結婚六カ年計画

魂祭 朱夏

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小学校編

結婚六カ年計画 15-2

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 2017年7月16日 日曜日。11時00分。


 4月2日に来た浅沼海水浴場。
 あの時とは違い、海は沢山の人により大きくにぎわっている。

 
 私と左右さん、そして夕花ちゃんとその両親の5人で到着し、先ずはパラソルを建ててシートを敷き陣地を作る。
 昨日も見たけど左右さんの肉体と笑顔が太陽よりも眩しい。
 細身でありながら荒縄を捩った様な逞しい腕と脚。
 腹部に浮き出るシックスパック。
 あとひと月でアラフォーになるとは思えない程である。

 年代問わず女性が皆、擦れ違い様に振り替えるので少し嫉妬した。
 ……夕花ちゃんのお母さんも凝視しているけど、まぁ取り敢えず大丈夫だろう。
「梨杏ちゃんのパパはかっこ良くていいなぁ。私のお父さんはお腹ブヨブヨだよ~」
「あはは……」
 夕花ちゃんのお父さんが悲しそうに後ろでお腹をつまんでいる。
 可哀相だなと思いながらも私は、それを見て思いついた。
 勇気をもって私は行動に移す。
 

「パパのお腹はとても硬いです」
 流れに乗る様に左右さんのお腹にタッチ。
 ああ、こんな感触なんだぁと感無量になり、思わず意識を失いかける。
 ついに触ってしまった。
「も、もう梨杏ちゃん!」
 はじめて左右さんに怒られたけど、悪い気はしない。

「じゃ、じゃあパパもリアンのお腹を触って良いですよ?」
 私は左右さんの手を取り、指先を自分のお腹に当てる。
(んっ)
 触れた一瞬、くすぐったい様な変な感じになった。
 左右さん程ではないけど、いつ触れられてもいい様に普段から贅肉が付かない程度にはしている。
 当然、彼は顔を真っ赤にしながら先程と同じ反応を繰り返した。
 

 ******


 昼食を挟み、一通り遊び通して既に15時過ぎ。
 私達はそろそろ帰るコトになり、夕花ちゃん一家と別れた。
 
 駐車場に戻り、ランクルに乗る。
 助手席で左右さんの運転を眺めるのは私だけの特権で、誰にも渡したくない。
 私の視線を感じたのか、運転しながら左右さんが聞いた。

「梨杏ちゃん泳ぎ上手だったね。前の学校でも水泳の授業があったの?」
「はいっ。小さい学校でプールが無かったので川で授業を行ってました」
 水泳授業は低学年・高学年に分かれて行い、少人数故に個別授業を受け、ほぼ全員泳げるようになる。
 私は幼少からおばあちゃんに川へ連れられて、小学校に入学する以前から泳ぎ方を学んでいた。

「川かぁ。川も行きたいね。キャンプも良いかも」
「わぁ、行きたいです」
 
 海の次は川。
 その前には一大行事の七夕まつりが8月にある。
 思い出が、増えていく。
 
 この記憶が幸せで埋められる程、嬉しいコトは無い。
 
 
 ☆新規計画達成項目
 ・2017年7月16日 左右さんと初めての海水浴へ行った。
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