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10話

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「ああ、いいな。よく見える」

うっとりとした声で呟くと蜜を溢す場所にテオドールの端正な顔が近づく。愛おし気にそこに口付けた後ぴちゃ、とあり得ない音と共にテオドールの赤い舌が蜜口に這わされた。強烈な快感が頭の先からつま先まで貫いて、咄嗟に口を塞いだ。とんでもない声を発しそうになったからだ。ここは宿舎で左右の部屋にも人がいる。誰とも知らない人にこんな声を聞かれたくない、と必死で声を抑えようとするがテオドールの舌が丁寧に花弁を舐めて、唇でじゅ、と音を立てて蜜を舐め取られるのが気持ちよくて指の間から荒い息と声が漏れてしまう。

ビクビクと身体を揺らすリゼットは無意識に身を捩ってテオドールの口淫から逃れようとするが、指で媚肉を目一杯広げられ、そこに舌を捩じ込まれると、ピクンと身体が硬直した。

「んーーーっ」

指とは違いぬるりとした舌が膣内に入り込み、蜜の出所を探ろうと舐め回す。花弁を舐められるのも気持ちよかったが、舌で中の襞を抉るように舐められるのも身体が溶けそうな程気持ちがいい、とブンブンと首を振りたくる。

「気持ちいいか…?良かった、じゃあもっと…」

譫言のように漏れてしまっていたようだ。恥ずかしい、と思う暇もなく次の瞬間ジュルジュルと溢れ出た蜜を啜られる。限界まで舌を挿し込んで、グイグイと刺激されると奥からまたドプリと蜜が流れて、勿体無いと唇で柔肉を喰みながら蜜を吸い取る。ゴクン、嚥下する音が響くと自分がどれだけ蜜を垂れ流していたのか思い知らされて涙が出そうになる。

「舐めてもキリがないな、どんどん溢れてくる」

嬉しそうに蜜口にしゃぶりつき、止めどなく溢れかえる蜜を啜り続けるテオドール。その姿は美味しいものを味わっているかのようだ。

「そんなとこっ…汚いのにっ!」

散々舐められた後で抗議の声をぶつけるリゼット。目は潤んで顔は蕩けきっているし、声音から本気で嫌がってないのが丸わかりだ。理解しているテオドールは舌を這わせながら囁く。

「汚くないぞ、甘くて美味しい」

徐に顔を上げ、身体を伸ばしてリゼットにキスしてきた。唾液塗れの口付けと違う味がする。

「…甘いか分かりません」

「そうか?まあ俺しか分からなくていい」

そう言うとまた秘所に顔を埋めて、ぷっくり膨れていた蕾を指で刺激しながら膣内を念入りに舐められる。愛でられ続けたリゼットの身体はあっけなく高みへと昇らされ、頭が真っ白になり足の先が丸まり、ピンと硬直する。みっともなく喘いで、身体を波打たせながら盛大に達した。

「あ、声…」

漏れちゃったらどうしよう、と不安がるリゼットの唇をテオドールが優しく喰み、顔中にキスを落とした。

「ここ、そんなに壁薄くないから声は漏れてないと思うぞ。悲鳴みたいに叫んだら聞こえるかもしれないが」

つまり感じすぎて悲鳴を上げるな、と言っている。出来るだろうか、まだ途中なのに声が抑えられていないから不安になった。

「危なそうなら俺が塞ぐから心配ない、寧ろリゼットの声可愛いから遠慮なく出して欲しいくらいだ」

そう言いながらテオドールはやっと着ている服に手をかけた。乱暴に騎士服を脱ぎ、床に放り投げる。鍛え上げられた逞しい身体がリゼットの前に曝け出される。人の美醜に少々疎いリゼットにもテオドールの肉体が美しいのは分かった。細身なように見えて、しっかり筋肉がついており惚けた眼差しで思わず見つめる。

少し照れくさそうなテオドールが今度はリゼットの腰の辺りでくしゃくしゃになっていたワンピースを足元から引き抜いた。肌着とブラジャーも取り払ってしまい、リゼットは一糸纏わぬ姿になった。恥ずかしくて胸を両腕で隠すリゼットの挙動を一つも見逃さないとばかりに凝視しながらトラウザーズを寛げる。飛び出してきたのは凶悪なほどそそり立った剛直。とっさに顔を掌で覆うが、指の隙間からしっかり見ていた。そして気づく、執務室で見た時より大きくなってないか?と。

あの時も雄々しく昂っていたが、今の方が重量も硬さも増しているような。そもそも2回は精を吐き出しているはず…。

「…そんなに見られると恥ずかしいんだが」

目尻を赤くしたテオドールが照れていた。リゼットは慌てた顔を伏せるが、もう遅い。

「み、見てないです…」

「指の隙間からガン見してたの気づいてないと思ったか?さっきも細目で見てきたし、本当いやらしいな」

揶揄われて咄嗟に言い返す。

「さっきのは仕方ないですよ!今見てたのはさっきより大きくないかと思ったからで」

「…」

ガチガチに勃ち上がっていた屹立がぐーんと更に上を向いて、臍に付きそうなほど反り返った。

「っ!?」

なんだ今のは。驚愕のまま固まるリゼットに覆い被さったテオドールは大きく脚を開くと、蜜口に剛直を押し当てた。圧倒的な質量に身体が強張ってしまう。

「…怖いか?」

「…それ、本当に入ります?」

とても入るとは思えないほど凶悪な屹立。怖気づく自分もいれば、熱くて硬いもので思い切り擦り上げられたいと望む淫らな自分もいてヒク、とまた蜜が滴る。

「…俺にも分からない、経験がないからな」

「…え?経験ないんですか」

「あるわけないだろう、女苦手なんだよ」

「その割には…上手くなかったですか…指と舌の使い方…」

本当に身体が溶けて無くなるのではというほど、翻弄されてみっともないくらい乱された。あれで未経験は無理がある。

「…気持ちよかった?」

「…(コクリ)」

「嬉しい」

素直なリゼットの頭を撫でて額にキスしてくれた。
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