13 / 35
小学校編
結婚六カ年計画 8
しおりを挟む
2017年5月4日 木曜日。午前10時頃。
私達は左右さんのご実家を出て、陸宮自動車道経由で美田園市へ戻る。
但し都心にある私達の家ではなく西部のパトス孤児院へ向かっている。
孤児院を出て一ヶ月とちょっと、 院長先生や友達に元気な姿を見せるた為だ。
左右さんには申し訳ないけど、私にとって最も長い時間を一緒に過ごした孤児院の友達や院長先生が家族の様なものであり、会えるコトが非常に楽しみである。
その気持ちが表れていたのか、ハンドルを握りながら左右さんは聞いた。
「梨杏ちゃん。孤児院の皆と会うの、楽しそうだね」
「はいっ、特に院長先生に会いたいです」
友達とも会いたいけれど院長先生は特別である。
院長先生はママの親友で、おばあちゃんの話だとパパとママが亡くなってからもずっと私を気にかけてくれていた。
左右さんとの出会いが無ければ多分、私はずっと院長先生のお手伝いをしながら孤児院で生活していたと思う。
それに、院長先生は……。
******
12時前。
美田園市の西部……つまりは田舎の方に到着した。
もうお昼時なので昼食を食べてから孤児院へ行くコトにする。
見つけたお店で二八蕎麦を食べ、美味しかった。
そして1時過ぎ頃、孤児院へ到着する。
山に囲まれた長閑な場所で温泉街としても有名である。
出来ればその内、左右さんと一緒に温泉に入りたい。
私達は孤児院へ入る。
「こんにちはー」
左右さんがホール内にある受付の小窓から通じている事務所内に呼びかけると、中から事務の佐藤さんが顔を出した。
「あら、そのハンサムフェイスは左右さん。梨杏、元気ですか?」
「はい、皆さんにお会いして頂きたくて連れてきました」
私は小窓からひょこっと顔を出した。
「佐藤さん、お久し振りですっ」
「まぁ、梨杏。元気そうね。院長先生も会いたがってたわよ」
50を超えている佐藤さん。孫が私と同じくらいの年である。
家からお菓子を持ってきていつも私にくれていた。
「左右さんも久し振りね。去年入れ替えたあなたの会社の机や椅子、とてもイイわ」
「はは、有難う御座います」
左右さんは去年の夏から仕事で孤児院に度々訪れていた。
そこで私達は運命的な出会いを果たし、今に至る。
「今頃みんなはホールに集まってるから、このまま行きなさいな。
後で事務所にも来るのよ」
「分かりました、有難う御座います」
私達は廊下を進み、ホールへの扉を開いた。
すると、院長先生が皆に本を読んでおり、私達に気付いた。
「……梨杏? 会いたかったわ!」
「院長先生、お久し振りです!」
驚いている先生に駆け付け、そのまま抱き着く。
私が身体を預けられるのは今、先生と左右さんの二人だけだ。
先生は私を優しく抱擁し、頭を撫でてくれた。
そして周りには、私よりも年下の友達が集まって抱き着いてくる。
“家”に帰ってきたと思った瞬間だった。
「華燭さんもお久し振りです。まさか、来て頂けるとは……」
「お休みの所、急に訪問して申し訳御座いません。梨杏ちゃんの元気な姿を皆さんにお見せしたかったのです」
院長先生と左右さんは互いに頭を下げる。
実家に帰った時の自然体も良いけど、やはり営業的な応対も素敵である。
それにしてもやはり院長先生は特別だ。
美人でお淑やかで私が憧れる人。
ママの親友。
共にフランスから渡りこの日本に住んでいる。
淡いブロンドの髪と翠色の大きな瞳を私は、出会ってからずっと綺麗だと思っていた。
☆新規計画達成項目
・2017年5月4日 左右さんと一緒に初めて蕎麦を食べた。
私達は左右さんのご実家を出て、陸宮自動車道経由で美田園市へ戻る。
但し都心にある私達の家ではなく西部のパトス孤児院へ向かっている。
孤児院を出て一ヶ月とちょっと、 院長先生や友達に元気な姿を見せるた為だ。
左右さんには申し訳ないけど、私にとって最も長い時間を一緒に過ごした孤児院の友達や院長先生が家族の様なものであり、会えるコトが非常に楽しみである。
その気持ちが表れていたのか、ハンドルを握りながら左右さんは聞いた。
「梨杏ちゃん。孤児院の皆と会うの、楽しそうだね」
「はいっ、特に院長先生に会いたいです」
友達とも会いたいけれど院長先生は特別である。
院長先生はママの親友で、おばあちゃんの話だとパパとママが亡くなってからもずっと私を気にかけてくれていた。
左右さんとの出会いが無ければ多分、私はずっと院長先生のお手伝いをしながら孤児院で生活していたと思う。
それに、院長先生は……。
******
12時前。
美田園市の西部……つまりは田舎の方に到着した。
もうお昼時なので昼食を食べてから孤児院へ行くコトにする。
見つけたお店で二八蕎麦を食べ、美味しかった。
そして1時過ぎ頃、孤児院へ到着する。
山に囲まれた長閑な場所で温泉街としても有名である。
出来ればその内、左右さんと一緒に温泉に入りたい。
私達は孤児院へ入る。
「こんにちはー」
左右さんがホール内にある受付の小窓から通じている事務所内に呼びかけると、中から事務の佐藤さんが顔を出した。
「あら、そのハンサムフェイスは左右さん。梨杏、元気ですか?」
「はい、皆さんにお会いして頂きたくて連れてきました」
私は小窓からひょこっと顔を出した。
「佐藤さん、お久し振りですっ」
「まぁ、梨杏。元気そうね。院長先生も会いたがってたわよ」
50を超えている佐藤さん。孫が私と同じくらいの年である。
家からお菓子を持ってきていつも私にくれていた。
「左右さんも久し振りね。去年入れ替えたあなたの会社の机や椅子、とてもイイわ」
「はは、有難う御座います」
左右さんは去年の夏から仕事で孤児院に度々訪れていた。
そこで私達は運命的な出会いを果たし、今に至る。
「今頃みんなはホールに集まってるから、このまま行きなさいな。
後で事務所にも来るのよ」
「分かりました、有難う御座います」
私達は廊下を進み、ホールへの扉を開いた。
すると、院長先生が皆に本を読んでおり、私達に気付いた。
「……梨杏? 会いたかったわ!」
「院長先生、お久し振りです!」
驚いている先生に駆け付け、そのまま抱き着く。
私が身体を預けられるのは今、先生と左右さんの二人だけだ。
先生は私を優しく抱擁し、頭を撫でてくれた。
そして周りには、私よりも年下の友達が集まって抱き着いてくる。
“家”に帰ってきたと思った瞬間だった。
「華燭さんもお久し振りです。まさか、来て頂けるとは……」
「お休みの所、急に訪問して申し訳御座いません。梨杏ちゃんの元気な姿を皆さんにお見せしたかったのです」
院長先生と左右さんは互いに頭を下げる。
実家に帰った時の自然体も良いけど、やはり営業的な応対も素敵である。
それにしてもやはり院長先生は特別だ。
美人でお淑やかで私が憧れる人。
ママの親友。
共にフランスから渡りこの日本に住んでいる。
淡いブロンドの髪と翠色の大きな瞳を私は、出会ってからずっと綺麗だと思っていた。
☆新規計画達成項目
・2017年5月4日 左右さんと一緒に初めて蕎麦を食べた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
6
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる