デートをしよう!

むらさ樹

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甘いマスクには裏があって

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翌日の朝
いつも通りの時間。

俺は学校へ行く為に、今朝も変わらず家を出た。


「行ってきま……!」


玄関のドアを開けて道路にと出た所で、同じようにちょうど家から出て来た翼と鉢合わせした。



「大地くん!
おはよ」

「おはよう……」


家は隣同士、行く学校は同じ道。
……てなわけで、何となく一緒に学校に向かったわけだ。


「……あ、そのストラップ」


ふたり並んで歩いてる途中、翼の持つ通学カバンに目が行くと、そこに日曜日のデートの時にあげたビーズのストラップが付いていたのだ。


「何で付けてんだよ」

「え?
だって付ける為にあるんじゃない?」


いくつかの花の形をしたビーズが、翼の歩くリズムに合わせてユラユラ揺れる。

いや、それはそうなんだけどさ。
確かにあれは、俺がデートにはおみやげがあったらいいだろうなと思って買ったものだ。
ストラップなんだから、どこかぶら下げるものでもあるんだけど。



「……俺の買ったもんなんか付けてたら、彼氏に怒られんじゃないか?」


な、何言ってんだ俺は。
そんなの、俺が心配する事じゃないだろうっ

ただ……彼氏って言葉を出して、翼が西園寺先輩をどう思ってんのか、どんな反応を示すのか。
それはちょっと気になってるのは、あったかもしれない。


「ん、でもね。
大地くんとの思い出、大事だし。
いつも付けていたいって思ってんだけど……迷惑かなぁ」

「いや、別に俺は迷惑なわけ……」


俺との思い出が大事って。
そりゃ、デートの練習はちゃんと覚えてなきゃいけないだろうけどさ……っ

あー、そういう意味なら仕方ないのかな。



「て言うかさ……
西園寺先輩とのデートって、いつなんだ?」


さすがにその時には、こんなものを付けて行ったりはしないだろうが、それでも一応言っておこうかなと思った。

いや、ほらさ。
翼ってば鈍感じゃん?

うっかり付けて行ってさ、当日これと同じストラップを西園寺先輩がおみやげショップで見つけたら翼も困るだろ。

だから……


「んっとね、特にいつって決まってはないんだけどね」


は?
何だそれ。
普通先に決めたりするんじゃないのか?


「急に今日って誘うかもしれないから、いつでも予定空けといてって言われたの。
西園寺先輩って、忙しい人みたいだから」

「急に今日って。
でも学校が休みの日だろ?」

「さぁ……どうなのかな。
私、大地くん以外とデートした事ないから、よくわかんないよ」


俺だってデートは翼が初めてだけど、急に今日とか普通ないだろ。
一体どうなってんだ?

父親が社長だか理事だかで、家が金持ちの息子である西園寺先輩。
しかも容姿は高身長のイケメンとなると、学校中の女子生徒がキャーキャー黄色い声で喚くのもわからなくはないが……。

