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「あ、や…っ」
これまで一緒にお風呂に入った事なんかは何度かある。
恥ずかしいってのは今でもまだ少しあるけど、でも今日はそんな事情とは違う。
一緒にお風呂に入ったら、この身体を見られちゃう!
高梨さんにたくさん付けられた、このキスマークの身体を…!
「背中、流してやろうか。
もちろん、背中だけじゃないけどな」
ニタリと笑う勇さんは片手で私を抱きしめたまま、もう片方の手で私の身体に触れる。
その妖しい手つきに、何をしようとしているのかはわかってはいるんだけど…。
「あ あの、あのね…っ
私、その…………今……生理 なの!
だから、今日は……………っ」
もちろん生理なんてウソ。
だって身体を見られるわけにはいかないから一緒にお風呂なんて入れないし、もちろん抱かれるわけにもいかない。
本当は、たまには一緒にお風呂も入りたいし、今日もいっぱい抱かれたかった。
なのに自分のせいとは言え、ガマンしなきゃならないのはツラいし、バレないように気も遣わなきゃならない。
高梨さんがつけたキスマークが消えるまで…。
どのくらいかな。
2~3日はかかるのかもしれないなぁ。
わざとらしくも、お腹に手をあてながら生理を理由に断った私。
せっかく誘ってくれたのにシラケられるかなぁと思っていたら、勇さんはお腹にあてている私の手の上に重ねるように手を乗せた。
私よりも二周りは大きい勇さんの手が、私の手を余裕で包み込む。
「そっか。女も大変だな。
ま、無理すんなよ」
「……………!」
バカな私に、ウソまでついてこの状況をやり過ごそうとしている私に、勇さんは優しかった。
「……………ごめんね…」
蚊の鳴くような、小さな声で言いながら私はまた勇さんに抱きついた…。
こんなにも好きなのに、こんなにも優しくしてくれるのに、私は勇さんに何も応えてあげられない。
そうだ。
もう、高梨さんには会わない。
お母さんにも、はっきり断る事を伝えよう。
高梨さんのお母さんには申し訳ない事をしたけど…許してもらえるかな…。
その後
勇さんがお風呂に入っている間に、私は勇さんの食べるお料理を温め直した。
こんなに早く帰ってくるってわかってたら、食べないで待ってれば良かったかな。
でもあの時はお腹が空きすぎて、気持ち悪かったんだもん。
リビングダイニングのテーブルに温めたお料理とご飯を並べると、ちょうど勇さんがお風呂から上がってきた。
「ご飯、いつでも食べれるよ」
「おぅ、サンキュ。
今度は優、お前が風呂入れよ」
「うん」
テーブルに着いた勇さんがお箸を持ったのを見ると、私はバスルームに向かおうとした。
「なぁ、優。
今日は何かあったのか?」
「…え…?」
急にそんな風に言われて、心臓がひっくり返りそうになるかと思うくらいドキンとした。
何で急に、そんな事を訊いてくるの…?
「何かって…?」
…なんでそんな風に思ったんだろ。
私が夜中まで、お風呂にも入らないで起きてたから?
キスマーク、もしかして気付かれたとか?
高梨さんと会ってた事、まさかバレちゃってるんじゃあ…!
「その髪に付けてる奴、初めて見たからさ。
買ったのか?」
髪に付けてる奴…
…あ、このシュシュの事だ。
高梨さんに返すハズだったのに、まさかあんな事になるなんて思わなくて…。
髪に付けてもらったまま、帰っちゃったんだっけ。
「……うん、そうだよ。
かわいいかなぁと思って」
「あぁ、その色はお前によく似合ってるよ」
私の好きな薄ピンク色。
かわいいと思って手に取った物に、まさか高梨さんの想いが詰まっていたなんて思わなかったんだから。
「…ありがと」
せっかく似合うって言ってくれたんだ。
付けてた方がいいのかなぁ…。
これまで一緒にお風呂に入った事なんかは何度かある。
恥ずかしいってのは今でもまだ少しあるけど、でも今日はそんな事情とは違う。
一緒にお風呂に入ったら、この身体を見られちゃう!
