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青ざめながらしばらく時間が止まっていた後、ようやくハッとした私はショルダーバッグからケータイを取り出して画面を確認した。
「…別に何の着信もない」
高梨さんとはあれから何の連絡も取り合ってないハズなのに、私の返事を聞くってのはわかるとして、教えてもないのにうちのアパートにやって来るなんて…
…あっ!
まさかお母さんがまた勝手に教えたんじゃあ!!
どうせ結婚するんだからって私のケー番を勝手に教えたぐらいだもん。
アパートの場所を教えた可能性だって十分あるわよね!
ヒドい!
いくら私が電話に出ないからってぇ!
私はバッグからアパートのカギを取り出すと、ドアに差して回した。
…あれ?
カギも閉まってるアパートに、どうやって高梨さんは入ったの?
まさかそれもお母さんが?
でもアパートのスペアキーなんて、お母さんは持ってないハズなのに……
ドキドキしながら、ゆっくりとノブを回してドアを開ける。
「ただい…まぁ…」
いくら高梨さんでも、誰もいないのに人の家に勝手に入るなんて事はないと思う。
車は多分間違いないとは思うけど、とりあえず置いてるだけで、どこかで…
「優!!」
後ろ手にドアをゆっくり閉めた時、玄関まで出迎えに来たのは勇さんだった。
「えっ
どうして勇さんがいるの?
仕事は?」
勇さんが仕事に行くのは遅くても17時前。
私の仕事が終わったすぐでも、帰った時にはいないのが当たり前なのに。
昨日の日曜日がお休みだったから、今日は仕事の日だよねぇ?
「優?」
そんな勇さんの後に続いて、私の名前を呼びながら更に玄関まで来たのは高梨さんだった。
「た、た、高梨さん!!?」
「優、コイツがお前に大事な話があるからって急に押し掛けてきたんだ。
心当たりはあるか?」
そう言う勇さんの表情が、これまでにないくらい険しい。
た、た、大変だぁ…!!
一番恐れていた事が……っ
「あ…あ…」
これまで高梨さんの事は一切勇さんに話してもなければバレてもいない…と思う。
だって高梨さんは、お母さんを納得させる為に応じたお見合いで知り合っただけの男性。
だけどお見合いの席にも関わらずペアリングはつけて来ちゃったし、恋人がいるって事を晒してしまった。
だから失礼な事をしたお詫びにって事で、高梨さんのお買い物に付き合ってあげたの。
それっきりの関係の予定だった。
なのにプレゼントは貰ってしまったし、キスもされた。
お母さんたちの方で勝手に話は進展してしまい、挙げ句には高梨さんにはプロポーズまでされちゃったわけで…
私がそんな事になっていたなんて、勇さんには言ってないし言えるわけがない。
そんな高梨さんと勇さんが、まさかうちのアパートで顔を合わせる事になるなんて…!!
「優がまさか同棲してるなんて知らなくて、彼氏にはビックリさせちゃったね」
私の心境を知ってか知らずか、高梨さんは澄ました顔でそんな事を言ってきた。
それに対して正反対なのは勇さんだ。
きっと私や高梨さんに対して、膨大な言いたい事や訊きたい事があるに違いない。
それをグッと堪えたように険しい顔のまま、勇さんは私と高梨さんを交互に見ている。
多分高梨さんは、まだ勇さんが仕事に行く前の時間に来たんだ。
私が帰って来るまでの間に、高梨さんと勇さんは何か話をしたのかな…っ
勇さんには、どこまでバレてるんだろう。
心臓がドキドキからバクバクになってきた。
嫌な汗も背中に流れてきてる。
全部を知ってしまったら、勇さん絶対に怒る。
3回もキスされて、更には襲われかけて。
もしそれまでもがバレちゃったら………っ!
「…別に何の着信もない」
高梨さんとはあれから何の連絡も取り合ってないハズなのに、私の返事を聞くってのはわかるとして、教えてもないのにうちのアパートにやって来るなんて…
…あっ!
まさかお母さんがまた勝手に教えたんじゃあ!!
どうせ結婚するんだからって私のケー番を勝手に教えたぐらいだもん。
アパートの場所を教えた可能性だって十分あるわよね!
ヒドい!
いくら私が電話に出ないからってぇ!
私はバッグからアパートのカギを取り出すと、ドアに差して回した。
…あれ?
カギも閉まってるアパートに、どうやって高梨さんは入ったの?
まさかそれもお母さんが?
でもアパートのスペアキーなんて、お母さんは持ってないハズなのに……
ドキドキしながら、ゆっくりとノブを回してドアを開ける。
「ただい…まぁ…」
いくら高梨さんでも、誰もいないのに人の家に勝手に入るなんて事はないと思う。
車は多分間違いないとは思うけど、とりあえず置いてるだけで、どこかで…
「優!!」
後ろ手にドアをゆっくり閉めた時、玄関まで出迎えに来たのは勇さんだった。
「えっ
どうして勇さんがいるの?
仕事は?」
勇さんが仕事に行くのは遅くても17時前。
私の仕事が終わったすぐでも、帰った時にはいないのが当たり前なのに。
昨日の日曜日がお休みだったから、今日は仕事の日だよねぇ?
「優?」
そんな勇さんの後に続いて、私の名前を呼びながら更に玄関まで来たのは高梨さんだった。
「た、た、高梨さん!!?」
「優、コイツがお前に大事な話があるからって急に押し掛けてきたんだ。
心当たりはあるか?」
そう言う勇さんの表情が、これまでにないくらい険しい。
た、た、大変だぁ…!!
一番恐れていた事が……っ
「あ…あ…」
これまで高梨さんの事は一切勇さんに話してもなければバレてもいない…と思う。
だって高梨さんは、お母さんを納得させる為に応じたお見合いで知り合っただけの男性。
だけどお見合いの席にも関わらずペアリングはつけて来ちゃったし、恋人がいるって事を晒してしまった。
だから失礼な事をしたお詫びにって事で、高梨さんのお買い物に付き合ってあげたの。
それっきりの関係の予定だった。
なのにプレゼントは貰ってしまったし、キスもされた。
お母さんたちの方で勝手に話は進展してしまい、挙げ句には高梨さんにはプロポーズまでされちゃったわけで…
私がそんな事になっていたなんて、勇さんには言ってないし言えるわけがない。
そんな高梨さんと勇さんが、まさかうちのアパートで顔を合わせる事になるなんて…!!
「優がまさか同棲してるなんて知らなくて、彼氏にはビックリさせちゃったね」
私の心境を知ってか知らずか、高梨さんは澄ました顔でそんな事を言ってきた。
それに対して正反対なのは勇さんだ。
きっと私や高梨さんに対して、膨大な言いたい事や訊きたい事があるに違いない。
それをグッと堪えたように険しい顔のまま、勇さんは私と高梨さんを交互に見ている。
多分高梨さんは、まだ勇さんが仕事に行く前の時間に来たんだ。
私が帰って来るまでの間に、高梨さんと勇さんは何か話をしたのかな…っ
勇さんには、どこまでバレてるんだろう。
心臓がドキドキからバクバクになってきた。
嫌な汗も背中に流れてきてる。
全部を知ってしまったら、勇さん絶対に怒る。
3回もキスされて、更には襲われかけて。
もしそれまでもがバレちゃったら………っ!
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