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イチゴバラさんと一緒にスーパーに着くと、カゴを持って必要な食材をあれこれ入れた。

もちろんサラダに必要なジャガイモや卵、ハムにキュウリもね。



「うわわっ
何だかいっぱい入れすぎちゃいましたかね」



まるで、いつかの事をもう一度繰り返してるかのようだよぉ。


必要な材料かと思ってあれやこれやとカゴに入れていたら、やたら量が多くなっちゃった。



「あぁ、これくらい別にいいですよ。
うちは男2人で大食いですからね。少し多めの方が、お互い遠慮せずに食べられますから」


「え、男…2人?」


「はい。
息子は顔は家内に似ているのですが、そういう所は僕にそっくりなんです」


「…そう…なんですか」



あらら。
てっきりイチゴバラさんの子どもさんは、女の子だと思ってたのに。



「どうかしました?」


「い いえいえっ」


今までいろんなお客さんの事をあれこれ詮索してたけれど、これは案外どれもこれもハズレてるのかもしれないな。


うーん。
それとも、私ってば人を見る目がなかったのかしら?

なぁんて。



たくさんの食材を買い2つのレジ袋に詰めると、イチゴバラさんはそれらをヒョイと両手で抱えた。



「あのっ、私1つ持ちます!
貸して下さい」


すっかりあの時の慎吾くんとの買い出しと同じパターンになっちゃってるなと、心の中で笑ってしまう。


選んであげたのは私だから、これはもしや私ってば買い物下手なのかなぁ。



「いえいえ、これくらい僕1人で十分持てますよ」


「でも、私のせいでこんなになっちゃって…」

「──と言うか、女性に重いものなんて持たせませんから」


「…ぁ………っ//」



慎吾くんの時も、「これでも男なんだから」って自分で持とうとしてくれたけど。


『女性に重いものなんて持たせませんから』


…なんて、私を“女性”扱いしてくれたその言葉に、キュンとしてしまった。




「…ありがとうございます…///」


「え?
そんなお礼を言われる程の事じゃあ…」


「…いえ、本当に」



嬉しい気持ちに、胸が熱くドキドキしちゃう…。


そんな気持ちを顔に出さないように気を付けながら、私はお言葉に甘え両手にレジ袋を抱えたイチゴバラさんの側に立ち、一緒にスーパーの出口へと歩いた。




…さて、買い物は一応これで全部終わったわけなんだけど…。



「さぁ、帰ったら早速始めないとなぁ」


「今から晩ご飯の支度ですか!」



ケータイを開いて時計を確認すると、まだお昼前だ。

イチゴバラさんとこの晩ご飯が仮に18時だとしても、今からだと6時間以上もあるんだけど?



「やぁ、慣れない調理ですからね。余裕を持ってやらないと、失敗した時とか困るだろうし」



串カツの仕込みとサラダ作りに、6時間も余裕を取らなきゃならないんだ。

私だったら、1時間あれば十分だけどな…。



「…………………」



ど どうしようかな。

イチゴバラさんさえよかったら、手伝いに行ってもいいんだけど。


でもでも、あくまでも店員と常連さんの関係なのに、家に押しかけに行くなんておかしいよねっ


だけど、慎吾くんとだって結果そうなっちゃったわけだし…



「………あの、もしよかったら…」



散々悩んだ挙げ句。

ここまで来たら応援したいって思った気持ちに正直になろうと、私はイチゴバラさんの方へと顔を上げた。




…その時だ。

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