高梨さんにたくさん付けられた、このキスマークの身体を…!
「背中、流してやろうか。
もちろん、背中だけじゃないけどな」
ニタリと笑う勇さんは片手で私を抱きしめたまま、もう片方の手で私の身体に触れる。
その妖しい手つきに、何をしようとしているのかはわかってはいるんだけど…。
「あ あの、あのね…っ
私、その…………今……生理 なの!
だから、今日は……………っ」
もちろん生理なんてウソ。
だって身体を見られるわけにはいかないから一緒にお風呂なんて入れないし、もちろん抱かれるわけにもいかない。
本当は、たまには一緒にお風呂も入りたいし、今日もいっぱい抱かれたかった。
なのに自分のせいとは言え、ガマンしなきゃならないのはツラいし、バレないように気も遣わなきゃならない。
高梨さんがつけたキスマークが消えるまで…。
どのくらいかな。
2~3日はかかるのかもしれないなぁ。
わざとらしくも、お腹に手をあてながら生理を理由に断った私。
せっかく誘ってくれたのにシラケられるかなぁと思っていたら、勇さんはお腹にあてている私の手の上に重ねるように手を乗せた。
私よりも二周りは大きい勇さんの手が、私の手を余裕で包み込む。
「そっか。女も大変だな。
ま、無理すんなよ」
「……………!」
バカな私に、ウソまでついてこの状況をやり過ごそうとしている私に、勇さんは優しかった。
「……………ごめんね…」
蚊の鳴くような、小さな声で言いながら私はまた勇さんに抱きついた…。
こんなにも好きなのに、こんなにも優しくしてくれるのに、私は勇さんに何も応えてあげられない。
そうだ。
もう、高梨さんには会わない。
お母さんにも、はっきり断る事を伝えよう。
高梨さんのお母さんには申し訳ない事をしたけど…許してもらえるかな…。
その後
勇さんがお風呂に入っている間に、私は勇さんの食べるお料理を温め直した。
こんなに早く帰ってくるってわかってたら、食べないで待ってれば良かったかな。
でもあの時はお腹が空きすぎて、気持ち悪かったんだもん。
リビングダイニングのテーブルに温めたお料理とご飯を並べると、ちょうど勇さんがお風呂から上がってきた。
「ご飯、いつでも食べれるよ」
「おぅ、サンキュ。
今度は優、お前が風呂入れよ」
「うん」
テーブルに着いた勇さんがお箸を持ったのを見ると、私はバスルームに向かおうとした。
「なぁ、優。
今日は何かあったのか?」
「…え…?」
急にそんな風に言われて、心臓がひっくり返りそうになるかと思うくらいドキンとした。
何で急に、そんな事を訊いてくるの…?
「何かって…?」
…なんでそんな風に思ったんだろ。
私が夜中まで、お風呂にも入らないで起きてたから?
キスマーク、もしかして気付かれたとか?
高梨さんと会ってた事、まさかバレちゃってるんじゃあ…!
「その髪に付けてる奴、初めて見たからさ。
買ったのか?」
髪に付けてる奴…
…あ、このシュシュの事だ。
高梨さんに返すハズだったのに、まさかあんな事になるなんて思わなくて…。
髪に付けてもらったまま、帰っちゃったんだっけ。
「……うん、そうだよ。
かわいいかなぁと思って」
「あぁ、その色はお前によく似合ってるよ」
私の好きな薄ピンク色。
かわいいと思って手に取った物に、まさか高梨さんの想いが詰まっていたなんて思わなかったんだから。
「…ありがと」
せっかく似合うって言ってくれたんだ。
付けてた方がいいのかなぁ…。
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