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いざお見合い本番!①
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11時
予定の時刻になって、ようやく目的地である高級料亭にたどり着いた。
「もう!あんたがグズグズしてるから!」
「仕方ないじゃない。
ほら、行こ行こ。お母さん」
一呼吸置いた後、ゆっくりその敷居をまたいで中に入った。
中の者に案内され、私たちは襖で仕切られた個室に通された。
ゆっくりその襖を開けて、中の様子を覗き込むように見る。
「失礼しま…」
個室の中には、上座を空けて下座の位置に先方さんらしき男性とそのご両親が背を向けて座っていた。
「…優!何やってるの!早く入りなさい!
あ、お待たせを致しましてすみませんね~」
私を小突くように中に押しやり、お母さんは急に声色を変えて挨拶をした。
…まったく、いつもの電話での大声を聞かせたいものだわ。
気持ち悪いくらいの笑顔で中に入り、空いた席に着こうとしたお母さんと私。
「あら?私どもが上座に着いちゃ申し訳ないわ」
すると、先方さんのお母さんの方が手を振って応えた。
「いえいえ、わたくし共はこちらの席で十分です。
相川さんは是非そちらに座って下さいな」
どちらが上座下座に座るかって話だ。
そんな事でいちいち譲り合ったりしなきゃならないとか、そういったマナーには全く関心がない私にはどうしたらいいかオロオロする。
うちは遅刻しといたわけなのに、結局席はそのまま空いた上座の方に着いた。
襖から入って、先方さんたちの横をグルッとまわって席に着いたわけなのだが、背を向けていた先方さんの素顔も席に着きようやく初めて見る事になった。
…あぁ、お見合い写真は先にお母さんが送ってくれていたけど、結局見てないままだったんだ。
本当にお見合いする相手なら、一度見ておいてもよかったかなぁ。
先方さんは当のお見合い相手の男性を真ん中にご両親が両サイドについて座っていたが、私はその男性と向かい合うように真ん中に、お母さんは相手のお母さんと向かい合うように座った。
そして座ってすぐ顔を上げた私は、目の前の相手の男性と目が合ったのだ。
「______…」
モデルさんかと思うくらいの整った顔立ち。
髪は金に近い明るい茶髪で、オシャレっぽく少しのばしている。
年は…私と同じくらいかな。
大人びた若い人かもしれないし、私みたいに若く見えるだけで実際は年を取ってるのかもしれない。
そして男性は、目が合った瞬間に私に柔らかい笑みを見せた。
「…………………」
…さすがの私も、思わず見とれてしまった。
ときめいたとかじゃないんだけど、キレイなものを見ると思わず時間を忘れて見とれちゃうというアレと同じだ。
「初めまして。高梨 悠と言います。
相川…優さんと仰るのですね。
写真で見るよりずっとお綺麗だ」
最初に喋り出したのは、相手の男性だった。
ずっと見とれる私も、名前を呼ばれてハッとした。
「あっ、はいっ
あ いえ、そんな…」
何を言っているのか自分でもわからなくなった。
それより、写真で見るよりって…。
お母さんったら、一体いつの写真を勝手に使ったのよ!
「名前も僕と同じユウだ。
楽しい偶然ですね」
そう言った高梨さんはまた柔らかい笑みを見せた。
な なんて笑顔の似合う美形なんだろう。
ていうか…。
何でこんな美形な人がお見合いなんてしてんだろう。
そんな事をしなくても、十分モテそうで恋愛結婚できそうなのになぁ?
予定の時刻になって、ようやく目的地である高級料亭にたどり着いた。
「もう!あんたがグズグズしてるから!」
「仕方ないじゃない。
ほら、行こ行こ。お母さん」
一呼吸置いた後、ゆっくりその敷居をまたいで中に入った。
中の者に案内され、私たちは襖で仕切られた個室に通された。
ゆっくりその襖を開けて、中の様子を覗き込むように見る。
「失礼しま…」
個室の中には、上座を空けて下座の位置に先方さんらしき男性とそのご両親が背を向けて座っていた。
「…優!何やってるの!早く入りなさい!
あ、お待たせを致しましてすみませんね~」
私を小突くように中に押しやり、お母さんは急に声色を変えて挨拶をした。
…まったく、いつもの電話での大声を聞かせたいものだわ。
気持ち悪いくらいの笑顔で中に入り、空いた席に着こうとしたお母さんと私。
「あら?私どもが上座に着いちゃ申し訳ないわ」
すると、先方さんのお母さんの方が手を振って応えた。
「いえいえ、わたくし共はこちらの席で十分です。
相川さんは是非そちらに座って下さいな」
どちらが上座下座に座るかって話だ。
そんな事でいちいち譲り合ったりしなきゃならないとか、そういったマナーには全く関心がない私にはどうしたらいいかオロオロする。
うちは遅刻しといたわけなのに、結局席はそのまま空いた上座の方に着いた。
襖から入って、先方さんたちの横をグルッとまわって席に着いたわけなのだが、背を向けていた先方さんの素顔も席に着きようやく初めて見る事になった。
…あぁ、お見合い写真は先にお母さんが送ってくれていたけど、結局見てないままだったんだ。
本当にお見合いする相手なら、一度見ておいてもよかったかなぁ。
先方さんは当のお見合い相手の男性を真ん中にご両親が両サイドについて座っていたが、私はその男性と向かい合うように真ん中に、お母さんは相手のお母さんと向かい合うように座った。
そして座ってすぐ顔を上げた私は、目の前の相手の男性と目が合ったのだ。
「______…」
モデルさんかと思うくらいの整った顔立ち。
髪は金に近い明るい茶髪で、オシャレっぽく少しのばしている。
年は…私と同じくらいかな。
大人びた若い人かもしれないし、私みたいに若く見えるだけで実際は年を取ってるのかもしれない。
そして男性は、目が合った瞬間に私に柔らかい笑みを見せた。
「…………………」
…さすがの私も、思わず見とれてしまった。
ときめいたとかじゃないんだけど、キレイなものを見ると思わず時間を忘れて見とれちゃうというアレと同じだ。
「初めまして。高梨 悠と言います。
相川…優さんと仰るのですね。
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