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それから
実家に着いたのは10時過ぎ。
約束の14時までまだまだ時間があるわけで、適当に時間をつぶしながらお昼ご飯も実家で食べたりした。
ちなみにうちの家族は、サラリーマンのお父さんと専業主婦のお母さんと他県の専門学校に通ってる弟の4人家族。
お父さんは日曜日以外は会社に勤めているから、この前のお見合いの日も今日も仕事でいない。
弟も夏休みとかお正月くらいしか実家には帰らない。
だから、お昼ご飯もお母さんと2人だけで食べた。
「でもま、優もようやく嫁に行けそうで良かったわぁ。
年ばっかりくって売れ残ったらどうしようかと、お母さん心配してたのよ?」
私が作った野菜炒めを箸でつまみながらお母さんはニコニコ話し出した。
売れ残ったらだって。
残るわけないじゃない!
既に恋人がいるって言ってんだから。
「でもあの高梨さんが優をもらってくれるなんて、本っ当に良かったわよ。
あんなお金持ちで男前な人、滅多にいないんだからね。
これで優も幸せな人生歩めるかと思うと、お母さんようやく肩の荷が下りたわ」
…よくまぁそんなにベラベラ喋れるなと感心する。
今日で高梨さんとの関係もおしまいって知ったら、お母さん何て言うかしら。
でもこのお見合いでダメだったら諦めるって言ったもんね。
後からヘリクツ言ったって、私聞かないからね。
「でもお母さん。
幸せって言うけど、私今でも十分幸せなんだけど?」
「何言ってんの!またあの男の事でしょう?
結局最後に泣くのは女なのよっ
だったら、結婚相手ぐらいまともな人間じゃないと絶対後で後悔するんだからね!
お母さんみたいにっ」
…ん?
「お母さんみたいにって…。
お母さん、お父さんと結婚して幸せじゃなかったの?」
新社会人になった5年前までは私もここで一緒に生活してたけど、お父さんとお母さんが仲が悪いなと感じた事なんて1度もない。
このように自分のペースで喋るお母さんに対して、あまり多くも語らないむしろ寡黙なお父さん。
これはこれで、ある意味相性バッチリだとさえ思っている。
なのに、幸せじゃないなんて…?
「幸せじゃないって言うか、ほらお父さんこの年でまだ係長程度でしょ?
給料だってそんなに良くないから、色々苦労してきたってのよ」
なんだ、やっぱりお金の話か。
そりゃお金はたくさんあって困る事はないけど…
少ないなりに上手にやりくりしたり、でも時にはお小遣い叩いて相手にプレゼントしたり。
貧乏でたとえ小さくても、必ず幸せってあると私は思うけどなぁ。
そんな話をしながらお母さんと一緒にお昼ご飯を食べた後は、お皿を洗ったりと片付けを手伝った。
実家に帰ったついでに掃除もしてあげたりとしていたら、あっという間に高梨さんとの約束の14時に近付いてきた。
一応待ち合わせ場所は、うちの家の前になっている。
そろそろ外に出て待ってようかと思った矢先、ププッとクラクションが鳴った音が聞こえた。
もしやと思って玄関を開けて覗いて見ると、明らかに高級車と思われる大きな車が目の前に停まっていた。
この前高梨さんと会った時と違う車だったけど、運転席にいる姿を見て本人に間違いはなかった。
…車、何台持ってるんだろう…。
「じゃあお母さん、行ってくるね」
「はいはい、楽しんでらっしゃい♪」
お母さんにニコニコ上機嫌で見送られ、私は実家を出た。
だから、デートじゃないんだってば。
実家に着いたのは10時過ぎ。
約束の14時までまだまだ時間があるわけで、適当に時間をつぶしながらお昼ご飯も実家で食べたりした。
ちなみにうちの家族は、サラリーマンのお父さんと専業主婦のお母さんと他県の専門学校に通ってる弟の4人家族。
お父さんは日曜日以外は会社に勤めているから、この前のお見合いの日も今日も仕事でいない。
弟も夏休みとかお正月くらいしか実家には帰らない。
だから、お昼ご飯もお母さんと2人だけで食べた。
「でもま、優もようやく嫁に行けそうで良かったわぁ。
年ばっかりくって売れ残ったらどうしようかと、お母さん心配してたのよ?」
私が作った野菜炒めを箸でつまみながらお母さんはニコニコ話し出した。
売れ残ったらだって。
残るわけないじゃない!
既に恋人がいるって言ってんだから。
「でもあの高梨さんが優をもらってくれるなんて、本っ当に良かったわよ。
あんなお金持ちで男前な人、滅多にいないんだからね。
これで優も幸せな人生歩めるかと思うと、お母さんようやく肩の荷が下りたわ」
…よくまぁそんなにベラベラ喋れるなと感心する。
今日で高梨さんとの関係もおしまいって知ったら、お母さん何て言うかしら。
でもこのお見合いでダメだったら諦めるって言ったもんね。
後からヘリクツ言ったって、私聞かないからね。
「でもお母さん。
幸せって言うけど、私今でも十分幸せなんだけど?」
「何言ってんの!またあの男の事でしょう?
結局最後に泣くのは女なのよっ
だったら、結婚相手ぐらいまともな人間じゃないと絶対後で後悔するんだからね!
お母さんみたいにっ」
…ん?
「お母さんみたいにって…。
お母さん、お父さんと結婚して幸せじゃなかったの?」
新社会人になった5年前までは私もここで一緒に生活してたけど、お父さんとお母さんが仲が悪いなと感じた事なんて1度もない。
このように自分のペースで喋るお母さんに対して、あまり多くも語らないむしろ寡黙なお父さん。
これはこれで、ある意味相性バッチリだとさえ思っている。
なのに、幸せじゃないなんて…?
「幸せじゃないって言うか、ほらお父さんこの年でまだ係長程度でしょ?
給料だってそんなに良くないから、色々苦労してきたってのよ」
なんだ、やっぱりお金の話か。
そりゃお金はたくさんあって困る事はないけど…
少ないなりに上手にやりくりしたり、でも時にはお小遣い叩いて相手にプレゼントしたり。
貧乏でたとえ小さくても、必ず幸せってあると私は思うけどなぁ。
そんな話をしながらお母さんと一緒にお昼ご飯を食べた後は、お皿を洗ったりと片付けを手伝った。
実家に帰ったついでに掃除もしてあげたりとしていたら、あっという間に高梨さんとの約束の14時に近付いてきた。
一応待ち合わせ場所は、うちの家の前になっている。
そろそろ外に出て待ってようかと思った矢先、ププッとクラクションが鳴った音が聞こえた。
もしやと思って玄関を開けて覗いて見ると、明らかに高級車と思われる大きな車が目の前に停まっていた。
この前高梨さんと会った時と違う車だったけど、運転席にいる姿を見て本人に間違いはなかった。
…車、何台持ってるんだろう…。
「じゃあお母さん、行ってくるね」
「はいはい、楽しんでらっしゃい♪」
お母さんにニコニコ上機嫌で見送られ、私は実家を出た。
だから、デートじゃないんだってば。
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