16 / 76
②
しおりを挟む
考えてみれば高梨さんはお金持ちの社長さんなんだから、その想い人さんもお嬢さまみたいな感じの人なのかもしれない。
今日はその想い人さんの為のプレゼントを買いに来たのに、私がこんなものを見ていても何の参考にもならないんじゃあ…?
今さっき高梨さんが言ったように、ブランド品のものを選ばなきゃいけないよね。
「あの…ごめんなさい。
やっぱり私じゃ良いものを選んであげられないです。
私…ブランド品とか今まで買った事もなくて…」
昔から贅沢な暮らしなんかしていないし、どちらかと言うと私は貧乏性な方だと思う。
だから私と真逆な高梨さんとは感覚もきっと違うんだ。
お見合いの日にいろいろ失礼な事しちゃったから、お詫びのつもりでお買い物に付き合ってたんだけど…かえって迷惑だったかもしれないな。
このままじゃあお詫びどころか、今日も高梨さんには迷惑をかけ兼ねない。
うーん、私の見立てじゃあ何の参考にもならないよね…。
「いいよ、これだね。
じゃあ買ってくるよ」
すると高梨さんは、置こうとしたシュシュを私の手から取った。
「えっ」
「相川さんは気に入ったんだろ?
だからこれを買ってくるんだよ」
「ちょ、ちょっと待って下さい!
それはあくまでも私の感覚であって、そんな安物なんかプレゼントしちゃったらダメですよっ」
別にブランド品のシュシュってわけじゃない、ただの雑貨屋さんにある千円もしない安物だもの。
お金持ちの社長さんが女性にプレゼントするような代物じゃないよぉっ
「相川さん。
僕が相川さんに買い物を付き合ってもらっているのは、そういう本当に気に入ったってものを贈りたいからなんだよ」
「え…?」
「確かに金額は安いけど、でも相川さんはこれが気に入ったんだろ?
いくら金額が高くても、気に入ったものじゃないと価値はないからね」
「………………っ」
意外だった。
それは私もまったくって言うほど同感で、安くても欲しい物の方が良いもんね。
もちろん質とお値段はある程度比例してる事もあるんだけど……って、私ってば主婦の感覚!?
「だから、僕からのプレゼントはこれにするよ。
ちょっと買ってくるから、そこで待っててもらえるかな」
「あ…はい…」
そうして高梨さんはそこの雑貨屋さんのレジに行き、980円のシュシュを買ったのだ…。
「お待たせ」
お会計を済ませた高梨さんがかわいくラッピングされたシュシュを持って戻ってきた。
「…本当にそんなものでいいんですか?
高梨さんみたいな人からのプレゼントがこんな物だったら、戴いた彼女さんもがっかりしちゃうんじゃあ…」
私のせいで彼女さんが怒って、2人の仲に亀裂が入ったりなんてしたらどうしようっ
今からでも遅くない、何かブランド品でかわいいものとか探してみようか…。
「大丈夫だって。
それより、せっかく来たんだ。相川さんも何か買い物して行くんじゃない?」
相変わらずの柔らかい笑みで返してくれる高梨さん。
そんな顔して言われたら、ならいいのかなぁと思う。
「じゃあ高梨さん、今度は…私のお買い物に付き合ってもらえますか?」
「うん、もちろんだよ」
今日は高梨さんのお買い物に付き合ったのは、ついでに勇さんへのプレゼントを見繕ってもらう為だもんね。
勇さんとは、初めて出会ってからはもうすぐ5年になるの。
これまで勇さんへのプレゼントと言ったら…
誕生日すらも、これといった良い物はあげてない。
勇さんは冬生まれだから、マフラーやセーターを手編みしてあげたりしたくらいかな。
もちろんとっても喜んでくれたんだけど、何て言うか…もっとスゴい!良い!って物を贈りたい。
だけど男の人が良い!って思う物がよくわかんないから、同じ男性である高梨さんの意見がほしいんだよね。
今日はその想い人さんの為のプレゼントを買いに来たのに、私がこんなものを見ていても何の参考にもならないんじゃあ…?
今さっき高梨さんが言ったように、ブランド品のものを選ばなきゃいけないよね。
「あの…ごめんなさい。
やっぱり私じゃ良いものを選んであげられないです。
私…ブランド品とか今まで買った事もなくて…」
昔から贅沢な暮らしなんかしていないし、どちらかと言うと私は貧乏性な方だと思う。
だから私と真逆な高梨さんとは感覚もきっと違うんだ。
お見合いの日にいろいろ失礼な事しちゃったから、お詫びのつもりでお買い物に付き合ってたんだけど…かえって迷惑だったかもしれないな。
このままじゃあお詫びどころか、今日も高梨さんには迷惑をかけ兼ねない。
うーん、私の見立てじゃあ何の参考にもならないよね…。
「いいよ、これだね。
じゃあ買ってくるよ」
すると高梨さんは、置こうとしたシュシュを私の手から取った。
「えっ」
「相川さんは気に入ったんだろ?
だからこれを買ってくるんだよ」
「ちょ、ちょっと待って下さい!
それはあくまでも私の感覚であって、そんな安物なんかプレゼントしちゃったらダメですよっ」
別にブランド品のシュシュってわけじゃない、ただの雑貨屋さんにある千円もしない安物だもの。
お金持ちの社長さんが女性にプレゼントするような代物じゃないよぉっ
「相川さん。
僕が相川さんに買い物を付き合ってもらっているのは、そういう本当に気に入ったってものを贈りたいからなんだよ」
「え…?」
「確かに金額は安いけど、でも相川さんはこれが気に入ったんだろ?
