13 / 76
④
しおりを挟む
『そうかい?
じゃあ水曜日だね。
午後2時くらいでいいかな?』
「あ、はい。
じゃあ2時に、お待ちしています」
『ありがとう。
楽しみにしてるよ、相川さん』
そうして高梨さんとの通話は終わった。
水曜日の14時かぁ。
朝はまた仕事のフリして出なきゃいけないから、14時までは実家で時間つぶそうかな。
買い物だからすぐに終わるわよね。
まぁ帰る時間は少々遅くなっても、その頃には勇さんは仕事に行ってるからいいかな。
明日職場に行ったら、また和泉さんに言って口裏合わせるのお願いしなきゃだぁ…
…♪♪♪ ♪♪♪…
などと思っていると、またケータイから着信音が流れてきた。
高梨さん、まだ何か話す事があるのかな?
ケータイを開いて見てみると、しかしそこには高梨さんの番号ではなく『お母さん』の文字が表示されていた。
お母さんだ!
もぉっ、勝手に番号教えた事、言わなくっちゃ!
「もしもしお母…」
『優!高梨さんとはどう?
早速デートだなんて、いい調子みたいねぇ』
私が言い終わる前に遮ってしゃべってきたお母さん。
相変わらずのマイペースとデカい声に、一瞬めまいすらしてきた。
「お母さんっ
デートじゃなくて…てゆーか、私のケー番勝手に教えたでしょ!
やめてよね、私の許可なく他人に教えたりするの!」
『何が他人よ。
高梨さんは先の結婚相手でしょ!
別に教えたっていいじゃないの。
それよりどう?
高梨さん、ステキな男性でしょ?』
また勝手に話題を変えて話してきたお母さん。
いつ先の結婚相手って決まったのよ!
「そりゃ確かに高梨さんはステキな男性だったわよ」
お母さんの理想通り、身分も財力も容姿も申し分ないものね。
『それで、お付き合いする事になったんでしょ?
高梨さんから電話で聞いたわよ』
「お付き合いって言うか、ちょっと付き合うだけなんだから…っ」
『おほほほ、いい事いい事。
お母さんも早く孫の顔見たいんだから、期待してるわよ』
孫って!
どこまで話が進みまくってんのよ!
何だかいい加減、私も言い返す気すらなくなってきた。
『じゃあね、優。
また電話するから』
そうして、ものすごい上機嫌なお母さんとの通話も終わった。
…なんか、ものすごく疲れた。
電話で話しただけなのに、またしてもめまいがしてきたような気がした。
こんな会話をしてるとこ、側で勇さんが聞いてたら大変な事だったよ。
生活スタイルがズレてる私たちだけど、今だけはありがたいと思ってしまった……。
そんなわけで、高梨さんと約束した水曜日が来た。
朝は普通に仕事に行く時と同じようなスタイルでアパートを出る。
今日はお見合いでもデートでもないから、フォーマルな服を着る必要はない。
普段着の適当なワンピースにカーディガンを羽織っただけ。
うちの職場は私服にエプロンだから、またお母さんとこで着替えたりはせずに済みそうだった。
職場には和泉さんの協力でまた口裏合わせてもらってるし、きっと大丈夫。
2時間ほど電車にゆられて、私はまず実家に向かった。
つい先日の土曜日と同じ事をまたしているみたい。
あの日は帰っても何事もなくやり過ごせたけど、今日も勇さんにバレないよう気を付けなきゃ。
ごめんね、勇さん。
でもこれはデートなんかじゃないからね。
勇さんへのプレゼント、きっと良いもの見つけてくるから待っててね。
じゃあ水曜日だね。
午後2時くらいでいいかな?』
「あ、はい。
じゃあ2時に、お待ちしています」
『ありがとう。
楽しみにしてるよ、相川さん』
そうして高梨さんとの通話は終わった。
水曜日の14時かぁ。
朝はまた仕事のフリして出なきゃいけないから、14時までは実家で時間つぶそうかな。
買い物だからすぐに終わるわよね。
まぁ帰る時間は少々遅くなっても、その頃には勇さんは仕事に行ってるからいいかな。
明日職場に行ったら、また和泉さんに言って口裏合わせるのお願いしなきゃだぁ…
…♪♪♪ ♪♪♪…
などと思っていると、またケータイから着信音が流れてきた。
高梨さん、まだ何か話す事があるのかな?
