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考えてみれば高梨さんはお金持ちの社長さんなんだから、その想い人さんもお嬢さまみたいな感じの人なのかもしれない。


今日はその想い人さんの為のプレゼントを買いに来たのに、私がこんなものを見ていても何の参考にもならないんじゃあ…?


今さっき高梨さんが言ったように、ブランド品のものを選ばなきゃいけないよね。



「あの…ごめんなさい。
やっぱり私じゃ良いものを選んであげられないです。
私…ブランド品とか今まで買った事もなくて…」


昔から贅沢な暮らしなんかしていないし、どちらかと言うと私は貧乏性な方だと思う。


だから私と真逆な高梨さんとは感覚もきっと違うんだ。


お見合いの日にいろいろ失礼な事しちゃったから、お詫びのつもりでお買い物に付き合ってたんだけど…かえって迷惑だったかもしれないな。


このままじゃあお詫びどころか、今日も高梨さんには迷惑をかけ兼ねない。

うーん、私の見立てじゃあ何の参考にもならないよね…。



「いいよ、これだね。
じゃあ買ってくるよ」


すると高梨さんは、置こうとしたシュシュを私の手から取った。



「えっ」


「相川さんは気に入ったんだろ?
だからこれを買ってくるんだよ」


「ちょ、ちょっと待って下さい!
それはあくまでも私の感覚であって、そんな安物なんかプレゼントしちゃったらダメですよっ」



別にブランド品のシュシュってわけじゃない、ただの雑貨屋さんにある千円もしない安物だもの。

お金持ちの社長さんが女性にプレゼントするような代物じゃないよぉっ


「相川さん。
僕が相川さんに買い物を付き合ってもらっているのは、そういう本当に気に入ったってものを贈りたいからなんだよ」


「え…?」


「確かに金額は安いけど、でも相川さんはこれが気に入ったんだろ?
いくら金額が高くても、気に入ったものじゃないと価値はないからね」


「………………っ」


意外だった。

それは私もまったくって言うほど同感で、安くても欲しい物の方が良いもんね。

もちろん質とお値段はある程度比例してる事もあるんだけど……って、私ってば主婦の感覚!?



「だから、僕からのプレゼントはこれにするよ。
ちょっと買ってくるから、そこで待っててもらえるかな」


「あ…はい…」


そうして高梨さんはそこの雑貨屋さんのレジに行き、980円のシュシュを買ったのだ…。





「お待たせ」


お会計を済ませた高梨さんがかわいくラッピングされたシュシュを持って戻ってきた。


「…本当にそんなものでいいんですか?
高梨さんみたいな人からのプレゼントがこんな物だったら、戴いた彼女さんもがっかりしちゃうんじゃあ…」


私のせいで彼女さんが怒って、2人の仲に亀裂が入ったりなんてしたらどうしようっ

今からでも遅くない、何かブランド品でかわいいものとか探してみようか…。



「大丈夫だって。
それより、せっかく来たんだ。相川さんも何か買い物して行くんじゃない?」



相変わらずの柔らかい笑みで返してくれる高梨さん。

そんな顔して言われたら、ならいいのかなぁと思う。



「じゃあ高梨さん、今度は…私のお買い物に付き合ってもらえますか?」


「うん、もちろんだよ」


今日は高梨さんのお買い物に付き合ったのは、ついでに勇さんへのプレゼントを見繕ってもらう為だもんね。


勇さんとは、初めて出会ってからはもうすぐ5年になるの。


これまで勇さんへのプレゼントと言ったら…
誕生日すらも、これといった良い物はあげてない。


勇さんは冬生まれだから、マフラーやセーターを手編みしてあげたりしたくらいかな。


もちろんとっても喜んでくれたんだけど、何て言うか…もっとスゴい!良い!って物を贈りたい。


だけど男の人が良い!って思う物がよくわかんないから、同じ男性である高梨さんの意見がほしいんだよね。

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