そんな中、西園寺先輩の方から翼に声をかけてきたって事は、内緒で付き合うつもりなのかな。


この日の休み時間なんかも、窓から見えた西園寺先輩はたくさんの女子生徒に囲まれていた。
……女子の考える事もわかんねぇけど、イケメンの考える事もわかんねぇな……。









「じゃあ大地、また明日な」

「あぁ」


――放課後

部活のある拓海はそう俺にあいさつすると、荷物を持って教室から出て行った。

俺は部活なんて入ってないし、今日の掃除当番なのもあってまだ教室に残る。

どうせすぐに帰れないだろうからと、のんびり机の中の物を片付けていると、クラスメイトの女子が俺に声をかけてきた。


「あれ?
ねぇ、拓海クン知らない?」

「拓海なら、もう部活に行ったよ」

「ええ?
んもぉ、今日は練習見たいから一緒に行くって言ったのにぃっ」


そう言って「はぁ……」とため息をついたこの女子は、一応拓海の彼女だ。
一生懸命追いかけてる割には、拓海の方がマイペースだもんで、いつもこんな調子みたいだ。


「わかった。
じゃあ、あたしも部活の方に行ってみるね」


そう言って、クルリときびすをかえした拓海の彼女。
……そうだ。
ちょっと女子の意見というものを、訊いてみようか。



「あのさ、西園寺先輩って知ってるよな」

「え?
うん。知ってるも何も、超有名じゃん」


だよな。
毎日あんなにたくさんの女子生徒に囲まれてるんだから、知らない方が珍しいだろうな。


「例えばお前はさ、西園寺先輩とかには興味ないわけ?
いや、拓海と付き合ってんのは別としてな」

「え~?
そりゃあ西園寺先輩はかっこいいし、お金持ちだけど……」


やっぱり女子の見る所は、イケメンな容姿と金持ちってステータスなんだな。
それが揃ってりゃ、とりあえずモテるんだろう。



「あーでも西園寺先輩って、ちょっとアブナい噂もあるんだよね……」

「……は?
危ない?」


この言葉はちょっと意外だった。

てっきり、「かっこいいんだけど、ライバル多いから~」とか、そんな感じの意見が返ってくるだけだと思ってたのに。


俺だってよく知らない西園寺先輩の事。
あんなにモテる人でも、彼女とかいるのかなぁ……なんて訊くつもりだったのに、今の言葉でちょっと不安を感じたんだ。


「何が……危ないんだ?」

「んー……これ噂だから、ホントかどうかは知らないよ?
あたしが言ったなんて言わないでね」

「わかってるよ。
だから早く言って」

「うん……あのね?
西園寺先輩って……付き合うとかじゃなくて、毎日いろんな女子に手ぇ出したりしてるみたい」


ん?
付き合うとかじゃなくて、手ぇ出してって?



「でね、もし都合悪い事になっちゃったら、お金渡して口封じとかしちゃうんだって……」


な な な
何だよ、そりゃ!?


「待って待って!
ただの噂だからねっ
じゃ、あたし拓海クンとこに行くから」

「あぁ、ありがとう……」


カバンを持って教室を出て行った後ろ姿を見送ると、俺は胸騒ぎがしてきた。


毎日いろんな女子に手……?
都合悪くなったら金渡して口封じ……?

そういえば昨日の昼。
渡り廊下ですれ違った際に聞こえた、女子生徒に囁いた言葉――――。


『……じゃあ明日の放課後、待ってるからね』


あの時の顔を赤く染めた女子生徒に、妖しく笑いかけた西園寺先輩。

いろんな女子に手を出したりって、まさか昨日のアレも?

それに、翼が西園寺先輩に声をかけられたってのも……


『急に今日って誘うかもしれないから、いつでも予定空けといてって言われたの』


それって、デートじゃないじゃんよ!

まさか。
まさかまさか……っ!?


俺は掃除当番だという事はすっかり頭から消え、荷物をカバンに詰め込むとすぐに教室を出た。
そしてそのまますぐ、隣の隣のクラスに走る。



「……翼っ!」


俺の2つ隣の教室が翼のクラスだ。

中を覗いてみると、掃除をしている生徒もいれば、友達同士でだべっている生徒もいた。



「はぁ……はぁ……はぁ……っ」


勢いよく走ってきた呼吸を整えながら、その中に翼の姿がないかを探してみた。



「………いないか……。
もう帰ったのか……?」


翼も俺と同じで、部活には入っていない。

放課後はどちらかが掃除当番とかでなければ、だいたいすぐ一緒になったりするんだけど……。




「あ、あのっ」


翼のクラスの生徒が教室から出て来たので、俺は声をかけてみた。


「あの、つば……天野 翼って、もう帰った?」


クラスが違えば、どの生徒がどの生徒と友達なのかなんて知らない。
そういえば翼の友達って、どんな奴なんだっけ。



「あぁ、天野さん?
天野さんなら、今日はやけに急いで帰ったよ。
誰かと約束があるみたいで」

「約束?
誰かって、誰?」

「さぁ。
教えてくれなかったし、何か急いでたみたいだから」



誰かと約束。
急いで?


『急に今日って誘うかもしれないから――――』


その約束って、まさか西園寺先輩となんじゃあ……!


