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「せっかく寝てたのに、起きちゃったねー。
よしよし、でももう大丈夫だよー」



ぎゅうっと3人のチビちゃんズを抱きしめてあげると、さっきよりも泣き声が柔らかくなってきた。


うん。
何やかんや言っても、みんなこうして抱きしめてあげるのが一番好きなんだよね。




「あーあ。
せっかくひなとニャンニャンしようと思ったのに、みんなチビたちに取られちゃったよー」



そんな私とチビちゃんズを見た慎吾くんが、はぁ…とため息をつきながら言った。



「コラコラ。
パパがそんな事を言っちゃダメだぞ!」


「でもーっ」


本当に残念そうな顔をする慎吾くんに、私も呆れちゃう。

だけど、実は気持ちは私も同じだったりするんだけどね。


自分の子どもたちにラブタイムを奪われちゃったりすると、やっぱりちょっとガッカリするじゃない?



…て言うか、ビックリさせちゃったかな?


この3人のチビちゃんズこそ、私の慎吾くんの間にできた三つ子ちゃんなのだ~!



「ママー」

「ママ、遊ぼー」

「だっこー」



おんなじ顔した三つ子ちゃんは、すっかり泣き止んでくれたのはいいんだけど。

今度は私の取り合いが始まったみたいで、新たに違う戦いが起きてしまった。


うーん。三つ子ちゃんの欲求はいつも3人同時だから、こういう時は困っちゃうんだよねぇ。



「ほら陽芽、チビたちと4人で遊びなよ。
チビはチビ同士で遊ぶのがいいって!」



実は陽芽ちゃんは、この三つ子ちゃんと同い年。

同じ年に生まれちゃったのは偶然なんだけど、慎吾くん的には変な感じなんだろうなぁ。

だって自分の子どもと妹が、同じ年だもんね。



「やぁだー!
ヒメ、慎吾たんとヒナたんの3人がいいーっ」


「あーっ
ヒメたん、ママ取っちゃダメー」

「ママ一緒に遊ぼー」

「ママ、抱っこー」



あわわわわっ
今度は陽芽ちゃんとチビちゃんズの争いになっちゃいそうだよ!


もう、どうすんのー!?







───────────
────────
─────





「─────ひなっ
ひなってばぁ!」


「ん…………
あれぇ、チビちゃんズは…?」


「チビちゃんズ?
ひなぁ、寝ぼけてる?」



ゆっくりと開けた目に映ったのは、いつもの慎吾くんの顔。


長い茶髪の前髪は、相変わらずのM字バング。


かわいいと言っていいのかカッコイイと呼ぶべきなのかは未だにわからないけど、でも私の好きな顔には違いなかった。




「ひなぁ、俺お腹空いちゃったよぉ」


「あ…ごめん、ご飯の時間だよね」



どうやらうたた寝をしちゃってたみたいで、私はちょっぴり気だるさの残る身体を起こして部屋の中を見渡した。


ここは慎吾くんの家の、いつものリビング。


ご飯の支度があらかたできた所で、ちょっと眠くなってソファで寝ちゃったんだっけ。



うたた寝から目を覚ますと、さっきまで見ていたのが夢だとようやく頭の中で整理できた。



それにしても…私が慎吾くんとの三つ子ちゃんを生んじゃってたなんて、ものすごい話だなぁ。

ついこの前テレビで三つ子ちゃんだとか六つ子ちゃんのリアルな生活を見たけど、多分その影響なのかもしれないな。


結婚とかまだピンと来ないんだけど、慎吾くんもようやく高校を卒業して、理容師になる為の理容専門学校に行くようになったわけだし。

いつかは…そんな家庭が築けたらいいなって、思わなくもないよ。




「あ、えっとね。
カレーならもう出来てるんだぁ。
リンゴサラダも、冷蔵庫に入れてるよ」


私はカレーのお鍋に火をいれようと、ソファから下りて立ち上がろうとした。

が、その腕をギュッと慎吾くんに握られて、私の身体はソファへと戻されてしまった。

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