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第二部
40話…※
しおりを挟む「…その目、睨んでいるつもりだろうけど逆効果だよ。何か意地悪したくなるから優しくして欲しかったら気を付けて」
あまりに理不尽な物言いに咄嗟に反論したくなったが、無理だった。空いている彼の右手が下腹部を伝い、静香の身体を隠す唯一の布地に辿り着く。下着を取り去られ、彼の長い指が侵入するとぐちゅ、という水音が寝室に響く。気のせいではない、絶対前回より音が大きい。キスと胸だけでどれだけ感じているんだと自分が情けなくなる。櫻井の指が中に入り込み、浅い所をなぞる様に優しく撫でた。すっかり濡れそぼったそこは指をあっさり飲み込み、また小さな動きですら静香の全身に快感をもたらす。静香が感じていることが嬉しいのか、櫻井はフッと小さく笑う。
「凄く濡れてる、感じてくれて嬉しい…」
一々報告しなくていいと思う。恥ずかしさで頭が茹ってしまいそうになる。しかし、櫻井が本当に嬉しそうに笑うので、これくらい良いかと言う気持ちになった。本当自分は彼に甘い。
それから櫻井は時間をかけて丁寧に中をほぐしていく。どれくらい丁寧と言うと、恥じらいも捨ててこちらから「挿れて」と懇願しそうになるくらいに。最初の時に静香の弱い所を把握していたのだろう。的確に長い指で弱い箇所を責められる。しかもわざと音を立てて弄るせいで、自分の下腹部から聞こえる水音に鼓膜を犯されて頭がおかしくなりそうだ。弄られている箇所もお腹もむず痒くて仕方がない。
2本目の指が入って来た時の何とも言えない感覚に腰を浮かせ、目尻に涙が滲んだのを見た櫻井が焦った様子で「痛い?」と訊ねてくる。わざと聞いているのか本気なのか分かりづらい。分かった上で聞いてくるのならSを通り越してサディストだ。
ここで恥じらいを捨て去るか、このまま脳髄が侵されるまで快楽に身を任せるかの究極の選択を迫られる。櫻井はいつの間にか増やした指3本を使って蜜口を混ぜっ返していた。なのに襞に隠れた突起を触ろうとはしない。これが世に言う焦らしプレイというやつだろうか。それとも弄って達した静香が前回のように気絶しないようにしているのか。この丁寧過ぎるくらい丁寧な動作を感じていると後者の気がしてくる。
もう懇願してしまおうかと覚悟を決めようとしたとき不意に指を引き抜かれる。引き抜かれる時中が収縮し指が抜かれるのを妨げたことが、顔から火が出るほど恥ずかしい。必死で息を整えている静香を横目に櫻井は性急な手つきでサイドテーブルから小さな袋を取り出すと口で封を切った。押し殺したような声で自分に話しかける。
「ごめん、もう限界。そろそろ中に入りたい、良い?」
どうやら静香だけでなく彼も限界だったらしい。理性が焼き切れる寸前の切羽詰まった男の顔は異常なほど扇情的だ。静香が目を見たまま頷くと乱暴にベルトを外し、パンツの中からそれが勢いよく飛び出した。それを見た瞬間静香は目を疑った。
前回碌に直視出来なかった時より、大きさも何もかもが上回っていたから。先端からテラテラと先走りが漏れていた。腹にくっつく勢いで勃ち上がっている分身は血管が浮き出て膨張していて、まるで生き物のようでもあり、凶器のようでもある。恐ろしいことに前回これが自分の中に入ったのである。
思い出しても痛かったのは確かだが泣きそうな程でもなかった。その辺は櫻井が上手かったのか、静香が感じやすかったのか真偽は不明。けど今回は絶対痛いし入らない、絶対裂ける、でもこれが本当に入ったらどうなるのかという疑問と期待が入り混じったはしたない思考で分身を興味深そうに凝視していると、慣れた手つきで避妊具を装着していた櫻井の困惑した声がかかる。
「そんなに見られると流石に恥ずかしいんだけど、興味あるの?」
どうやら静香が避妊具を付けることに興味があると勘違いしているらしい。違うのだが、それはそれで興味がある。あれか、バナナに袋をかぶせる要領でやればいいのか。最もバナナとは比べるまでもなく凶悪だが。
「興味があるなら次付けてみる?何て、冗談」
「…分かりました」
「え」
揶揄い交じりの口調に静香の真剣な声音が重なり、櫻井が情けない声を上げた。静香が恥ずかしがると思っていたのだろう、残念なことに静香は羞恥心よりも好奇心の方が勝っていた。後で思い返したら死にたくなるかもしれない。
「子供の頃弟の見たっきりなんですけど、世の男性皆これくらいなんですか」
「いや、知らない…」
「?温泉に行った時見ないんですか」
「逆に君は浴場で他の人の胸ジロジロ見るの?」
「…見ない」
「だろ…というか見すぎ」
「あ、身長に比例するっていう」
「冷静に分析するな、こっちが恥ずかしくなる」
そして言いだしっぺの櫻井の眦が徐々に赤く染まる。照れているのを隠すため、静香の上に勢いよく覆いかぶさった。そのままキスされると、自分の舌を相手の舌でつつかれる。そんな些細な動きに口の中も敏感になっていた静香の身体はビクビク震える。唇をほどき、濡れた目で静香を見下ろす櫻井は急にキスをされて息を乱す様子に満足そうだ。意地悪な一面をしまいこんだ彼の優しい眼差しの奥で何かが揺れた、と思ったら膝裏に手をかけられ大きく足を開かれる。あ、と声が出るより前に濡れそぼった秘所に熱く猛った屹立があてがわれた。
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