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不安な気持ち半分なまま、仕事が終わればアパートに帰って吐き気と戦いながら家事をこなす。



夜は私が寝てる間に勇さんが仕事から戻り、朝は私が起きれば勇さんは眠っている。

ロクに会話も出来ないまま日にちだけがどんどんと過ぎていき、高梨さんに答えを言わなきゃならない月曜日の前日である日曜日になった。



朝陽の光と共に目は覚めて、ベッドの上で背伸びする。


「ん~…っ
…はぁ…」


目は覚めたものの、気分が優れなくて気持ちはどんより。

産むって決めたハズなのに、まだ気持ちがフワフワしてる。


私、間違ってるのかな。
好きな人との子どもなら産んでもいいって、考えが甘い?

やっぱり結婚した後で、パートナーと相談してから決める事?


考えれば考えるほど、意志が弱くなりそうになってくる。

せめて勇さんと、ゆっくりちゃんと話が出来る機会さえあれば…


「うーん…」


ベッドの中で身体だけ起こして私は唸っていた。


お金がないと苦労するって話はお母さんからも和泉さんからも散々聞いた。

多分この妊娠の事をお母さんに言えば、きっとそんな状態じゃ産めないし育てる事だって出来ないわよって言われる。


…どうしたらいいんだろう…


「うーーん…」


「…なに唸ってんだ?
腹でも痛いのかよ」


「えっ」


私がいつまでもベッドの中で悩んでいたら、すぐ側で寝ていた勇さんが目を覚ましたようだった。


「わ、おはよっ」

「おはよじゃねぇよ。
どうしたんだって」


勇さんも身体を起こすと、私の顔を覗き込むように見た。


「あは。
あのね…」


久し振りに会話が出来た。
これはもしかして、今話すチャンスなのかな。


「あの…あの、ね…」


心臓が、ドキドキしてきた。
話をするチャンスがあれば話そうと思っていたのに。

いざその機会が巡ってきた途端、緊張して言いづらくなってきちゃったよぉ。


大変な事も増える上に、喜んでくれるとも限らない。

もしイヤな顔でもされたら、私どうしたらいいのっ




「あの……」


「お前な、さっきからあのあの言ってるだけで、全然話が進んでないぞ」


「あ…うん、あのね…」


また言っちゃった。

な、何から言ったらいいのかな。
いきなり赤ちゃん出来たよって、ちょっとびっくりされるかな。

ええっと…



「勇さんって…子ども、好き?」


「はぁ?」


さり気なく話していこうかと思ったつもりで出た言葉が、それだった。


「お前、急に何の話をしてんだ?」


私のとぼけた質問に、当然勇さんは眉をひそめて私に訊き返した。

何の話って…まぁ、そう思うよね。


「ん、うちの本屋さんに時々小さなお客さんも来てね、とってもかわいいんだぁ」


なんて、適当に話を合わせてみようとした。
でもウソじゃないもんねっ。


「はぁ…子供ねぇ。
時々トラックの下とかに潜んでやがるから、危なくて冷や冷やするんだ。
まったく、手間かかって面倒くせぇよな」


て、手間かかって、面倒くさい…?
勇さんの子どもに対する思いって…“手間、面倒くさい”なんだ!!


「ぁ…そう…なんだぁ…」


まぁ確かに勇さんが、かわいい!って言うなんて思ってなかったけどさぁ。

だけど…これじゃあますます言えなくなってきちゃったよぉっ!



「そんな事よりさ、優…」


勇さんが私の肩に触れ、頬に唇をあてた。


「最近シてないよな。
せっかく目ぇ覚めたし、今ちょっといいだろ?」


肩を押され、私は再びベッドに身体を沈めた。
仰向けになった私に、勇さんが上からキスをする。



「…ぅん………」


パジャマのボタンを1つ2つと外されては、そこにもキスをされていく。

その刺激はとっても優しくて、とっても甘い。


それからも、いっぱいいっぱい愛されていく私の身体。



そう、勇さんが愛しているのは私だけ。
その愛の結晶でもある、お腹の赤ちゃんには…愛はある?



「優、後ろ向けよ。
今日は後ろから…」


私の腰をひょいと持ち上げると、いっぱい愛された私の身体に勇さんがゆっくりと入ってきた。
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