ケータイを開いて見てみると、しかしそこには高梨さんの番号ではなく『お母さん』の文字が表示されていた。
お母さんだ!
もぉっ、勝手に番号教えた事、言わなくっちゃ!
「もしもしお母…」
『優!高梨さんとはどう?
早速デートだなんて、いい調子みたいねぇ』
私が言い終わる前に遮ってしゃべってきたお母さん。
相変わらずのマイペースとデカい声に、一瞬めまいすらしてきた。
「お母さんっ
デートじゃなくて…てゆーか、私のケー番勝手に教えたでしょ!
やめてよね、私の許可なく他人に教えたりするの!」
『何が他人よ。
高梨さんは先の結婚相手でしょ!
別に教えたっていいじゃないの。
それよりどう?
高梨さん、ステキな男性でしょ?』
また勝手に話題を変えて話してきたお母さん。
いつ先の結婚相手って決まったのよ!
「そりゃ確かに高梨さんはステキな男性だったわよ」
お母さんの理想通り、身分も財力も容姿も申し分ないものね。
『それで、お付き合いする事になったんでしょ?
高梨さんから電話で聞いたわよ』
「お付き合いって言うか、ちょっと付き合うだけなんだから…っ」
『おほほほ、いい事いい事。
お母さんも早く孫の顔見たいんだから、期待してるわよ』
孫って!
どこまで話が進みまくってんのよ!
何だかいい加減、私も言い返す気すらなくなってきた。
『じゃあね、優。
また電話するから』
そうして、ものすごい上機嫌なお母さんとの通話も終わった。
…なんか、ものすごく疲れた。
電話で話しただけなのに、またしてもめまいがしてきたような気がした。
こんな会話をしてるとこ、側で勇さんが聞いてたら大変な事だったよ。
生活スタイルがズレてる私たちだけど、今だけはありがたいと思ってしまった……。
そんなわけで、高梨さんと約束した水曜日が来た。
朝は普通に仕事に行く時と同じようなスタイルでアパートを出る。
今日はお見合いでもデートでもないから、フォーマルな服を着る必要はない。
普段着の適当なワンピースにカーディガンを羽織っただけ。
うちの職場は私服にエプロンだから、またお母さんとこで着替えたりはせずに済みそうだった。
職場には和泉さんの協力でまた口裏合わせてもらってるし、きっと大丈夫。
2時間ほど電車にゆられて、私はまず実家に向かった。
つい先日の土曜日と同じ事をまたしているみたい。
あの日は帰っても何事もなくやり過ごせたけど、今日も勇さんにバレないよう気を付けなきゃ。
ごめんね、勇さん。
でもこれはデートなんかじゃないからね。
勇さんへのプレゼント、きっと良いもの見つけてくるから待っててね。
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
会社の後輩が諦めてくれません
碧井夢夏
恋愛
満員電車で助けた就活生が会社まで追いかけてきた。
彼女、赤堀結は恩返しをするために入社した鶴だと言った。
亀じゃなくて良かったな・・
と思ったのは、松味食品の営業部エース、茶谷吾郎。
結は吾郎が何度振っても諦めない。
むしろ、変に条件を出してくる。
誰に対しても失礼な男と、彼のことが大好きな彼女のラブコメディ。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
離婚した彼女は死ぬことにした
まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。
-----------------
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
-----------------
とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。
まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。
書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。
作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【改稿版・完結】その瞳に魅入られて
おもち。
恋愛
「——君を愛してる」
そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった——
幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。
あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは……
『最初から愛されていなかった』
その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。
私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。
『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』
『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』
でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。
必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。
私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……?
※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。
※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。
※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。
※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる