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「あれ?その反応…
まさか君、優が妊娠してる事を知らなかったのかい?」
「優が…妊娠だと…?」
とうとう知られてしまった私の妊娠。
私だって初めて自分の妊娠に気付いた時はとても驚いて、しばらく時間を忘れてしまったくらいだもの。
今の勇さんも、あの時の私とおんなじ顔をしている…。
だけど勇さんは、突然高梨さんに掴みかかった。
「ぅわっ!」
「…お前、優に何をした…っ!!」
「何って…っ」
「優に…
俺の優に何をしたのかって訊いてんだよ!!」
高梨さんの襟首を掴んだ勇さんは、力いっぱい押し上げて高梨さんの首を絞める。
「や やめて!勇さん!
私は何もされてないからぁっ!」
高梨さんの首元を手加減なく締め上げる勇さんを、私は慌ててなだめようとした。
大変だ!
勇さんは、私は高梨さんに妊娠させられたと勘違いしてるんだ!
だからあんなに怒って…っ
「いい加減に…しろよっ!」
襟首を締め上げられ呼吸も苦しげになった高梨さんも、勇さんの掴む腕を掴み返した。
「おまっ」
「あのねぇ!
何を勘違いしてるか知らないけど、何だい?君は優から何も聞かされてなかったのか?」
勇さんの腕を振り払った高梨さんは、乱れた自分の襟を直しながら言った。
私もこれ以上勇さんが誤解したままだと、高梨さんに危害を加えそうなので慌てて本当の事を言ったの。
「違うの、勇さん。
あのね、私のお腹にいるのは…勇さんの赤ちゃんなんだよ」
もっと早くに言おうと思った。
もっと早くに言いたかった。
だけど、勇さんの反応が怖くて…ずっと言えなかったのっ
私と勇さんの愛の結晶。
だからどうか…嫌いにならないで…!!
「俺の…子どもだと…?」
ようやく本当の事を知った勇さんは、さっきまで高梨さんをものスゴい形相で睨みつけていたのに、今度は信じられないといった表情で私を見た。
ううん、私じゃない。
私の…お腹の方だ。
「あははっ
優はこの事を言わなかったんだね。
それはやっぱり僕と秘密のまま、なかった事にするつもりだったって事なのかな?」
未だ信じられない様子の勇さんに、高梨さんはとんでもない事を言った。
違う!
私はそんな理由で勇さんに言わなかったんじゃあないよぉ!
「今日はその事を話そうと思って来たんだけど、これでもうハッキリしたね。
優の身体の為にも早く病院に行こうね。
優さえ良かったら今からでも…」
「ま、待って下さい!
私そんな事…」
「優!!」
焦って高梨さんの誤解を解こうとしたその時、今度は勇さんが私に対して大声をあげた。
勇さんの矛先が私に向けられた。
黙ってた事、怒られるのかな…っ
それとも、高梨さんとお付き合いがあった事の方を…?
どっちにしても、悪いのは私。
怖くて黙ってたという事で、私はこんな結果を招いてしまったんだ…!
「優…お前、本当に妊娠してるんだな…?」
…コクンと、一度だけ頷く。
「本当に、俺の子どもなんだな?」
もう一度、私はコクンと頷いた。
黙っててごめんなさい。
でも高梨さんが言ったように、誰にも言わないままおろそうと思ったわけじゃないの。
勇さんに嫌われたくないから…っ
そんな子いらないって言われたくなかったから…!
この先もずっと、一緒にいたかったから…!!
だから………
「…わかった。これで俺も、決心した。
タカナシ…って言ったな。
優とどんな関係かは知らねぇが、お前に優はやらねぇよ。
そんな話をしに来たんなら、話す事はねぇ。さっさと帰んな」
そう言う勇さんに対し、まだ諦めた様子を見せない高梨さんは、フッと笑った。
「だからさっきも言ったけど、別にタダで優を貰おうだなんて思っちゃいないよ。
こんな天使みたいな子、君が手放したくないのは僕だってわかるからね」
「じゃあ何だってんだ!
だいたい、優は俺の女だ。
誰かに共感されたくもねぇよ!」
『お前に優はやらねぇよ』
『優は俺の女だ』
勇さんの言葉で、どんどん胸がキュウッと締め付けられる…。
高梨さんの強引さに怯えた日もあったけど、こうやって勇さんの言葉を聞くと、スゴく嬉しいし安心できるの。
もっと早く、聞きたかったよぉっ
まさか君、優が妊娠してる事を知らなかったのかい?」
「優が…妊娠だと…?」
とうとう知られてしまった私の妊娠。
私だって初めて自分の妊娠に気付いた時はとても驚いて、しばらく時間を忘れてしまったくらいだもの。
今の勇さんも、あの時の私とおんなじ顔をしている…。
だけど勇さんは、突然高梨さんに掴みかかった。
「ぅわっ!」
「…お前、優に何をした…っ!!」
「何って…っ」
「優に…
俺の優に何をしたのかって訊いてんだよ!!」
高梨さんの襟首を掴んだ勇さんは、力いっぱい押し上げて高梨さんの首を絞める。
「や やめて!勇さん!
私は何もされてないからぁっ!」
高梨さんの首元を手加減なく締め上げる勇さんを、私は慌ててなだめようとした。
大変だ!
勇さんは、私は高梨さんに妊娠させられたと勘違いしてるんだ!
だからあんなに怒って…っ
「いい加減に…しろよっ!」
襟首を締め上げられ呼吸も苦しげになった高梨さんも、勇さんの掴む腕を掴み返した。
「おまっ」
「あのねぇ!
何を勘違いしてるか知らないけど、何だい?君は優から何も聞かされてなかったのか?」
勇さんの腕を振り払った高梨さんは、乱れた自分の襟を直しながら言った。
私もこれ以上勇さんが誤解したままだと、高梨さんに危害を加えそうなので慌てて本当の事を言ったの。
「違うの、勇さん。
あのね、私のお腹にいるのは…勇さんの赤ちゃんなんだよ」
もっと早くに言おうと思った。
もっと早くに言いたかった。
だけど、勇さんの反応が怖くて…ずっと言えなかったのっ
私と勇さんの愛の結晶。
だからどうか…嫌いにならないで…!!
「俺の…子どもだと…?」
ようやく本当の事を知った勇さんは、さっきまで高梨さんをものスゴい形相で睨みつけていたのに、今度は信じられないといった表情で私を見た。
ううん、私じゃない。
私の…お腹の方だ。
「あははっ
優はこの事を言わなかったんだね。
それはやっぱり僕と秘密のまま、なかった事にするつもりだったって事なのかな?」
未だ信じられない様子の勇さんに、高梨さんはとんでもない事を言った。
違う!
私はそんな理由で勇さんに言わなかったんじゃあないよぉ!
「今日はその事を話そうと思って来たんだけど、これでもうハッキリしたね。
優の身体の為にも早く病院に行こうね。
優さえ良かったら今からでも…」
「ま、待って下さい!
私そんな事…」
「優!!」
焦って高梨さんの誤解を解こうとしたその時、今度は勇さんが私に対して大声をあげた。
勇さんの矛先が私に向けられた。
黙ってた事、怒られるのかな…っ
それとも、高梨さんとお付き合いがあった事の方を…?
どっちにしても、悪いのは私。
怖くて黙ってたという事で、私はこんな結果を招いてしまったんだ…!
「優…お前、本当に妊娠してるんだな…?」
…コクンと、一度だけ頷く。
「本当に、俺の子どもなんだな?」
もう一度、私はコクンと頷いた。
黙っててごめんなさい。
でも高梨さんが言ったように、誰にも言わないままおろそうと思ったわけじゃないの。
勇さんに嫌われたくないから…っ
そんな子いらないって言われたくなかったから…!
この先もずっと、一緒にいたかったから…!!
だから………
「…わかった。これで俺も、決心した。
タカナシ…って言ったな。
優とどんな関係かは知らねぇが、お前に優はやらねぇよ。
そんな話をしに来たんなら、話す事はねぇ。さっさと帰んな」
そう言う勇さんに対し、まだ諦めた様子を見せない高梨さんは、フッと笑った。
「だからさっきも言ったけど、別にタダで優を貰おうだなんて思っちゃいないよ。
こんな天使みたいな子、君が手放したくないのは僕だってわかるからね」
「じゃあ何だってんだ!
だいたい、優は俺の女だ。
誰かに共感されたくもねぇよ!」
『お前に優はやらねぇよ』
『優は俺の女だ』
勇さんの言葉で、どんどん胸がキュウッと締め付けられる…。
高梨さんの強引さに怯えた日もあったけど、こうやって勇さんの言葉を聞くと、スゴく嬉しいし安心できるの。
もっと早く、聞きたかったよぉっ
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✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
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✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
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