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小学校編
結婚六カ年計画 14
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2017年7月4日 火曜日。9時30分過ぎ。
今日も雨。
先月下旬から陸宮地方南部の梅雨入りが告げられ、それ以来ずっと雨である。
でも、雨の日は左右さんと相合傘で通学出来るので嫌いではない。
1時間目の算数の授業が終わり、次は音楽室へ移動だ。
笛と教科書を机の上に出そうとすると、夕花ちゃんや友達が5人位私の元へばたばたと駆け付ける。
何事かと思い私は驚いた。
「ど、どうしたのみんな?!」
夕花ちゃんに聞くと、友達の一人が雑誌を開き、興奮気味に言った。
……学校に雑誌を持ってきちゃ、ダメだった筈なのだが。
「こ、これ、梨杏ちゃんだよね?! モーモ(moomのモデルの略称)だったの?」
そう言えば昨日、私の初撮影とインタビューが載った記事がある8月号の発売日だった。
このクラスにも意外と読者が居たんだなと思ったけど、予想外の反応である。
因みに芸名はそのままLianで、仏名をそのまま使用している。
「うん、私だよ。今年のオーディションに応募したらたまたま受かっちゃったの」
「陸宮地方だけでも2500人以上応募したんでしょ? 凄いよ!」
今度は夕花ちゃんが興奮気味に言う。ちょっと嬉しい。
「そんなコト無いよ。本当に偶然だから……私より可愛い人だって沢山居た筈なのに」
自分なんかより可愛い人は沢山居ると思うのは本心だ。
でも、moomで受かる様に最も努力したのは私だと胸を張れる。
もしかして努力が必要だと言うコトすら気付いていない人が殆どかもしれない。
だからこそ、努力が実り結果に表れる。
「梨杏ちゃんってけんきょー! すっごく可愛いよ!」
夕花ちゃんが言うと、周りの友達も皆頷いた。
正直、最初は不安もあったけど孤児院や斯波の友達とここの友達も皆、私に笑顔を与えてくれる。
「有難う、皆」
私が自然な笑顔を友達に向けられるのは、昔も今もあなたのお陰です。
そう言えば、あの日から丁度1年経つ。
******
業務以上に忙しい。
まさかここまで反響が大きいなんて。
娘が全国誌に載ったコトが自分の様に誇らしい反面、その強い影響力も思い知った。
「課長、梨杏ちゃんの写真を見せて下さい!」
「華燭君、写メあるでしょ? 送ってよ」
「課長、娘さんを僕に下さい」
「「「ダメだ! 仕事中だから後にしろ!!!」」」
朝からこんな調子だ。
これでは仕事どころじゃないと僕は頭を抱える。
moomの内容は前日に本のサンプルが届いていたので分かっていた。
スマホで撮影しても可愛いけれど、専用のスタジオで撮影した梨杏ちゃんは思わず口元が緩んでしまう程にとても可愛く、大人でも騒ぐのは無理が無い。
本当は部下や他部門から来る同僚も全部応対したい所だけど、業務に支障が出るなら話は別である。
どこのパパだって娘を自慢したいのだから。
撮影して貰った高画質データを特別に貰って、スマホの壁紙にしているのだ。
そう言えば、あの日から丁度1年経つ。
スマホを開く。笑みを振り撒く梨杏ちゃん。
写真の中で煌めく少女は、丁度1年前に初めて出会った時は泣いていた。
☆新規計画達成項目
・2017年7月4日 左右さんとはじめて出会った記念日。
今日も雨。
先月下旬から陸宮地方南部の梅雨入りが告げられ、それ以来ずっと雨である。
でも、雨の日は左右さんと相合傘で通学出来るので嫌いではない。
1時間目の算数の授業が終わり、次は音楽室へ移動だ。
笛と教科書を机の上に出そうとすると、夕花ちゃんや友達が5人位私の元へばたばたと駆け付ける。
何事かと思い私は驚いた。
「ど、どうしたのみんな?!」
夕花ちゃんに聞くと、友達の一人が雑誌を開き、興奮気味に言った。
……学校に雑誌を持ってきちゃ、ダメだった筈なのだが。
「こ、これ、梨杏ちゃんだよね?! モーモ(moomのモデルの略称)だったの?」
そう言えば昨日、私の初撮影とインタビューが載った記事がある8月号の発売日だった。
このクラスにも意外と読者が居たんだなと思ったけど、予想外の反応である。
因みに芸名はそのままLianで、仏名をそのまま使用している。
「うん、私だよ。今年のオーディションに応募したらたまたま受かっちゃったの」
「陸宮地方だけでも2500人以上応募したんでしょ? 凄いよ!」
今度は夕花ちゃんが興奮気味に言う。ちょっと嬉しい。
「そんなコト無いよ。本当に偶然だから……私より可愛い人だって沢山居た筈なのに」
自分なんかより可愛い人は沢山居ると思うのは本心だ。
でも、moomで受かる様に最も努力したのは私だと胸を張れる。
もしかして努力が必要だと言うコトすら気付いていない人が殆どかもしれない。
だからこそ、努力が実り結果に表れる。
「梨杏ちゃんってけんきょー! すっごく可愛いよ!」
夕花ちゃんが言うと、周りの友達も皆頷いた。
正直、最初は不安もあったけど孤児院や斯波の友達とここの友達も皆、私に笑顔を与えてくれる。
「有難う、皆」
私が自然な笑顔を友達に向けられるのは、昔も今もあなたのお陰です。
そう言えば、あの日から丁度1年経つ。
******
業務以上に忙しい。
まさかここまで反響が大きいなんて。
娘が全国誌に載ったコトが自分の様に誇らしい反面、その強い影響力も思い知った。
「課長、梨杏ちゃんの写真を見せて下さい!」
「華燭君、写メあるでしょ? 送ってよ」
「課長、娘さんを僕に下さい」
「「「ダメだ! 仕事中だから後にしろ!!!」」」
朝からこんな調子だ。
これでは仕事どころじゃないと僕は頭を抱える。
moomの内容は前日に本のサンプルが届いていたので分かっていた。
スマホで撮影しても可愛いけれど、専用のスタジオで撮影した梨杏ちゃんは思わず口元が緩んでしまう程にとても可愛く、大人でも騒ぐのは無理が無い。
本当は部下や他部門から来る同僚も全部応対したい所だけど、業務に支障が出るなら話は別である。
どこのパパだって娘を自慢したいのだから。
撮影して貰った高画質データを特別に貰って、スマホの壁紙にしているのだ。
そう言えば、あの日から丁度1年経つ。
スマホを開く。笑みを振り撒く梨杏ちゃん。
写真の中で煌めく少女は、丁度1年前に初めて出会った時は泣いていた。
☆新規計画達成項目
・2017年7月4日 左右さんとはじめて出会った記念日。
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