて満面の笑みを浮かべる。
多分学校に居る時とは違い自然体なためいつも以上に美人に見える。
でも、左右さんは攻略させない。
「失礼ですが先生はおひとりで?」
左右さんが先生に尋ねる。嫌な予感がした。
「お恥ずかしながら暇なので独りで寂しく七夕祭りを堪能している所でした。少し早いですがお昼を食べて、帰ろうかなと思ってて……」
「それなら、先生も僕達と一緒に七夕祭りを回りながら昼食を食べに行きませんか?」
嫌な予感的中。
左右さん、優し過ぎます。そこが良い所なのだけれど……。
「良いんですか? 是非、独りで寂しかったんです!」
当然、先生は食いついた。
「梨杏ちゃん、私も一緒に回っていい?」
「はいっ、私も先生と回りたいです」
考えようによっては内申点に加点できるかも。
本当は左右さんと二人で回りたいたけど流石に先生が気の毒なので今日は我慢するコトにした。
昨日は、夢のような時間を過ごせたのだから。
七夕祭り初日。
天気は曇りだが何とか持ち、最終日までは傘を持たずに済みそうである。
左右さんとアーケードを歩いているが、上部に供えられている大きな竹にはくす玉の着いた吹き流しの七夕飾りが連なりぶら下がっている。
様々な協賛企業が準備して飾っているが実に絢爛である。地元大企業のわたぬき商事も当然の様に七夕飾りを会社の入口に飾っていた。
一説によると七夕祭りの歴史は、江戸時代初期に当時の藩主である独眼のお殿様が始めたとされており形を少しずつ変えながら現在まで至ると言う。
国内どころか国外でも模倣して七夕祭りを行う地域があり、ブラジルのサンパウロやフランスのパリなんかでも行われている。
尚、七夕飾りは和紙で出来ており、場所によっては潜る様に吹き流しの下を通る必要があり、顔に触れるとざらざらした感触がする。
因みに、浴衣はゆうべでお役御免、今日は普段着。
マネージャーの前田さんやRuiちゃんからのアドバイスで目隠し帽を被っている。
アーケードを人で覆う程歩行者が多いので今日も左右さんの手を繋いでいる。はぐれないようにするためと言うコトにして。
「七夕飾りが綺麗ですね。初めて触りました」
「そうだね。昨日うちの会社の前に飾ってた七夕飾りも綺麗だったよね。毎年業者に依頼して作って貰ってるんだ」
七夕飾りは7種類あり、それぞれ勉強や商売繁盛等意味が込められている。残念ながら恋愛成就の飾りは無い。
そこで、一般的な七夕の様に短冊に願い事を書いて縛り付ける竹もあったので私も書くコトにした。
「どんな願い事を書いたのかな……って、聞いちゃダメだったね」
「ふふっ、内緒です」
貴方と結婚するコトです。
短冊には「大好きな人と結婚したい」とやや擬装気味に書いてきたが紛れもなく私の願いである。
左右さんが偶然コレを見つけて、私の文字だと気付かなければ良いけどそんなコトが起きる確率は低いだろう。
私は左右さんの手を再び握り、祭りの散策を再開した。
「あれっ? 梨杏ちゃん。あれ、先生じゃないかな?」
「本当ですね」
目の前から浴衣を来た相田先生が一人で歩いてくる。
左右さんとデート中に正直会いたくなかったかなと思っていたら此方に気付いた様で、笑顔を浮かべ手を振ってきた。
とても綺麗なので左右さんに見て欲しくないのが本音だ。
「左右さん、梨杏ちゃん、こんにちはー。七夕祭りに来ていたのね」
下駄で小走りに近寄る先生。浴衣の上なのに分かる豊満な胸部が跳ねており、あざとく思いながらもつい見てしまった。
「相田先生こんにちはー。初めての七夕祭りをパパと一緒に散策してました」
「先生、こんにちは。浴衣がとてもお似合いです」
「まぁ、有難う御座いますっ」
先生は頬に手を当てて満面の笑みを浮かべる。
多分学校に居る時とは違い自然体なためいつも以上に美人に見える。
でも、左右さんは攻略させない。
「失礼ですが先生はおひとりで?」
左右さんが先生に尋ねる。嫌な予感がした。
「お恥ずかしながら暇なので独りで寂しく七夕祭りを堪能している所でした。少し早いですがお昼を食べて、帰ろうかなと思ってて……」
「それなら、先生も僕達と一緒に七夕祭りを回りながら昼食を食べに行きませんか?」
嫌な予感的中。
左右さん、優し過ぎます。そこが良い所なのだけれど……。
「良いんですか? 是非、独りで寂しかったんです!」
当然、先生は食いついた。
「梨杏ちゃん、私も一緒に回っていい?」
「はいっ、私も先生と回りたいです」
考えようによっては内申点に加点できるかも。
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昨日は、夢のような時間を過ごせたのだから。
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