結婚六カ年計画

魂祭 朱夏

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小学校編

結婚六カ年計画 16

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 2017年7月17日 月曜日。10時00分。


 昨日に引き続き、今日も海の日で休日。
 今日はリース院長先生が買い物の為近くまで来るので、一緒に買い物へ行く予定だ。
 左右さんも一緒である。

「久し振りに院長先生と会えて良かったね」
 アーケードを歩きながら左右さんが聞く。
「はいっ、とても嬉しいです」
 質問に答えながら、私はさりげなく彼の手を握った。

 待ち合わせの仙台アースビル前に到着する。
 先生は? と探すとすぐ見つかる。
 ただ、他にもふたり先生に話しかけている若い男の人が居る。
 ナンパだとすぐ分かった。


「外国人のお姉さん、凄く美人だねー。俺達が日本を案内しようか?」
「あー……大丈夫です。日本に住んでもう長いので。
 それより今待ち合わせをしているので、他の方を誘った方が宜しいですよ」
 院長先生程の美貌ならナンパされるコトにも慣れているのだろう。
 男性ふたりを相手にも落ち着いて対応している。
 が、不快であるのに変わりはないだろう。
 左右さんもそう思ったのか、私の手を引いて院長先生達の所へ向かった。

「リース、待たせたね。で、この人達誰?」
「あっ、あなた。待ってたわ。
 ええと、この方達は――――」
「「しっ、失礼しました!」」
 男達はいそいそと去っていく。
 親子連れの上、私が眼福で幸せになる程のしなやかで逞しい筋肉を剥き出した左右さんに恐れをなしたのだろう。
 ナンパが去った後、左右さんはぺこりと頭を下げた。

「済みません、呼び捨てにしてしまって……おはようございます、院長先生」
「院長先生、おはようございますっ」
 私は先生に抱き着くと彼女は頭を撫でる。
 先生が愛用しているディオールの香りがいい匂いだ。

「おはようございます、助かりました。家族を装って助けて下さったのですね」
「ええ、まぁ……ああいう輩には家族連れだと思わせた方が早いと思いまして。大変失礼しました」
 だとすると私は娘役……いや、今は確かに養娘だけど。
 確かにそれは私に対して失礼だけど、好きな人のコトはすべて許容するのが妻の役目である。
 でも嫌な予感がする。
 
「謝罪する必要なんてありませんわ。
 それに寧ろ……貴方に名前を呼ばれて私、嬉しかったんです」
 予感的中。
 はっ、と思い私は院長先生の表情を見ると、どこか色っぽい表情である。
「華燭さん……いえ、左右さんが宜しければ、院長先生と呼ばずリースとお呼び下さい」
 きらきらと光を振り撒く様な美貌の笑顔。
 その裏でどこか働く、有無を言わさない強制力。
 院長先生の光と闇を同時に垣間見た気がした。

「わ、わかりました、リースさん。では買い物に行きましょうか」
 むぅ、仕方がないけど……私は頬を膨らませる。
 院長先生も私の様子を見て面白がっている様だった。
 でも、先生も本気だったら……若さの優位性だけでは勝ち目が薄い。


 ☆新規計画達成項目
 ・2017年7月17日 左右さんと院長先生とのはじめてのお買い物。

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