『いろんな女子生徒に手ぇ出して、口封じとか……』



冗談じゃない!
翼はそんな噂なんて、知らないんだぞ!!



すぐに昇降口まで走って行き、俺は翼の靴箱を見た。
上靴だけが残されているから、学校を出たのは間違いないだろう。

西園寺先輩に誘われて、どこで待ち合わせているかなんてわからない。
どこに行くのかも知らない。


どこを探したら……



「とにかく!
まだ近くにいるかもしれないし、探してみれば……っ」


俺はすぐに上靴を履き替えて、学校を出た。



「翼っ!!」



必ずしも翼の約束相手が西園寺先輩とは限らないんだけどさ。
何も手がかりのない状態なので、とりあえず俺は家までの通学路を走って翼を探してみた。



「翼ーっ!!」



すると……



「大地くん?」



案外早くに、翼は見つかった。
まだ帰り道の途中にいたんだ。


「あれ、どうしたの?
そんなに慌てて」


息を切らしながら翼の前まで走りきると、俺の焦りなど全く知りもしない翼がきょとんとした顔で訊いてきた。

まるで何事もなかったような様子に、こっちの方が肩透かしにあった気がしてきた。



「て言うか、翼は今から誰かと予定があるって?」

「えっ」


もし今日の約束相手が西園寺先輩なら、先に噂の事を言っといた方がいいよな。

言わないで なんて言われたけど、翼が関わってくるんじゃ話は別だ。



「……あ、うん、実はね。
今日急に、遊びに来ないかって誘われちゃって……」



照れくさいのか、何だか言いにくそうな話し方の翼。
遊びに来ないかって事は、西園寺先輩は家に誘ったって事だな。



「……誰に!?」

「え、だから……西園寺先輩だよ」


やっぱりな。
そうやって女子生徒にモテるのを良い事に、ひとりずつ家に誘っては……て魂胆なんだっ
それで都合悪くなったら金渡してポイかよ。

いくら金持ちでイケメンでも、そんな奴なんて同じ男としてもサイテーだっ!



「翼!
西園寺先輩の誘いなんて受けるなっ
今からでも断っておけよっ」

「え、どうして?
大地くん……」

「翼は知らないだろうけど、西園寺先輩は噂で……」

「ボクが噂で何だって?」


言いかけて、ハッとした。
まるでさっきまでの話を聞いていたかのように、西園寺先輩本人が俺たちの前に姿を現したのだから。



「…………………っ」


まさか、本人がそこにいるなんて思わなかった。
だからこそ、翼が西園寺先輩の家に行ってしまう前にこの事を言っておきたかったのに……っ



「……翼ちゃん?
彼は何?」

「えっ、あ……っ」


内緒で家に呼んでるんだろうから、そこに俺が一緒にいればそう訊くのもわかる。

だからこそ、そんな質問に翼の方がどう答えていいか戸惑っているんだ。



「えっと……」


翼からすれば、折角憧れの先輩から声をかけられたんなら嬉しい筈だ。
デートだって失敗したくなくて、俺に相談してきたぐらいなんだから。

だけどあの噂が本当なら、それで後から泣く羽目になるのは翼、お前なんだぞ……!



「関係ないなら、早くボクの家においでよ。
誰か他の女の子に見つかる前にさ」


質問にはっきり答えられない翼の肩を西園寺先輩は抱くと、そのまま翼の身体を押すように連れて行こうとした。


「ぁ……っ」


後ろを振り返り、翼が俺の方を見る。

このまま、このまま翼が西園寺先輩の家に行っちまったら……。

だけど、それはもともと翼の望みでもあったわけでっ

俺が聞いたのは、あくまでもただの噂。
それが本当の事なのかどうかも知らない癖に、西園寺先輩を勝手にそんな人だって決めつけるわけにもいかないし……っ。


翼だって西園寺先輩が好きだから、誘われたのが嬉しいんだ。
それを、俺が勝手に誘いを断れって言うのはおかしいわけで……っ!


「…………………っ!」


あーっ
どうしたいんだ、俺はっ!