いくら金額が高くても、気に入ったものじゃないと価値はないからね」
「………………っ」
意外だった。
それは私もまったくって言うほど同感で、安くても欲しい物の方が良いもんね。
もちろん質とお値段はある程度比例してる事もあるんだけど……って、私ってば主婦の感覚!?
「だから、僕からのプレゼントはこれにするよ。
ちょっと買ってくるから、そこで待っててもらえるかな」
「あ…はい…」
そうして高梨さんはそこの雑貨屋さんのレジに行き、980円のシュシュを買ったのだ…。
「お待たせ」
お会計を済ませた高梨さんがかわいくラッピングされたシュシュを持って戻ってきた。
「…本当にそんなものでいいんですか?
高梨さんみたいな人からのプレゼントがこんな物だったら、戴いた彼女さんもがっかりしちゃうんじゃあ…」
私のせいで彼女さんが怒って、2人の仲に亀裂が入ったりなんてしたらどうしようっ
今からでも遅くない、何かブランド品でかわいいものとか探してみようか…。
「大丈夫だって。
それより、せっかく来たんだ。相川さんも何か買い物して行くんじゃない?」
相変わらずの柔らかい笑みで返してくれる高梨さん。
そんな顔して言われたら、ならいいのかなぁと思う。
「じゃあ高梨さん、今度は…私のお買い物に付き合ってもらえますか?」
「うん、もちろんだよ」
今日は高梨さんのお買い物に付き合ったのは、ついでに勇さんへのプレゼントを見繕ってもらう為だもんね。
勇さんとは、初めて出会ってからはもうすぐ5年になるの。
これまで勇さんへのプレゼントと言ったら…
誕生日すらも、これといった良い物はあげてない。
勇さんは冬生まれだから、マフラーやセーターを手編みしてあげたりしたくらいかな。
もちろんとっても喜んでくれたんだけど、何て言うか…もっとスゴい!良い!って物を贈りたい。
だけど男の人が良い!って思う物がよくわかんないから、同じ男性である高梨さんの意見がほしいんだよね。
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
望まれない結婚〜相手は前妻を忘れられない初恋の人でした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【忘れるな、憎い君と結婚するのは亡き妻の遺言だということを】
男爵家令嬢、ジェニファーは薄幸な少女だった。両親を早くに亡くし、意地悪な叔母と叔父に育てられた彼女には忘れられない初恋があった。それは少女時代、病弱な従姉妹の話し相手として滞在した避暑地で偶然出会った少年。年が近かった2人は頻繁に会っては楽しい日々を過ごしているうちに、ジェニファーは少年に好意を抱くようになっていった。
少年に恋したジェニファーは今の生活が長く続くことを祈った。
けれど従姉妹の体調が悪化し、遠くの病院に入院することになり、ジェニファーの役目は終わった。
少年に別れを告げる事もできずに、元の生活に戻ることになってしまったのだ。
それから十数年の時が流れ、音信不通になっていた従姉妹が自分の初恋の男性と結婚したことを知る。その事実にショックを受けたものの、ジェニファーは2人の結婚を心から祝うことにした。
その2年後、従姉妹は病で亡くなってしまう。それから1年の歳月が流れ、突然彼から求婚状が届けられた。ずっと彼のことが忘れられなかったジェニファーは、喜んで後妻に入ることにしたのだが……。
そこには残酷な現実が待っていた――
*他サイトでも投稿中
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

ごめんなさい、お姉様の旦那様と結婚します
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
しがない伯爵令嬢のエーファには、三つ歳の離れた姉がいる。姉のブリュンヒルデは、女神と比喩される程美しく完璧な女性だった。端麗な顔立ちに陶器の様に白い肌。ミルクティー色のふわふわな長い髪。立ち居振る舞い、勉学、ダンスから演奏と全てが完璧で、非の打ち所がない。正に淑女の鑑と呼ぶに相応しく誰もが憧れ一目置くそんな人だ。
一方で妹のエーファは、一言で言えば普通。容姿も頭も、芸術的センスもなく秀でたものはない。無論両親は、エーファが物心ついた時から姉を溺愛しエーファには全く関心はなかった。周囲も姉とエーファを比較しては笑いの種にしていた。
そんな姉は公爵令息であるマンフレットと結婚をした。彼もまた姉と同様眉目秀麗、文武両道と完璧な人物だった。また周囲からは冷笑の貴公子などとも呼ばれているが、令嬢等からはかなり人気がある。かく言うエーファも彼が初恋の人だった。ただ姉と婚約し結婚した事で彼への想いは断念をした。だが、姉が結婚して二年後。姉が事故に遭い急死をした。社交界ではおしどり夫婦、愛妻家として有名だった夫のマンフレットは憔悴しているらしくーーその僅か半年後、何故か妹のエーファが後妻としてマンフレットに嫁ぐ事が決まってしまう。そして迎えた初夜、彼からは「私は君を愛さない」と冷たく突き放され、彼が家督を継ぐ一年後に離縁すると告げられた。
溺愛彼氏は消防士!?
すずなり。
恋愛
彼氏から突然言われた言葉。
「別れよう。」
その言葉はちゃんと受け取ったけど、飲み込むことができない私は友達を呼び出してやけ酒を飲んだ。
飲み過ぎた帰り、イケメン消防士さんに助けられて・・・新しい恋が始まっていく。
「男ならキスの先をは期待させないとな。」
「俺とこの先・・・してみない?」
「もっと・・・甘い声を聞かせて・・?」
私の身は持つの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界と何ら関係はありません。
※コメントや乾燥を受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる