結婚六カ年計画

魂祭 朱夏

文字の大きさ
上 下
9 / 60
小学校編

結婚六カ年計画 6

しおりを挟む
 2017年4月17日 月曜日。午後8時頃。


「えええっ、いつの間に!」
 雑誌と届いた合格通知書を差し出し、事情を伝えた後の左右さんの第一声は驚きの声だった。

 エイプリルフールの初デートの時。
 その時左右さんに購入して頂いた月刊誌のmoomは小学校高学年向けの大手ファッション誌である。
 毎年、4月1日に発売する5月号で専属のキッズモデルのオーディションを募集するので参加する為左右さんにおねだりしたのだ。

「まさか僕が知らない間にファッション誌のオーディションに応募して、書類審査を受かっちゃうなんて……」
「申し訳御座いません」
 
 moomのキッズモデルになると報酬も貰えるので左右さんの出費も減るし、将来に向けてお金を貯めるコトが出来る。
 高校1年生の2月に左右さんとパリへ行くために、まずはふたり分で100万円程の旅費。

「いや、怒ってないんだ。ただびっくりして……。
 でも凄いよ梨杏ちゃん。2500人の中の10人の最終審査に残るなんて驚きだ」
「偶然だと思います」
 
 あとは大学の学費や結婚資金としてプラス700万円程度貯めたい。
 その為に左右さんの同意を得て、証券会社で未成年口座を開設し、稼いだお金を株や投資信託で資産運用する計画だ。
 最終的には、経済的な面でも左右さんを支えるつもりである。
 左右さんが非常に仕事が出来る人なのでその必要は無さそうだけど、生きる為にお金があって越したコトはない。
 
「梨杏ちゃんは凄く可愛いからなぁ。きっとその2500人の中でも1番だよ」
「…………! う、嬉しいです」
 笑顔で言う左右さんの不意打ちについ顔が綻ぶ私。
 話が途中であるコトを忘れそうになるが私は何とか耐えた。

「そ、その。パパにお願いがあるのです。
 22日土曜日に最終審査が市内の会場であるのですが、保護者同伴が条件なので一緒に来て頂きたいのです」
「うん、良いよ」
「パパの貴重なお休みの時間を私なんかの所要で使ってしまうのは心苦し……えっ、宜しいのですか?」
「勿論だよ。会場は通知書に……ああ、近くだね。陸宮地方のブロックではふたりの内ひとりしか選ばれないのか」
 私は安心した。
 保護者としてついて来てくれると言うコトは、キッズモデルとして活動をしても良いよと言う意味なので小学生でもお金を稼ぐコトが出来る。
 
 最終選考も合格すればだけど、これでお金の当てが出来た。
 あわよくば仕事で来た服も貰えたらいいなぁと思いながら、週末に左右さんと一緒に貴重な経験が出来るコトを私は喜んだ。


 ☆新規計画達成項目
 ・2017年4月17日 ファッション誌の専属キッズモデルの一次審査を通った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

兄になった姉

廣瀬純一
大衆娯楽
催眠術で自分の事を男だと思っている姉の話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

パパのお嫁さん

詩織
恋愛
幼い時に両親は離婚し、新しいお父さんは私の13歳上。 決して嫌いではないが、父として思えなくって。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

処理中です...