「翼ちゃん、うちに来るの初めてだもんね。
うち小型犬が3匹もいるんだよ。
翼ちゃんは、犬とか好き?」

「えっ、あっ、はい……っ」

「良かった。
うちって、帰ってもまだ両親がいなくてね。
ボクひとりで寂しいんだ。
今日は、ボクの部屋でゆっくりしていってね?」



そんな会話をしながら、西園寺先輩に肩を抱かれたまま翼が行ってしまう。

あれが翼の望みなんだ。
あれは翼の意志で行ってるんだ。

だから俺が口出しするなんて………



「………!」



西園寺先輩と行く翼の、手に持った通学カバンからビーズのストラップが揺れてるのが見えた。

西園寺先輩とデートの時は外しておけよって、言いそびれたんだっけ。

なのに……っ


『ん、でもね。
大地君との思い出、大事だし。いつも付けていたいって思ってんだ』


そんな事、何で俺に言うんだよ!!

自分でもよくわからない感情に、胸がざわめく。

俺はどうしたいんだ?


もし本当に翼が西園寺先輩を好きなら、応援してあげるべきだ。

参考にしてほしくて、俺だってデートの練習を頑張った。

だったら!



『でね、もし都合悪い事になっちゃったら、お金渡して口封じとかしちゃうんだって……』

『付き合うとかじゃなくて、毎日いろんな女子に手ぇ出したりしてるみたい』

『……じゃあ明日の放課後、待ってるからね』



……でもそれって、やっぱり違う気がする!

翼は、何にも知らないんだ!
普通にイケメンな先輩に声かけられて、舞い上がってるだけ。

誘われたって、これは純粋なデートでも何でもない。
アイツは、女子生徒を自分の良いように扱ってるだけでしか見てないんだ!!



「……………翼っ!!」


翼には、そんな目には遭わせられない!
だって翼は、小さい頃から俺がずっと守ってきた、大切な――――――っ




「……………大地くん?」


俺の叫ぶような呼び声に、翼は足を止めて振り返る。
それに対し西園寺先輩も、同じように足を止めて俺を見た。



「…………………っ」

「……………………」



な、何て言えばいいんだ?
どうすればいいんだ、俺は。

ふたりとも俺の方を見て俺の言う事を待っているのだが、肝心の俺が何も言えないでいる。

これじゃ、俺の方がヤバい奴みたいだ。



「……行こう、翼ちゃん。
何の冷やかしだろうね」

「ぁ……」


再び翼の肩を抱いて行こうとする西園寺先輩。
その時の翼の顔は、何だか寂しげにも見えた。



「……ま、待って!」


それだけ言えた俺の言葉に、もう一度ふたりは足を止めた。



「……何なんだ、キミは。
ボクに何か言いたい事でもあるのかい?」



さすがに苛ついてきたようで、西園寺先輩の顔が険しくなってきた。
そんな西園寺先輩の顔を見て、翼も不安げな表情になる。



「ボクに言いたい事があるなら、はっきり言いなよ。
……言えるもんならね」



翼を置いて俺の方へ歩み寄る西園寺先輩。
その表情は、これまで女子生徒に囲まれていた時の甘いマスクとは別物だった。

コイツには裏の顔がある。
いつも冴えない直感だけど、俺にはそう感じた。

都合悪くなったら金渡すような奴なんだ。
そう考えると、そんな奴に睨まれるのに恐怖感も感じてきた。



「どうなんだ。
早く言えよ」


目の前まで迫ってきた西園寺先輩。

言わなきゃ!
翼の為にも、言わなきゃ!
今、翼を守る事ができるのは、俺しかいないんだから……っ!



「わ、悪いですけど……っ
翼は……西園寺先輩の家には行かせられません!」

「はぁ?」


今まで3年の先輩に楯突く事もなかったし、こんな面と向かって言うなんてもってのほかだ。

はっきり言って、正直怖いってのもあるけど……

そういえば日曜日に金髪カップルに睨まれた時の事を思い出すと、それよりかはマシな気もしてきた。
だったら、全然大丈夫だ!



「翼は……俺の彼女なんです!!
だから、西園寺先輩の家には行かせられないんです!!」



……何でそんな言葉が出たのかはわからない。
でもそれが、この場では一番良かったような気もした。



……後で、翼には謝らないとな……。















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