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小学校編
結婚六カ年計画 11
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2017年6月3日 土曜日。午前9時。
私は付き添いの左右さんと市内の相談社の自社ビルに訪れる。
moomの初撮影の為で、7月3日発売の8月号で掲載される。
他にもインタビューがありそれも誌面やホームページに載る様だ。
受付を通じ打ち合わせ室に通される。
少し待っていると担当者らしい、左右さんと年齢が近そうな男性が部屋に入ってきた。
最終選考会の時にも居た榊さんだ。
榊さんは合格通知もメールで私に送ってくれている。
軽く挨拶し、今日の打ち合わせをすると自社ビル内にあるmoom編集部を案内してくれた。
そして、地下にある撮影スタジオへ通される。
丁度撮影をしている女の子が居る。私より年上で多分中学生である。
目まぐるしくポーズが変わり、そのたびにフラッシュが彼女を照らす。
反射的にポーズを決めている彼女に凄いと思いながら、私は左右さんと眺めていた。
そうしていると撮影が終わったらしく、撮られていた女の子が此方に向かってくる。
遠目から眺めていた時は気付かなかったけど、この人は――。
「こんにちはー、ふたりは親子なの?」
「うん、そうだよ。娘をこれから宜しくね。梨杏、このお姉さんに挨拶をしよう」
私は、太腿の前で両手を重ね、頭を下げた。
「これからmoomのキッズモデルになる華燭梨杏です。
Ruiさん、宜しくお願いします」
私のふたつ上のmoomモデル、Ruiさん。中学2年生で女優もこなしてる。
可愛いのは当然として、奔放な性格やどことなく距離感が近いと人気が高い。
勿論、オーディション前にスマホで調べていた。
「礼儀正しい! 肌白っ、顔小さっ、目が青っ、人形みたいで可愛い!
それにあたしのコト知っててありがとう、梨杏ちゃん宜しくね!」
「はい、仲良くして下さいっ」
Ruiさんは私に抱き着いて背中を軽く叩く。
初対面の私にとても距離感が近いかなと思ったけど、嫌な気分はしなかった。
「パパも超イケメンだね! もしかして業界の仕事してた?」
「い、いや僕は全然。あ、梨杏の父の左右(さすけ)だよ、ヨロシクね」
「パパさんもヨロシク!」
あっ、あぁー!
Ruiさんは私同様に左右さんにも飛び込む様に抱擁。
左右さんはものすごく慌てた。
が、引き離しなんてしたら彼女が傷付くのだろと思っているのか、そのまま受け容れている。
「え、ええと……Ruiちゃん。もしかして、他の男の人にもこの挨拶を?」
幸いにもすぐ離れたRuiさんは不思議そうな表情を浮かべ、左右さんの問いに答える。
「まっさかー、パパさんがイケメンの大人の人だからだよ。
それより梨杏ちゃんのパパってすごく身体鍛えてるね、素敵!」
あ、ありがとうと左右さんは辛うじて声を絞り出す。
Ruiさんは満足そうに笑みを浮かべて、手を振りながら立ち去って行った。
「……パパって、本当にモテますよね」
「さ、最近何故かね……」
この後、撮影が始まったが表情を作るのに苦労したのは言うまでもない。
☆新規計画達成項目
・2017年6月3日 Ruiさんと知り合いになった。
私は付き添いの左右さんと市内の相談社の自社ビルに訪れる。
moomの初撮影の為で、7月3日発売の8月号で掲載される。
他にもインタビューがありそれも誌面やホームページに載る様だ。
受付を通じ打ち合わせ室に通される。
少し待っていると担当者らしい、左右さんと年齢が近そうな男性が部屋に入ってきた。
最終選考会の時にも居た榊さんだ。
榊さんは合格通知もメールで私に送ってくれている。
軽く挨拶し、今日の打ち合わせをすると自社ビル内にあるmoom編集部を案内してくれた。
そして、地下にある撮影スタジオへ通される。
丁度撮影をしている女の子が居る。私より年上で多分中学生である。
目まぐるしくポーズが変わり、そのたびにフラッシュが彼女を照らす。
反射的にポーズを決めている彼女に凄いと思いながら、私は左右さんと眺めていた。
そうしていると撮影が終わったらしく、撮られていた女の子が此方に向かってくる。
遠目から眺めていた時は気付かなかったけど、この人は――。
「こんにちはー、ふたりは親子なの?」
「うん、そうだよ。娘をこれから宜しくね。梨杏、このお姉さんに挨拶をしよう」
私は、太腿の前で両手を重ね、頭を下げた。
「これからmoomのキッズモデルになる華燭梨杏です。
Ruiさん、宜しくお願いします」
私のふたつ上のmoomモデル、Ruiさん。中学2年生で女優もこなしてる。
可愛いのは当然として、奔放な性格やどことなく距離感が近いと人気が高い。
勿論、オーディション前にスマホで調べていた。
「礼儀正しい! 肌白っ、顔小さっ、目が青っ、人形みたいで可愛い!
それにあたしのコト知っててありがとう、梨杏ちゃん宜しくね!」
「はい、仲良くして下さいっ」
Ruiさんは私に抱き着いて背中を軽く叩く。
初対面の私にとても距離感が近いかなと思ったけど、嫌な気分はしなかった。
「パパも超イケメンだね! もしかして業界の仕事してた?」
「い、いや僕は全然。あ、梨杏の父の左右(さすけ)だよ、ヨロシクね」
「パパさんもヨロシク!」
あっ、あぁー!
Ruiさんは私同様に左右さんにも飛び込む様に抱擁。
左右さんはものすごく慌てた。
が、引き離しなんてしたら彼女が傷付くのだろと思っているのか、そのまま受け容れている。
「え、ええと……Ruiちゃん。もしかして、他の男の人にもこの挨拶を?」
幸いにもすぐ離れたRuiさんは不思議そうな表情を浮かべ、左右さんの問いに答える。
「まっさかー、パパさんがイケメンの大人の人だからだよ。
それより梨杏ちゃんのパパってすごく身体鍛えてるね、素敵!」
あ、ありがとうと左右さんは辛うじて声を絞り出す。
Ruiさんは満足そうに笑みを浮かべて、手を振りながら立ち去って行った。
「……パパって、本当にモテますよね」
「さ、最近何故かね……」
この後、撮影が始まったが表情を作るのに苦労したのは言うまでもない。
☆新規計画達成項目
・2017年6月3日 Ruiさんと知り合いになった。
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