トワイライトワールド

魂祭 朱夏

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第一章

第2話(2)

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「聖さん。やはり、私と共に戦って頂くと命を落とすコトも――」

 
 予想通りと言うか、ある意味では宿命とも言うか。
 何となく、そう言われる気がした。
 でも私は……既に覚悟を決め終えていたのだ。

 
 ぎゅっ。
 クロエちゃんの小さな体を抱擁し、胸で彼女の顔を覆う。
 そのまま彼女の作る水色の河を撫でながら私は伝えた。

「大丈夫よ、クロエちゃん。それ位覚悟してたから。
 それにたった独りであの化け物と戦っているキミを捨て置くコトなんて私には出来ないから」
「聖さん……」
 囁くような小さな声で私を呼ぶ少女。
「だから私、うんと強くなるよ。クロエちゃん。もうひとつの質問だけど私はどうやって強くなればいい?」
「は、はいそれは……」

 クロエちゃんの声は、少し潤んでいた。


 ∞∞∞∞∞∞


 現実に戻って入浴中、私は思い返していた。
 どうして、クロエちゃんに抱き着いてしまったのかと。


 ******


「……少しだけ、私の甘えをお伝えしても宜しいですか?」
「ん、勿論っ」
「私、貴女が強くなれる様に全力でサポートを致します。
 でも貴女が私よりも強くなれたのなら……私のコト、お護りして頂けますか?」
「うんっ。私、クロエちゃんを絶対に護れる様になるわ。約束するね」


 ******


 あのあと彼女に聞いたのだがトワイライトワールドで目覚める能力の種類はそう多くなく、どれもシンプルらしい。
 だからこそ工夫や意志次第で誰でも……どんな能力でも最強になれる様だ。
 
 私の能力はものを弾いたり、引き込んだりする力。
 「一切斥引(クーロン)」と名付けた。
 因みにクロエちゃんのファキュルテは「氷結操作(フローズン)」。
 空気を含む「モノ」を冷やす能力だが、応用して氷の翼で滑空したり氷のつららを飛ばしたり色んなコトが出来る。


 様々な現象に関連付けて、まるで万象に拡がる木の枝の様な可能性。
 あの世界では想像力と意志力が強さを決める。

 
 胸が高鳴ってきた。

 
 ただ様々な能力の応用を行う為には訓練は不可欠で、日常的にも意志を強める行為をすればあちらの世界でも役立つ様だ。

 
 喜久福は当面封印だ。

 
 トワイライトワールドから、全てのミロワーヌを消滅。
 この世界への脅威を失くすまでどの位時間が掛かるかは分からないけど、それでも彼女とふたりでなら何となく出来る気がした。
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