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折角気を利かせて席を外してくれたイチゴバラさんだけど、結局その元クラスメイトの彼女とはそれ以上会話も続く事なく別れた。


元々仲の良い友だち関係ってわけじゃないもんね。

それに私には、旦那さんも子どももいないわけなんだから、共通の話題もないわけだし。


それに、まさかのイチゴバラさんを“お父さん”発言には、少なからずショックで何も話す気にならないって言うか…。





「…あ、もうお昼かぁ」



12時を知らせる時計の音が、歩く商店街のどこからか聞こえてきた。



いつもなら慎吾くんの家で、料理をしながら軽いランチを一緒に食べたりするんだけど。

今日は予定が変わっちゃったからなぁ。



ていうか、慎吾くんも今日は登校日で居なかったのかな。

て事は、イチゴバラさんの息子さんと慎吾くんって同じ高校なのかもしれないね。





「…あ、たまにはファーストフードでテイクアウトしちゃおう。
ハンバーガーとか珍しいって、お母さん食べてくれるかなぁ」



近くまで通りかかった私は、そのままお昼ご飯にとファーストフード店の方へと足を向けた。







「────────っ!!」



暑い所からエアコンの効いた涼しいファーストフード店の中にと入った瞬間だった。



スゥッと引いていく汗に気持ちよさを感じるのと同時に、ゾクッとする嫌な気持ちが私の中で感じていたの。



(慎吾くん!…と……)



やっぱり今日が登校日だったようで、久し振りに制服姿になっている慎吾くんがレジカウンターにいるのが見えたのだ。


日曜日なのも手伝って、お昼時のファーストフード店はお客さんが多いんだけど、私はすぐに慎吾くんの姿を捉えたの。



だけど、私が気になったのはむしろそっちじゃない。




(…誰、だろう。
同じクラスの友だちとか…かなぁ)



そんな慎吾くんの側には、同じ制服の半袖シャツとスカートを履いている女の子が1人。


だけども、ただのクラスメイトや友だちにしては、やたらベッタリと身体を寄せているのが気になった。




(まさか、彼女…とかじゃないよね…)



信じたい気持ちは、もちろんあるんだけど。


でもあんなにくっついている2人を見たら、ゾワゾワと胸の方から嫌な気持ちが広がっていって仕方なかった────────…。




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