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小学校編
結婚六カ年計画 7-2
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2017年5月3日 水曜日。午前11時過ぎ。
「ただいま。おぉ左右、久しぶりだな」
左右さんの実家の居間で皆で寛いでいると、大人と子供の男の人が買い物袋を持って入ってきた。
「おかえり、兄さん。景も久し振り」
「左右おじさん久しぶりー! あれ、その子は?」
左右さんのお義兄さんとその子。
どこか左右さんの面影がある。
私はふたりを見て軽くお辞儀をした。
「初めまして、梨杏です。ふたりとも、宜しくお願いします」
「ほう、礼儀正しい子だなぁ。この子が左右の娘になった子か。
景、お前も挨拶しなさい」
「……………」
景君は私を見ると、俯いて黙ってしまった。
どうしたのかな。
「景、梨杏ちゃんに挨拶をしなさい!」
今度はお母さんである唯さんから声が飛んできた。
彼は渋々、顔を上げて第一声とは違いか細い声をあげる。
「は、はじめまして。景だよ、よろしく……」
景君の顔は真っ赤である。
「景君、仲良くして下さいねっ」
「う、うん……」
彼はまた俯いてしまい、お義兄さんと叔母さんが大笑いする。
「あっはっはっは、こいつ、照れやがって!」
「しょうがないわよ。梨杏ちゃん、凄く可愛いし。昔のあなたと一緒だわ」
思わぬ反撃に今度はお義兄さんが鳩が豆鉄砲に当たった様な表情を浮かべる。
親子だなぁと思い、私はつい可笑しくなった。
次男のお義兄様は居ないけど、これで左右さんの殆どのご家族と会うコトが出来た。
賑やかで、気兼ねを感じないこの雰囲気に「ああ、これが家族なのか」と感慨深く思う。
∞∞∞∞∞
ながめているだけで
ほほえましく、
うらやましく、
そしてほんのすこしねたましい。
その暖かさに当てられて私は、自分の心の醜悪さを改めて思い知り胸を痛めた。
∞∞∞∞∞
「…………」
「梨杏ちゃん、どうしたの?」
私の様子に気付いたのか、左右さんが心配そうな表情を浮かべる。
「えっ? あっ、いえ……人が沢山居て緊張してしまって」
「そっかぁ。でも皆怖くないから大丈夫だよ。
父さんと上兄さんは顔が怖いけど……」
「お前は母さん似だから良いよなぁ」
お義兄さんがそう言うと皆、大笑いした。
「ふふっ……ええ。皆さん優しそうだと思います」
いつか私も、この疎外感を取り払い、この輪の中に入れたのなら。
☆新規計画達成項目
・2017年5月3日 お義兄さんとその息子の景君と仲良くなった。
「ただいま。おぉ左右、久しぶりだな」
左右さんの実家の居間で皆で寛いでいると、大人と子供の男の人が買い物袋を持って入ってきた。
「おかえり、兄さん。景も久し振り」
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「初めまして、梨杏です。ふたりとも、宜しくお願いします」
「ほう、礼儀正しい子だなぁ。この子が左右の娘になった子か。
景、お前も挨拶しなさい」
「……………」
景君は私を見ると、俯いて黙ってしまった。
どうしたのかな。
「景、梨杏ちゃんに挨拶をしなさい!」
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「景君、仲良くして下さいねっ」
「う、うん……」
彼はまた俯いてしまい、お義兄さんと叔母さんが大笑いする。
「あっはっはっは、こいつ、照れやがって!」
「しょうがないわよ。梨杏ちゃん、凄く可愛いし。昔のあなたと一緒だわ」
思わぬ反撃に今度はお義兄さんが鳩が豆鉄砲に当たった様な表情を浮かべる。
親子だなぁと思い、私はつい可笑しくなった。
次男のお義兄様は居ないけど、これで左右さんの殆どのご家族と会うコトが出来た。
賑やかで、気兼ねを感じないこの雰囲気に「ああ、これが家族なのか」と感慨深く思う。
∞∞∞∞∞
ながめているだけで
ほほえましく、
うらやましく、
そしてほんのすこしねたましい。
その暖かさに当てられて私は、自分の心の醜悪さを改めて思い知り胸を痛めた。
∞∞∞∞∞
「…………」
「梨杏ちゃん、どうしたの?」
私の様子に気付いたのか、左右さんが心配そうな表情を浮かべる。
「えっ? あっ、いえ……人が沢山居て緊張してしまって」
「そっかぁ。でも皆怖くないから大丈夫だよ。
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「お前は母さん似だから良いよなぁ」
お義兄さんがそう言うと皆、大笑いした。
「ふふっ……ええ。皆さん優しそうだと思います」
いつか私も、この疎外感を取り払い、この輪の中に入れたのなら。
☆新規計画達成項目
・2017年5月3日 お義兄さんとその息子の景君と仲良くなった。
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